いつの間にやら日が暮れるのも早くなり、どんどん秋めいていく今日この頃。
横浜はまだ昼の気温はやや高くとも、残暑という言葉ではもう表せない程度です。
秋が深まれば、ニットやコートなど着る服の形も当然変化しますが、
着たい素材自体も毛羽立ったウールなどに移ろいます。
コーデュロイという素材もそのひとつではないでしょうか。
当店では今季それほど多く登場しない生地ではあるものの、
決して軽んじているわけではありません。
春夏に登場したQシャツも、秋冬バージョンとしてコーデュロイ版が店頭に出ています。
Qシャツがどんなシャツか、改めておさらいします。
Qは究極のキュウ、すなわちEELの考える究極のシャツの形です。
陶器釦のようなわかりやすく目を引く仕様はありませんが、
高い技術を誇るドレスシャツの工場で仕立てられ、
繊細な縫製によって実現する品格がなによりの特徴です。
襟とカフスの手側は縫い目の出ない袋縫いになっています。
シンプルでありながら何かが違う、というのはこういう部分に依るわけです。
前述の縫製ですが、
よく見ると生地の端際に細かいステッチが美しく並んでいるのが確認できます。
こうして生地の重なり、折り返し部分を可能な限り狭くすることで、
このシャツの鋭角さを生み出しています。
そのためコーデュロイのような宿命的に厚みを避けられない生地でも、
ぼってりした印象にはなりません。
背面ヨークにはギャザーがとられ、ふわりとした印象と実用的な可動性を生み出しています。
四季を愛でるのは我が国の伝統、
煉瓦色の細畝コーデュロイはまさにこれからの季節を聯想させて止みません。
そんな旬の素材を高度な技術で奇を衒わずに料理する、実に伝統和食のようなシャツです。
ですから着用側も特別テクニックを弄することなく、
ツイードジャケットやコットンスーツ、ニットなどに合わせて
あくまで普通に、秋冬の服として用いるのが一番でしょう。
グルメの行きつく先は精進料理とも申します。
オンラインストアはこちら→ Qシャツ(2015AW)