セーリング・フライ ~ Jens/ インディゴツイルブルゾン

デニムジャケット、いわゆるGジャンはその出自ゆえのカジュアル度の高さから、ラギッドな装いはもとより着崩しの効果的アイテムとして広く愛されていることなど、今更言うまでもありません。

しかしながらその特性はやや過剰でもあり、なかなか扱いが難しいものです。

当店も過去何度か本格的なものを検討しましたが、そこに理由があり断念に至っていました。

そんな中でJensがとても品よく料理したこの一枚をここでご紹介できるのは、まさに僥倖です。

リーバイスの3rdタイプをベースに再構築したもので、デニムでなくインディゴ糸を使用したツイル生地(素材や構造はほぼ同じですが…)を使用し、着丈と袖丈がぐっと短く詰められています。
着用写真がないので判りづらいのですが、袖は7分丈程度です。

Gジャンといえばオレンジやイエローの太いステッチをかけ、洗ってパッカリングを楽しめるものが一般的ですが、こちらはほとんどすべてのステッチが表から見えないようになっており、これによってドレス感を高めています。

ボタンは比翼仕立てにされた上、共生地くるみボタンと貝ボタンを用いて剛健な印象をより削ぎ落としました。


腰裏にはオリジナルのレザーパッチが設けられ、冷たいまでに整えられた服に少しばかりのユーモアあるアクセントを添えています。

上記の通りコンパクトなつくりであるうえ、全体的にもサイズはかなり小さめですので、小柄な女性にお薦めです。

ラフなスタイルよりも品のある装いにとても調和すると思います。
この春から初夏の軽い羽織りものとして、是非ご検討ください。

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たまきはる ~ bunt/ STANDARD SHIRTS

四月も下旬、横浜はまだ少しひんやりとした風に暖かな陽射しが心地好く、若葉萌ゆる木々が目にも清々しい、一年の中でもほんのひとときの爽やかな時候です。

あとひと月も経てば梅雨の気配が忍び寄り、それから日を追うごとにじっとりと蒸してくることでしょう。

どちらにしてもこんな柔らかく軽やかなシャツがあれば頼りになるというものです。

buntのルーツである横浜南部の金沢文庫。
同名の施設はインテリゲンチャとして知られる鎌倉時代の武将北条実時(金沢実時)が自身で収集した蔵書を収めた私設図書館を由来とし、紆余曲折を経て現在は博物館として県によって運営されています。

そうした背景を知らずともどこか思索的な佇まいなのは、その素材ゆえかも知れません。

ここで用いられている生地は綿でなく、テンセルと和紙の混紡素材です。

木材パルプを原料とするテンセル、楮などの樹皮を原料とする和紙、文字情報だとずいぶんごわごわした印象ですが、触れていただければそのとろんとした柔らかさにきっと驚かれるはず。

細く裁断した和紙に強い撚りをかけた糸は通気性、吸湿性に優れ、また繊維も分解しませんので洗濯したからといって溶けたりすることはありません。
加えて、紫外線を通しにくく高い抗菌性と防臭性を備えているという特性もあるようです。

なお、紙という構造上糸の毛羽立ちも起きず、さらりとして肌触りもよいのですが、和紙だけだと少し硬くなってしまうため、テンセルを混ぜることで長所を残したままこの滑らかさを実現しています。

そんな素材の美味しさを堪能できるようシャツには余計な虚飾は施されず、その名の通りごくスタンダードな仕様で纏められました。

ただしサイズ感だけはちょっと変わっていて、buntのラインナップの他アイテムと較べると幾分大きく作ってあります。
そのため肌に触れる面積が抑えられ、風通しがよくなるだけでなく、生地特有のふわっとしつつ重力に従った落ち感、ドレープを存分に味わえます。

このシャツを身に纏い、古文書に記された昔日の情景に思いを馳せながら荷風の『日和下駄』よろしく初夏の市中散歩を楽しみ、その道すがら気の利いた古本屋さんにでもふらりと立ち寄ってみては如何でしょうか。

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La Buena Vida ~ La Cadena

子供靴。
これだけ数多く世の中に出回る中で、シンプルで且つ気の利いたデザインのものがなかなか見当たりません。

昔にくらべ、ナイキなどのメガブランドなどで機能的にも優れたものがあったりと、確実に状況は改善されていますが、それでも結果的にスポーティーなスニーカーに着地してしまいがちです。

昨年スペルガのベビー&キッズをご提案したところ、特にベビーサイズが好評で、やはりこうした靴を探されている方は多いのだなと実感しました。

そんな中スペルガに続くものとして出会ったのが、スペインのLa Cadena(ラ・カデナ)でした。

1836年にドン・マヌエル氏とドン・サンティアゴ氏によって設立された靴工場をルーツとし、現在も彼らの子孫によって昔ながらの製法を守りながらもモダンな靴を作り続けているブランドです。

今回日本では初の本格展開となる中で、当店は2型をチョイス致しました。

幼稚園に入ったあたりから小学校低学年くらいまでの女の子へは、ワンストラップのこの靴を。

落ち着いたグレーのキャンバスのアッパーは、お出かけや冠婚葬祭などのかしこまった場面でも活躍します。

ストラップの留め具はリングに通して引っかけるだけの簡単なものですので、お子さん独力でも脱ぎ履きが可能です。

もう一方はファーストシューズから幼稚園くらいまでのお子さんにお薦めのスリッポンタイプ。
シックなアッパーに程よいアクセントを添えるゴムの配色がとても綺麗です。


ワンストラップも同様ですが、全体的に柔らかいつくりで、裸足で履いても靴擦れが起きにくくなっています。

また、両モデル共通で、スポンジの効いた柔らかい中敷が簡単に取り外せ、汚れたらすぐ洗って清潔を保つことができます。
特に子供は大人より足が熱く、すぐに裸足になってしまいますから、これは嬉しい仕様です。

さらにこちらも共通の仕様として、靴底に使用されているゴム素材に香料が練り込まれ、甘い芳香を放ちます。
舶来もののガムのような、そんな異国情緒を擽る匂いです。

なお、木型はやや細めのものを使用しています。
依然として甲高幅広の子供靴が多いのですが、現代の子供は傾向として足が細くなってきていますので、あまりに靴の中でゆとりがあると却って動きづらく、怪我の恐れも増します。
もちろん足と靴の相性はそれぞれですから、細い靴がすなわち正しいということもありません。
どんな靴であってもお子さんの足に合ったものをお選びください。

これから暖かくなり、ますます気軽なスニーカーは大活躍します。
ゴチャゴチャした幼稚なデザインは好まない、でもシンプル一辺倒では味気ない、そんなご要望にきっと応えられる靴だと思います。

オンラインストアはこちらです→
ONE STRAP チャコールグレー トドラー/ キッズ(大きさで価格が異なります)
“MudStomper” SLIP-ON ブラック×オレンジ/ オリーブ×ピンク/ マリン×イエロー


KESTIN HARE ポップアップイベント開催のお報せ

昨年夏にとてもキュートなシャツをご紹介したエディンバラのKESTIN HARE。

ナイジェルケイボーンの元ヘッドデザイナーであるケスティン・エア氏が、デザイン、品質、生産背景すべてに於いて自身の納得できるものを追求し続けているブランドです。

その評価は年々高まる一方で、現在日本で公開中の『T2 トレインスポッティング』でも衣装提供を行っています。
トレスポといえばUKカルチャーの梁山泊のようなものですから、本国での評価がどれほどのものか、この件だけでも推して知るべしというもの。

なお、スコットランド人(なのになぜかマンチェスターユナイテッドのサポーター)のケスティンは、ちょっと強面ですが意外と人懐っこいナイスガイです。

さて、そんなケスティンエアのおそらく東日本では初のポップアップイベントを、来たるゴールデンウィークに当店にて開催することになりました。

4/29~5/7の約一週間、最新コレクションの中から特に初夏~夏に活躍するものを中心に取り揃え、皆様にご紹介致します。
今季は”Northern Shores”をテーマに、全長800kmに亘るスコットランド北部の沿岸、その白い砂浜と、雨風に晒され形作られた岩の景色から着想された素敵なアイテムが並びます。

国内でここまで幅広いラインナップでこのブランドをご覧いただける機会は滅多にありません。

是非この機会にケスティンの世界をお楽しみください。

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LOVER SOUL ~ aiayu/ SHIRT SLIM

コンセプトといったコンセプトの曖昧な当店ですが、扱う商材に於いては、”高級ではなく上質”をひとつ大きな要素として開店当初より意識してきました。

良質な素材を用いて真っ当に作られたもの、しかしあくまで権威的な贅沢品でなく生活に寄り添った服、いわゆる一般的に考え得るLuxury(六本木ヒルズ的な)ではないということが重要と考えています。

当店初登場のaiayu(アイアユ)は、そのLuxuryの再定義を試みるブランドです。

ボリビアの現地のことばで”Soul”を意味するaiayuはデンマークを拠点とし、北欧のシンプリシティを以て、世界各地で受け継がれた技術を活かし存続させるためのものづくりを行っています。

彼らは製品の起源、持続可能な生産と環境影響がその美的価値として等しい重要性であると考えています。
そういった要素と永続的なデザインの融合こそがaiayuの形であり、彼らの考えるLuxuryです。

今回ご紹介する女性用のシャツにも、当然その哲学が色濃く反映されています。

肌触りがよく素朴な風合いが魅力なインド綿。
基本的に多くの農薬が必要な綿花栽培は、環境破壊や労働者の健康被害が常に問題として付きまとう産業です。
もともと産地として名高い彼の地に於いても、例外なくそれは当てはまります。

そんな中aiayuはすべてのコットン製品にGOTS認証を受けた100%のオーガニックコットンを用いるだけでなく、生産者の支援を行っています。
彼らが取引を行う農家は、最先端のエコシステム、水の消費を抑え周辺環境の生物多様性を保全するなどの優れた技術を備え、きわめて高品質な綿を生み出しています。

それを現地で紡績し、シャツに仕立てることで良質な服をつくるとともに、輸送のロスを省いているというわけです。

省かれているのは輸送だけではありません。
廃棄物ゼロを目指すこのブランドの信念は商品タグひとつにも反映され、余った布に情報をプリントしたものが付属しています(その他、ラグなどの材料としても利用されます)。

そして利益の一部は、現地の障害を持った子供たちのための学校へと寄付されます。
それもただ慈善の心だけからの行為ではなく、決して豊かとはいえない生産地に社会的に貢献することで、aiayuにとって欠かせない技術をきちんと存続させるという意味合いも持っているためです。

といったようにきわめて倫理的なスタンスであるaiayuですが、肝心の服が美しくなければその目的も達成されないということで、シャツ自体も比翼仕立てのクリーンなデザイン、(SLIMの名の割に)ほどよくリラックスしたシルエットが、抜群の風合いの生地と相まって着用する方の魅力を最大限引き出します。

エシカルなブランドにしばしば見られるナチュラルテイストではなく都市生活のための服であり、知的な大人の女性にこそ相応しい、そんな一枚です。

オンラインストアはこちらです→ ネイビー/ ヘヴン(スカイブルー)

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Zingen Zingen Kleine Vlinders ~ EEL/ ベルギーパンツ

知っているつもりで実は知らないこと、たくさんありますよね。

何を今さらかも知れませんが、店主は昨日、靴修理のミスターミニットがベルギー発祥の会社だったのに気づき、大層驚きました。

さて、そんなベルギー。
一般的にはチョコレート、ビール、サッカー、そしてフランダースの犬などのイメージが強い国です。
そしてファッションの世界では、言わずと知れたアントワープ6、アントウェルペン王立芸術学院の名を挙げるまでもなく、確固たる地位を築いています。

一方で、このEELのベルギーパンツのベルギー要素について考察してみるのも一興ではないでしょうか。

過去展開していた少年パンツ同様、深い股上、プリーツの入ったゆったりとした腰回りにきゅっと絞られた裾、9分程度の絶妙な裾丈が特徴的なパンツです。

素材は2色ともに初夏から夏にかけて気持ちよく着用できる薄手のコットン素材を採用しています。

リネンシャツや軽いジャケットなど、季節感のあるアイテムと相性が頗る好く、リラックスしつつも少しばかり洒落っ気の効いた装いを愉しむことができます。

男女問わず着用可能なデザインですので、サイズも各色XS~Mまで取り揃えました。

陽気な季節を共にする一本として、是非ご検討ください。

オンラインストアはこちらです→ サックスストライプ/ インディゴ


ソフィーの世界 ~ Sophie/ BIBLOS

なぜでしょうか、静かで抑制的な知性の殻に閉じ込められながらも収めきれない、甘美な色香が覗きます。

1967年創業のイタリアのカミチェリア(シャツメーカー)VENFOR社のレディース専門ブランドSophieが手掛けた、BIBLOSと名付けられたシャツです。

ちなみに、BIBLOSとは本を意味します。
古代ギリシアではフェニキアのビブロス港からパピルス紙を輸入しており、その港の名が紙、書物を指す際に代名詞的に使われるようになったとの由です。
余談ですが、語源を同じくするThe Bible(聖書)は元来「ザ・本」という意味で、”Bible”自体に聖書という固有名詞的要素はなかったと云われています。

さて、そう考えるとどこか司書のお姉さま的な佇まいも感じ取れるような気がしますね。

前立てが全面開閉しないプルオーバー型のロングシャツという形状で禁欲的な気配を漂わせつつも、

襟元のギャザーが印象をぐっと柔和にしています。

なお、襟のボタンホールはダミーで、ボタンもついていません。
ちょっと面白い仕様です。

胸の下には眼鏡を挿せるような細いポケットがひっそりと設けられました。

と、堅そうで実はところどころ遊びのあるそのバランスが実にイタリア的です。

生地もさらりとした薄手のもので、春夏に気軽に纏うにはもってこいの一枚、是非暖かくなってきたこの時期にご検討ください。

オンラインストアはこちらです→ ストライプ/ ホワイト


桜色舞うころ ~ James Mortimer

今年の春は花が遅く、いつもならもう衣替えを済ませているはずのせせらぎ公園の染井吉野が、わずかに盛りを過ぎた程度に留まっています。

天気予報も二転三転し、雨のはずだった週末が暖かな快晴へと変わりましたので、今週末は気持ちよくお花見を満喫できそうです。

花冷えに挫けそうな日もありましたが、ようやっと春本番と言い切っていい頃合いかも知れません。

となると、こんなリネンのシャツに気が向くというもの。


リネンシャツといえばお馴染みのJames Mortimerから今季も届いた、薫り高い春の風です。

ホワイトとネイビーに加え、リネンでは初登場のペールピンクに、なんとも情趣を擽られます。

形状は少しゆったりとしたコンフォートフィットタイプ、今時期はもちろん、暑くなっても風通しのよいゆとりで、高温多湿の季節を快適に過ごせます。

前立て裏に代表される高次元の縫製技術、

小振りでやや開いた柔らかな襟の醸し出す清潔な色気、

清涼なアイリッシュグリーンの三角ガセット、

どこを見ても春夏の日常を豊かに彩ってくれそうです。

使用されているリネンもその質の高さゆえ、着用と洗濯を繰り返すたびにみずぼらしくなるどころか、滑らかで肉感的な肌触りへ育っていきます。

今から馴染ませて初夏、夏に気持ちよく身に纏える、そして来年以降は春から存分に楽しめる、一枚の服とのそんな付き合い方なんて素敵ではないでしょうか。

オンラインストアはこちらです→ ペールピンク/ ホワイト/ ネイビー


もののふの 八十をとめらが汲みまがふ ~ MONO PROJECTS

トルコは、ヨーロッパへ輸出する羊毛や綿花の産地といぅこともあって、伝統的に繊維業が盛んな国です。
また、名高いトルコ絨毯から察せられるように、その品質にも定評があります。

ところが近年輸入関税割当の撤廃もあり、安価な中国製品に圧されその産業は盤石な状態とは言えなくなってきています。
その影響もあってデザインへの注力など商品価値を高めようとする傾向が見られてきたのは、怪我の功名でしょう。

ということで、以前取り扱っていた靴下ブランドBallonetに続くトルコブランド第二段を紹介致します。


MONO PROJECTS(モノプロジェクツ)は、
「シャツこそすべての男性にとって不可欠なものである」
その理念を掲げ2015年にイスタンブールで生まれた新進ブランドです。

産地である強みを活かしたその品質のみならず、欧州とも、もちろんアメリカとも異なるトルコならではの独自のデザインも高い水準を誇ります。

生地は色によって異なっており、オリーブは厚手のストレッチ入りツイル素材、ネイビーは涼しげな綿麻混紡素材が採用されました。

前者はちょっとした羽織りものとしても春や秋に活躍し、後者は真夏に快適さを齎します。
どちらも甲乙つけがたいですね。

ちなみにこのノーカラーシャツの意匠である幾何学模様、通常であれば生地を織る段階で柄として入れるか、またはプリントとなるところ、なんとひとつひとつが刺繍となっている手の込みようです。

現地でも新しいブランドですからまだ日本ではほとんど知られていないものの、知名度は服の本質とは何ら関係のないことは当店のお客様であればご存知のはず。

是非この異国情緒溢れる新星をお試しください。

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Somebody’s Baby ~ EEL/ スリッポンシャツ

ズック靴、という呼称も最近はめっきり聞かなくなりました。
店主が子供のころは何となくその響きも形も幼い感じがして好きになれなかったものです。

けれどなぜか同じであるはずのVANSのスリッポンに関してはどうにもその魅力を認めざるを得ません。
そこはかとなく漂う西海岸ユースカルチャーの匂いは、発売から何十年経っても健在です。

そんな不思議な魅力を持つスリッポン型スニーカーから着想し、プルオーバーシャツに転化してしまったのがこのスリッポンシャツ。

昨年春にも登場した同名モデルが、基本設計思想はそのままに大幅リニューアルしました。

最大の特徴はこの襟周り。
エラスティック素材が配置され、その名の通りスリッポンシューズの履き口のような形状です。

本体の素材はコットンのオックスフォードで、洗いがかけられ最初から柔らかい風合いとなっています。

優しい表情の服ですので、ゆったりしたサイズ感ながら男女ともにお薦めです。

初夏から夏にかけて、足に馴染んだキャンバス素材のスリッポンスニーカーのように気軽にご着用ください。

オンラインストアはこちらです→ ホワイト/ ネイビー