惜しみなく愛は奪ふ ~ THE CIRCA BRAND/ S204C

言葉の由来を調べるのは面白いもので、上品なイメージの単語が遡るとずいぶんと物騒な背景を持っていたなんてことが、往々にしてあります。

英語の”Rob(奪う)”、ドイツ語”Rauben(強奪する)”は、ともに言語として共通の祖であるゲルマン語の”Roub(略奪品)”から派生した動詞と云われています。

“Roub”はやがてフランク王国に於いてラテン語に転じ、対象の財産を剥ぐときにまず狙うのが衣類だったことから「衣服」を意味する名詞へと変わっていきます。

それが現代のフランス語”Robe(ドレス)”の語源です。
そしてこの”Robe”が英語に転じて、こんにち我々が「ローブ」と呼んでいる法衣状の衣服を指すようになりました。

さて、そんなローブの歴史にまた変化が起きようとしています。

THE CIRCA BRANDの新作ショートローブ”S204C”の登場です。

ローブとほぼ同義といえるほど近似した概念であるガウン(こちらは毛皮の服を意味するラテン語”gunna”に由来)を原型とするスモーキングジャケットを再構築したデザインで、紳士の室内着ならではの豪奢な装飾性を排し、形状そのものに主眼を置いています。

素材は、シェトランドウールを用いたブランケット素材。

シェトランドウールと聞くとチクチクするという印象をお持ちの方が少なくないようですが、上等なものならそんなことはありません。
ふわっとした暖かさ、軽さ、乾いた質感はそのままに、手触りは意外なほどなめらかです。

経糸にはさらにリネンの糸が巻き付けられ、生地の迫力を一層増しています。

そして着用と洗いを重ねると(そう、このショートローブは家庭で洗濯可能です!縮みもほぼ出ません)、ウールとリネンの特性が相互に作用し、ヘリンボーンの凹凸がより強調され、生地全体の嵩が増すように膨らみ、豊かに起毛していきます。
デザイナーの福原さん曰く、水を通した後こそがこの生地本来の風合いだそうです。

縁取り部分はしっとりとしたレーヨン。

強い存在感を放つ腰の紐状ベルトも同じ素材となっています。

丁寧な裏の始末に、一見粗野な風貌のこの服が実は繊細な仕事の上に成り立っていることが見て取れます。

美しい肩の曲線に、自然な袖のカーブ、

パターンワークも秀逸です。

どこから見ても愉しく、袖を通せば心地好く、素晴らしい一着が生まれました。

なお、福原さんはこのTHE CIRCA BRANDをご自身にとっての「モード」と位置付けています。
どうもわれわれの想像するモードとは様相を異にする気がしますが、知らずしらずまた言葉が変わる瞬間に立ち会っているのかも知れませんよ。

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