よろこびの歌 ~ delightful tool/ プレーントウダービー

delightful toolのセミオーダー会は終了しましたが、その後も引き続き当店で既製品ラインのプレーントウを常時展開することとなりました。

イベント当日お越しいただけなかった方もいらっしゃいますし、改めてそれがどんな靴なのか解説していきましょう。

まず、既製品とはいえど、セミオーダーのメインラインと同じ木型、同じ製法を用いており、品質の面ではまったく遜色ありません。

木型は内側が直線的で外側が大きく湾曲する、俗にインサイドストレートと称される形状です。
色気よりも自然な歩行をサポートすることに重点が置かれ、足への負担がとても少ないのが特徴です。

また、踝が靴のエッジに当たりにくいよう、履き口外側は低く、内側はやや高めにとられています。

アッパーの革には脂分を多めに含んだ牛革が採用されました。

高級靴でよく用いられる繊細なカーフよりも強靭で、比較的雨などに強く、日々履き込むことを前提とした選択です。

ライニング(裏側)前足部には吸湿性に富み且つ摩耗に強い豚革を、履き口付近には質感がよく、また耐久性も高い牛革を使っています。
適材適所とはまさにこのことです。

底付けは軽量で馴染みの早いマッケイ製法で行われています。
これはアッパーの内側から靴底を直接縫い付ける手法で、南北戦争時に軍隊の靴の量産にも採り入れられました。

ただこの製法、歩きやすく見た目もすっきりするのですが、どうしてもその構造上靴底の縫い目から浸水してしまい、オールソール交換に何度も耐えられないという欠点も持ち合わせています。

そこでまずアッパーと薄いソールをマッケイで縫い合わせ、そこに頑強なラバーソールを接着することで、長所を残したまま短所を超克することに成功しました。

貼られているのはラバーソール界の帝王ビブラム社製の”ガムライト”です。

当然のこと、ゴムで厚いソールを作ると重くなってしまいます。
しかしこのガムライトは発泡ゴムで成形されており、重量を大幅に軽減しただけでなくクッション性まで高めてしまいました。
もちろん、強度も抜群です。

レザーソールにもその良さはあり、一概に優劣はつけられないものの、靴を歩くための道具として考えた場合は最高のソールの一つと言えます。

これだけギアとしての性能をしっかり備えながらも、あくまで本質的には黒いプレーントウです。
外羽根式ですのでややくだけた印象にはなりますが、それでもカジュアルシューズとしてしか使えないものではありません。
ビジネスシーン、結婚式二次会やお通夜まで(結婚式一次会やお葬式にはさすがに内羽根式のストレートチップが適切でしょう)幅広い場面で大活躍します。

その優れた汎用性につき、本格的な革靴の一足目としてもお薦めです。

まずは試しに履いてみてください。
そして、ここをこうしたいなどのアイディアがあれば、是非ディレクターの寺田さんの待つ大和のアトリエで貴方だけの靴を作っていただければと思います。

オンラインストアはこちらです→ プレーントウダービー


春の海 ~ EEL/ ハルミニット

GET UP! GET ON!
TAKE UP! TAKE ON!

昨晩の『さらば あぶない刑事』、ご覧になりましたか?

相変わらず横浜は紛争の絶えない危険地帯のようで、いたるところで盛大なドンパチが行われていました。

さてそんな間違った横浜観光名所案内としての機能も果たす同作品を観てもわかるとおり、横浜は海の街です。
しかしその特性上、正直海自体に魅力はほとんどありません。汚いですし。
海というよりも港がアイデンティティなんですね。

いずれにしても仲町台は港から少し離れた丘の上ですので、海を感じることは滅多にありませんが…

さて、だからこそ海らしい海にはちょっとした羨望があります。
海を眺めて春の気配を感じるなんて、風情豊かではありませんか。

せめて装いでその気分を少しでも体現できたなら。

そこでご紹介したいのがこのEELの新作、ハルミニットです。


もちっとしたコットンニットで、ボディの編みのゲージを等間隔で変えることでボーダーを表現しています。

無地でもよく見ればボーダーになっているのがお判りになるでしょうか。

形状そのものは癖のないスタンダードな形で、袖も敢えてプレーンな編み目に抑えることで、より胴の仕様を引き立たせています。

殊更に春や海を強調したデザインではありませんが、ともあれ暑すぎず涼しすぎずと程よい防寒性、コットンならではのさらっとした肌触りと、今から無理なく春を採り入れるのに適した一枚です。

いよいよ2月も後半に入りました。
春はもう、すぐそこまで迫ってきています。

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新しい日々をつなぐのは 新しい君と僕なのさ ~ MASTER & Co./ ベルト付パンツ

有難いことに大好評のblancのワイドパンツ、しかしながら今季着目すべきはそれだけではありません。

MASTER&Co.のパンツも負けじと実に魅力的な逸品です。

こちらはブランドを代表する定番品として作り続けられているもので、当店では今回他のアイテムとの親和性が高いベージュとオリーブカラーを、それぞれ別素材でご用意しました。

ベージュは高密度のしっかりとしたチノクロスで仕立てられています。

一方オリーブは風合いを損なわない程度に微量のストレッチが混ぜ込まれた、若干スラブ感のある生地です。

どちらも同型で、ヒップから太腿にゆとりをもたせ、裾に向かって窄まっています。
少し短めにロールアップするととてもバランスがよい形状です。

細かい部分も秀逸で、右腰にはチェンジポケットが設けられ

ファスナーにはヴィンテージ感豊かなUNIVERSALが採用されています。

また、ご覧の通りではありますが、このパンツにはいわゆるガチャベルトが付属しています。

洗いのかかったパンツと抜群の相性を誇り、特にこれからの時期には気持ちの好い雰囲気を演出します。

もちろんこのベルトは脱着可能ですので、他のベルトを使うもよし、そしてこのベルトを他のパンツに使うもよしと、なかなか嬉しいオマケですね。

さらに、腰裏にはサスペンダーボタンがついていますので、ここを活用するのもなかなか洒落ているのではないでしょうか。

どちらもユニセックス展開で、XSがレディース、SとMはメンズ向けのサイズ感です。

すでに店頭ではじわじわと動き出していますので、気になる方はお早めにどうぞ!

オンラインストアはこちらです→ ベージュ/ オリーブ


春雨の さはへふるごと音もなく ~ comm. arch./ Hardly Spun Cotton P.O.

お陰様で週末のイベントも無事終了し、きょうからまた日常が再開されます。

さてこのところの入荷ラッシュに伴い、店頭は次第に春仕様へとその姿を変えて参りました。

暖かなウールの外套はスプリングコートやジャケットへ。
厚手のセーターからハイゲージのもの、そしてコットンニットがその中心へ、着々と代替わりを始めてきています。

そんな中、われも忘れなさるな、と昨シーズンご好評いただいたニット専門ブランドcomm. arch.(コムアーチ)からも春から初夏にかけての爽やかな新作が届きました。

繊維の長さが特長のエジプト綿(細くしなやかな糸ができます)をぎゅっと強く撚った糸で編むことで、しなやかさとカラッとした肌触りを両立しています。

その素材のテクニカルな部分はさて置き一見とてもシンプルなデザインですが、そこはコムアーチ、一筋縄ではいきません。

まず、ガンジーセーターよろしくTシャツのように袖の角度を本体と直角につけ、肩部分を鹿の子編みとリブ編みに切り替えています。

袖からは編みが表裏逆転し

袖口のリブに近づいたところで再び編みが表に戻る、そんなトリッキーな仕様です。

裾は脇にスリットが設けられ、またIZODのポロシャツのように後ろが長く取られています。

これによってスポーティーな印象が生まれました。

素材は風合いが乾いているだけでなく、実際に細かい凹凸のため肌に触れる面積が軽減し、高温多湿の日にべたべたと鬱陶しく肌にまとわりつくことを抑えています。

それでいて比較的厚さはしっかりしていますので、今の時期から初夏にかけて装いを変えながら長くご着用いただけます。

落ち着いた雨雲色のワントーンは幅広いアイテムと容易に合わせられ、ついつい出番が増えてしまいそうです。

まだまだ気温の低い日が続きますので、こうした汎用性の高いものから少しずつ春気分を盛り立てていくのが健康的ですね。

オンラインストアはこちらです→ Hardly Spun Cotton P.O.


我が良き友よ ~ EEL/ ムッシュジャケット&ムッシュパンツ

毎シーズンご好評いただいているEELの定番セットアップが今年も素材を変えて登場しました。

シャープな細長いシルエットに軽い仕立てが絶妙な塩梅の、ムッシュシリーズです。

今シーズンはコットンナイロンのカラッとした生地を使用しています。

また、パンツのジッパープルをよく見れば

EELオリジナルの刻印入りにバージョンアップしましたね。

ネイビーはセットアップとしてはもちろん、ジャケット、パンツ単品でも使い回しの利く便利さが嬉しいところ。


春を迎え装いがどんどん軽くなる中できっと重宝することでしょう。

一方オリーブ。


こちらも単品でその魅力を発揮できますが、何といってもセットアップ着用時にそのポテンシャルを最大限に発揮します。

ドレスアップした方がいい、でもあまりフォーマルすぎるのもおかしい。
ビジネスシーン向きのスーツでもよいけれど、それでは何だか色気が足りない。
そういった判断に困るシーンで大活躍するのがこうしたクリーンなセットアップです。

このムッシュシリーズであれば、合わせるのはソフトなシャツにノータイまたはニットタイ程度で。
足元は丸みのあるプレーントウ(それこそ、明日明後日に当店でオーダーできるdelightful toolの靴のような!)やローファーなどをお薦めします。

毎日使うものではなくとも、いざというときにこうした気の利いた服をさっと用意できる。
都市生活を営む大人の男子たるもの、そうあるべきではないでしょうか。

オンラインストアはこちらです→
ムッシュジャケット ネイビー/ オリーブ
ムッシュパンツ ネイビー/ オリーブ


もともと特別なOnly One ~ HAVERSACK/ バイカラーバルマカーンコート

まさに洒落者の春を彩るために生まれた服と言えましょう。

HAVERSACKよりお届けするこの二色使いのバルマカーンコートは、このブランドならではの濃厚な滋味に満ちた一枚です。

本体にはコットン×ナイロン混紡の生地が採用されています。

見た目では気づかない程度に起毛した表面のしっとりとした手触り、仄かな色ムラのある独特な風合いに、特殊な加工(企業秘密だそうで…)を施すことで実現した高い撥水性が特徴です。

前立ては襟元フックの比翼仕立てという珍しい設計で、ボタンの開け具合によって覗くラペル部分の白色が目を惹きます。

風の強い日など、チンストラップを用いてスタンドカラーのように着るのもお薦めです。

立体的な前振り袖は仕立ての佳さを雄弁に物語ります。

背面のベントはボタンで深さを調節可能な仕様となっています。

要所要所で目に留まるボタンの素材は、プラスティックでなく水牛の骨です。
照らした光をピカリと弾くのではなく静かに染むような乳白色の趣きに、店主など目がとろんとなってしまいます。

これほどの魅力に満ちていながら、驚くことにネイビー配色のものは日本中でこのたった一枚のみしか流通していません。
つまりこれを逃せばそれっきり、他店様やメーカーからの手配もできないということです。

そんな極希少なコートですので、少しでも琴線に触れるものがあれば是非ともお急ぎください。

オンラインストアはこちらです→ バイカラーバルマカーンコート


ゲームマスター ~ MASTER & Co./ プエブロレザー21mmガチャベルト

春は色の季節。

2月に入ったあたりから昼の光は少しずつ強さを増してきて、風の冷たさに反して心がふわふわと次の段階へと誘われてしまいます。

そんな気分を今からすぐに反映できることといえば小物使いでしょう。
一つの選択肢として、当店初登場のブランドから届いたこんなベルトがお薦めです。

MASTER&co.(マスターアンドコー)は定番と呼ばれるアイテムに今の時代を反映したほんの少しのアレンジを加えたものづくりを得意としています。

もちろんその魅力は普遍性の高いデザインのみならず、輸入業者としての本業を活かし世界から効率的に取り寄せた良質な素材を、日本国内のハイレベルな工場にて生産することで実現した高い品質も言及しないわけにはいきません。

このベルトに用いられている彩り豊かな革にもその精神が発揮されています。

イタリアはフィレンツェにて革づくりを営み世界中の好事家たちを垂涎三尺たらしむる、バダラッシ・カルロ。

バケッタと呼ばれる脂分の強いタンニン鞣しの革を得意とするこのタンナー(鞣し加工業者)の名を知らした名作のひとつが”プエブロ”です。

時間をかけて牛脂をたっぷりと浸透させた革の表面を起毛させており、新品の状態ではすこしざらっとして見えます。

しかし使い込めばこの脂分がその本性を現し、魔性とも呼ぶべき肉感的な艶を湛える…そんな化け具合こそがこの革の真価というわけです。

おそらくホワイトだけはそれほど変化しないかと思いますが、他の色がどんな熟れ方をするのかが楽しみですね。

そんな通好みの革ですが、敢えてポップな色で細身のロングベルトを、しかも若さに満ちたローラーバックルを用いて作ってしまう、この絶妙なバランスに唸らされます。

いわゆる”ガチャベルト”です。
中学生のころ使ってたよという方も多いのではないでしょうか。

120cmとたっぷり長さがとられていますので、余った部分を垂らして使うのもよいでしょう。

なお、ベルトの先には補強の金具とオリジナルのリベットが配されています。

レッド、イエロー、オリーブ、ネイビー、そしてブラックとホワイトの計6色をご用意しました。
男女問わずお使いいただけます。
各1本のみとなっておりますので、気になる方はどうぞお早めに。

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インディゴ地平線 ~ h.s. Equipment/ インディゴチェックプルオーバーシャツ

少し前にシャツを紹介したHAVERSACKには、複数の派生ラインが存在します。

その内のひとつがh.s.Equipmentです。

ハバーサックよりさらに同時代性を薄め、19世紀後半から1930年代あたりまでのヨーロッパ古着のものづくりを踏襲しながら独自のデザインで再構築した、趣味性の強い服を提案しています。

男女問わないユニセックス展開なのも特徴のひとつです。

今季はこのブランドからも一種素敵なシャツを選びました。

インディゴ染料を使用したチェック柄が目を惹く中厚手の生地はインナーや羽織りものを工夫することで今の時期含め長く着用可能です。

プルオーバー式で、前立ての重なりから連なるように下半分がプリーツ状に重なっています。
デザイン上の面白さだけでなく、これにより運動性も加味されました。

丸襟はまつり縫いで台襟と留められているユニークな仕様です。

袖の剣ボロも見逃せません。
袖口のみボタン留めとなっていること自体は珍しくありませんが、三角ガセットがここに設けられているのはなかなか見ないデザインです。

これほどまでに語りどころを盛り込みながら可愛さを内包し、すっきりとまとまった印象を見せるのは服作りの実力の高さの現れと言えます。
先日ご紹介のblancのパンツはじめ、他ブランドのアイテムと合わせやすいのも嬉しいですね。

サイズは女性向けの0、小柄な男性向けの1をご用意しました。

春の装いの選択肢の一つとして、どうぞご検討ください。

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王の帰還 ~ blanc/ west-point(wide)

登場以来入荷の度に姿を消し、店主が店頭で穿いているとお客様からそれが欲しいとご要望をいただく、そんなパンツがあります。

それが一昨年のblanc初登場時にもご紹介した、ウェストポイント素材のワイドパンツです。

多くの方の渇望の中、生産背景の事情により一時期供給がストップしていましたが、この度待望の復活と相成りました。

それでは久しぶりに、改めてこのパンツの素晴らしさを見ていきましょう。

まず目を惹くのがこの生地の光沢。
一般的なチノクロスよりも目の細かいウェストポイント、これにアルカリ加工を施して繊維を滑らかに膨潤させることで生まれた艶です。
表面にコーティング等したような処理ではないため、洗濯を繰り返してもそれほどこの質感が損なわれることはありません。

いい服は裏返すとその仕事の丁寧さが判るものですが、このパンツも例外ではなく、ご覧の通りすべての箇所が生地の端が出ないように処理されています。

白眉なのはこの脚のサイドシーム。
通常はロックミシンで処理したり、丁寧なものではパイピングを施したりするところ、袋縫いのような縫い目の出ない始末となっています。

このため、ロールアップしても裏が裏としてそれほど主張せず、自然にすっきりした見た目にまとまります。
デザイナーの気配りの細やかさがひしひしと伝わる部分です。

なお、前回入荷分よりも前立ての重なりが深めに修正され、よりファスナーテープが覗きにくくなりました。
細かい点ですがこうしたアップグレードも見逃せません。

ちなみにこのパンツ、メンズのS~M相当のサイズ感なのですが、なんとレディースのフリーサイズです。
本来はダボッと穿いてロールアップで裾を調整することを想定しています。

それもあってウェストは調節可能な仕様となっています。

とはいえ実際このパンツを買われるお客様のほとんどが男性です。
特に女性に特化したパターンでもありませんので、男女問わず合う方であれば気にせず穿いていただければと思います。

ゴールドがかったベージュに暗いネイビーをご用意しています。
店主は両方愛用していますが、どちらも最高に使いやすく、とても甲乙はつけられません。

未体験の方は是非この名品を一度お試しください。

多めに入荷したはずですが、早々にネイビーは店頭から巣立ちラスト1本になってしまいましたので、比較されたい方はお早めにどうぞ!
(2/3補足:有難いことに入荷当日に完売してしまったため、メーカーに残っていた全在庫を緊急入荷することとなりました)

オンラインストアはこちらです→ ベージュ/ ネイビー