お父さんの背中で ~ TULIP EN MENSEN/ TWIST SHIRT(LONG)

TULIP EN MENSEN初披露にあたってご紹介したのが、亀田縞のノーカラーシャツでした。

その直後あっという間に巣立ってしまったため、実際ご覧になった方はかなり少なく、幻のシャツとして今もなお語り継がれているのですが、素材使いと着丈をあらため、この春また帰ってきてくれています。

少し前に拙ブログに登場したワンピース同様、今回は亀田縞の縞を取り除いた生地で仕立てられています。

形状としての最大の特徴はこの前立て。

スナップボタンが左前、右前と交互に設定され、すべてを留めることで前立てがねじれたように引き攣れる、たいへんユニークな仕様です。

また、スナップを全部外した際に片方が雄、片方が雌と分かれることなく、左右対称に近い印象となります。

実用面でのメリットといった合理性ありきでなく、デザイナー横山さんの美意識のあらわれです。

また、この穏やかな生成の素材感を引き立てるべく、前立ての裏と

袖裏に

春らしい色調のグログランテープがあしらわれました。

シャツではありますが、ノーカラーの羽織ものとしてさっと纏うのがお薦めです。

サイズはともにユニセックスのL、女性も男性も着用可能となっています。

もともと外套として存在するスプリングコートやブルゾンだけでなく、こうした変形シャツをアウター然と大いに楽しめるのもまた、春ならではですね。

オンラインストアはこちら→ エクリュ×イエロー/ エクリュ×グリーン


たとえこの世の果てまででも ~ SEIL MARSHCALL/ Mini Reporter Bag

昨年晩夏に入荷した黒を半年ほど実際に使ってみて、その使い勝手の良さにあらためて惚れ直しました。

(画像は店主私物)

サイルマーシャルのMini Reporter Bag、新展開色で再び登場です。

オールブラックも佳いものですが、奥行きのある茶色い革とのコンビカラーも、重すぎず軽すぎず小憎い。

敢えて色止め加工を抑え、本来の自然な表情をそのまま残した革は、使い込むほどに柔らかくこなれ、しっとりとした艶が滲み出てきます。

厚みがあるのに硬くない、良質なコットンのショルダーストラップ。
コキ(調節金具)で体型や用途に合わせて自由自在に長さを変えられます。

内部はおおまかに2気室に区切られ、それぞれに小さなポケットが設けられています。

コンパクトな見た目に反し、A4サイズのファイルや缶ビールも難なく収容してしまうのだから驚きです。

なお、実は今回の2色はプチ別注的な仕様となっています。

本来ブラック以外の色はブランドのネームタグがフラップに縫いつけられているのですが、当店オーダー分に関しては隠れるような位置に変更していただきました。

これにより、バッグ自体の構造に基づくデザインを一層楽しめるようになっています。

HAVERSACK、ASEEDONCLOUDやKIMURAといった匂いのある服から、Itheやniuhansのようなニュートラルな服まで、守備範囲もとても広く、日常の相棒としてたいへん重宝する鞄です。

春は何かと節目になる季節、せっかくですから鞄もひとつ新しい生活に加えてみては如何でしょうか。

オンラインストアはこちら→ オリーブ/ グレー/ ブラック


さわって 変わって ~ niuhans/ Heavyweight Canvas Linen Atelier Jacket

その素朴な印象はまず触れた瞬間に揺らぎ、袖を通せば完全に覆ります。

どれをとっても目立った意匠がないためつい見過ごしてしまいそうになりますが、一度着てしまうと中毒のように強烈な魅了の魔法にかけられてしまうのが、niuhansの服です。

この肉厚なリネンキャンバスで仕立てられたカバーオールタイプのワークジャケットもまた然り。

画像だけだと粗野な質感を想像されるかも知れません。

いえいえ一度撫でてみてください。

潤いがあり、抵抗なくなめらかに滑るその肌触りに、きっと驚かれることでしょう。

この生地はフランスの生地メーカー、Safilin(サフィラン)社の手によるもの。

フランドル地方に位置しリス川が流れるアルマンティエールは水に恵まれ(もともとは百合の群生する沼地だったとか)、中世よりリネンの産地として知られていたほど紡績が盛んな地です。
サフィランは今を遡ること240年の1778年、このアルマンティエールの町でサーモン家によって設立されました。
歴史を辿ると、草創期にはルイ16世の庇護を受け、またナポレオンからも軍需用リネンの注文を請け負っていたようです。
現在は同じくリネンの産地として名高いポーランドを生産拠点とし、常に新しいリネンの開発に挑戦し続けています。

長く培った技術、感覚は世界最高峰と謳われ、多くのリネン愛好家を虜にしています。

なんて冗長な説明はなくとも、そのしっとりとした適度な重み、やわらかな生地の動きが生み出す絶妙な着心地が、それ以上に語ってくれるはずです。

もちろんこのジャケットの魅力は生地のみにあらず。

表層的には骨太なワーク調のデザインでありながら、

身に纏ってはじめて現れる、柔和で気品に満ちた穏やかなその佇まい。
思わず声が漏れてしまうほどです。

これだからniuhansは油断なりません。

いろいろな方にお試しいただきたく、サイズも2から最大サイズである4までご用意しました。
とはいえすでに一部欠品が出ていますので、気になる方はどうぞお早めに。

オンラインストアはこちら→ ブラック/ エクリュ


今年のORDER BORDERについて

コロナ騒動はいよいよ全国全世界的なパンデミックの様相を呈し、パニックを起こした政府の丸投げな要請もあって各地で多くの施設は休業、そうでなくても次々とイベントが中止または延期となっています。

当店の春の風物詩ORDER BORDERも、どうするか悩みました。
世の風向きを考慮した模範的な答えとして、自粛すべきなのかも知れません。

が、やります。

交通機関や多くの企業が平常通りの営業を続け、且つここまで広範囲に事態が拡大している以上、片田舎仲町台の零細商店でのイベントを控えたところで状況は同じです。

ということで

3/20(金祝)~29(日)

の期間、第6回目となるORDER BORDERを開催致します。

今回は新色として、企業や農家で発生する食品廃棄物から染料を抽出し、無駄をなくしていくプロジェクト”FOOD TEXTILE“との共同企画シリーズがズラリ。

またシーズン限定展開のダブルラインボーダービッグTシリーズも登場。

さらにさらに、こちらはオーダーでなく現品販売商品ですが、ペットボトル再生繊維を使用した色鮮やかな”RE-PLAY”も加わります。

まだ終わりません。

G.F.G.S.率いる小柳さんも作曲、演奏メンバーとして直接関わっているG.F.G.S.オリジナルCD”NIIGATA WEST COAST MUSIC”を店頭販売致します。

その小柳さんも新潟から駆け付け、20日、21日に在店していただけることになりました。

今後コロナ騒動がより悪化した際は小柳さん来訪中止やイベント自体中止となるかも知れませんが、現段階では実行前提で準備を進めています。

陰鬱で閉塞的な気分が続くのもまた病に立ち向かう力を削いでしまうもの。
せっかくの春、服屋としてできることは少しでも明るい気分を提供することです。


ストレイト・ストーリー ~ EEL Products/ OVER SHIRTS

EEL Productsの服は現在デザインチームによってディレクションされており(初代デザイナーの高橋さんは現在EELのレディースラインであるironariを手掛けています)、実は商品によってはそれを起案した方の特色を見ることができます。

たとえば昨年秋に登場したフラットシャツを企画したのはパタンナー氏でした。
意匠でなく構造からデザインを起こすところが、まさにパタンナーならではの発想といえます。

そして今回ご紹介するOVER SHIRTSもまた、氏のアイディアが具現化したシャツです。


名前の通り肩幅、身幅がやや広めに設定されたオーバーサイズ寄りのサイズ感であること以外、一見するに珍奇な様子は見られません。

清涼感溢れるストライプが実に春らしい、爽やかな印象です。

しかし背面をよく見てみると…

中央のプリーツがヨークを突き抜けてしまっています。

この一本道と生地のストライプ柄が相まって、縦のラインを強調するようになりました。

これをふまえて正面の比翼仕立てを見やれば、たしかにボタンが隠されていることでストライプが途切れず、やはりここでも縦線を最重要視していることが窺えます。

気づかない人は気づかない、でも一度意識してしまうと気になって仕方がなくなる、そんなEELらしいユーモアが仕込まれた魅惑の一枚です。

オンラインストアはこちら→ グレーストライプ/ グリーンストライプ


ふしぎ遊戯 ~ ZDA/ Marathon 2300FSL & 2400FSL

LUNGE、YOAK、そしてZDAと、当店でのスニーカー三本柱が確立して久しくなりました。

それぞれ得意分野がまったく異なりますが、ことZDAに関しては他2ブランドにくらべトリッキーな魅力が光ります。

実際店頭でもZDAをご購入される方の多くがその絶妙なマイナーっぷり、とらえどころのない佇まいを高く評価される傾向にあり、そうした背景もあってこの春はソチラ方面に全振りしたバイイングを行っています。

2型どちらも新型ではなく既存品番の新色ですが、マンネリ感など感じさせない仕上がりです。

まずは昨年春に登場、店頭のみならずツイッターでも多くの反響を頂戴した2300FSL。

前回に続き、もはや悪ふざけの域とも受け取れる配色。

この狂気のカラーリングに加え、サイドの貫通していない(つまり通気孔としての役目をはたしていない)鳩目などの謎仕様、

そして意外なほどソフトな履き心地から成るバランスが、圧倒的なオリジナリティを放射します。

お次はZDAといえばの代表品番2400FSL。
といっても久しぶりの入荷ですね。

黄色いです。とても。

それでも素材の品質の高さもあって安っぽくなっていないのが大したものではありませんか。

この軽快な色を邪魔せず引き立てるのが、蜂蜜色のマラソンソール。

ゴツゴツしたラギッドさが特徴のソールも、色が明るくなるとだいぶ印象が変わります。

ともに靴としての本質的なクオリティは高く、ただの(文字通り)イロモノでは終わりません。

世の中が暗さと苛立ちを増す一方のご時世だからこそ、せめて春らしい靴で日々の気持ちを上げていきたいもの。
それも装いの大切な役割です。

そうした真っ当な愉楽は、いつでも忘れずにいたいですね。

オンラインストアはこちらです→ 2300FSL/ 2400FSL

追補
なんとこの靴を生産しているスロバキアのパルティザンスケに旅行に行ったことのあるお客様がいらっしゃいました。
その貴重なレポートがこちら。

<opuesto / Tate’s Official Blog>
Partizánske 〜Go NOVESTA

1/3 https://opuesto.hatenablog.com/entry/2019/04/23/182454
2/3 https://opuesto.hatenablog.com/entry/2019/04/24/142418
3/3 https://opuesto.hatenablog.com/entry/2019/04/26/123015

ZDAでなくNOVESTAの靴がきっかけだったようですが、さすがに現地を直に体験された方の文章は臨場感が違います。


Sweet Paradise ~ comm. arch./ Hand Framed Cotton Linen PO & CD

漸う色濃くなる春の気配のためでしょうか、このところ店頭でご覧になる方が増えています。

コムアーチが得意とするコットン×フレンチリネンのニットシリーズ、プルオーバーと

カーディガン。

曖昧なやさしい色目(それぞれチノ、バントピーチと命名されています)が春の柔らかな日差しと呼応するかのようです。

手横編みならではのもっちりとした肉感が、春夏向けの涼しいニットでありながら奥行きのある表情を生み出しています。

プルオーバーはシンプルなデザインながら、裾丈の前後の段差がほんの一匙のスパイスを利かせています。

一方カーディガンはやや変則的な生地使い。

前身頃は生地の表面を、

その他の部位には裏面を用いています。

なお、ボタンも裏面が表側です。

単品の写真では伝わりにくいものの、どちらも着用時のしっとりした重さが心地好く、ドライ且つやわらかな肌触りが病みつきになります。

余談ですが、これらのニットを編み立てている山形県の職人さんの工房は昨年秋の台風で甚大な被害を受け、一時は復旧が危ぶまれるほどでした。
それでも何とかこうして春に我々のもとへニットを送り出してくれたのは、たいへん有難いことです。

服は人が作っているという、当たり前すぎてつい忘れてしまいがちな事実。
あらためてそれを考えさせられる一件でした。

オンラインストアはこちら→
プルオーバー チノ/ バーントピーチ
カーディガン チノ/ バーントピーチ


春が来るたび あなたに逢える ~ FLISTFIA/ Mid Layered Jacket & Track jacket

あっという間に今年の2月が終わりを迎えつつあり、気温はまだそれほど上がらずともお客様の装いも日に日に春めいているように感じます。

一か月後には染井吉野が満開でしょう、早いものですね。

スプリングコートは今時期から出番という方も多い方も知れませんが、もっと暖かくなれば軽快なショート丈のブルゾンも楽しめます。

FLISTFIAの新作”Mid Layered Jacket”は、伸縮性を備えたポリエステル素材を用いて仕立てられています。

薄手でのびやかな着心地、またそれでいて柔らかすぎず適度なハリ、コシを備えた生地です。

襟元、袖口はリブで引き締めつつ、一方で裾には敢えてリブは設けず、代わりにドローコードが通されているユニークな仕様となっています。

そしてもうひと型、同じくFLISTFIAより”Track jacket”。

こちらはストレッチ素材を混紡した撥水ナイロン生地が採用されました。

先述のMid Layered Jacketと対照的に、スタンドカラー×裾、袖リブの組み合わせとなっています。

どちらも、たとえば春の陽気の中の本気すぎないサイクリングにも使えそうですし、初夏の冷房除けにも便利です。
いろいろと想像が膨らみます。

一着あると何かと活躍することは間違いないのではないでしょうか。

オンラインストアはこちら→ Mid Layered jacket/ Track Jacket


スムース・オペレーター ~ smoothday/ 60/2ディオラマシルキーミラノリブタックパンツ

毎シーズンどんどんとブランド数を増やしていった当店ですが、さすがにラインナップがかなり充実してきて、足りない要素はだんだんと見当たらなくなってきました。
むしろ今年からは一層精度を重視し、段階的に削ぎ落していくつもりです。

当然、新規展開ブランド選定の基準はきわめて厳しくなっています。

結果として、今季は(少なくとも今のところ)たったひとつの銘柄しか追加致しません。

それが本日ご紹介するカットソーブランド、smoothday(スムースデイ)です。

同じくカットソーを主体とするCURLYが縫製工場を母体としているのに対し、こちらは生地メーカーである小野莫大小工業のファクトリーブランドとなります。

大正13年創業の小野莫大小工業は、綿と糸加工に注力した生地の開発を得意としています。
その技術はきわめて高く、世界の名だたる高級メゾンブランドがその顧客として名を連ねます。

smoothdayは圧倒的高品質の素材を自前で作れてしまう本業の利を活かしつつも、ただ良質な生地を使いましたで終わらず捻りの効いた服作りを行う、気鋭のブランドです。

まずこのブランドの実力を知っていただくべく、今回はテーパードパンツをお見せしましょう。

注目の生地は、油分、蝋分を多く含んだインド産超長綿を用いた小野莫大小オリジナルの”ディオラマ”糸を度詰めで編み立てたミラノリブ。

上品な艶、絹を想起させるしっとりとした滑らかな肌触り、適度な剛性、そして綿100%と思えぬほどののびやかさを備えています。

深い股上には2本のプリーツが設けられ、

ウェスト背面にはゴムが仕込まれていますので、

ただでさえ快適な生地の特性がさらに引き出され、信じられないほどまろやかな穿き心地となりました。

裁断もユニーク。

背面をご覧ください。

両脇にまっすぐ入っているはずの縫合部分(サイドシーム)が、腰から後ろに流れ

足首の真後ろに到達しています。

本来は対角に位置するはずの縫い目が、こんな近くに寄っていますね。

この斜めへの流れが着用時にドレープのような美しさを魅せるだけでなく、腿や膝脇への縫い目の接触を回避し、さらに解放的な着用感を生み出しています。

まったく、恐ろしいばかりの代物ではありませんか。

男性用と女性用、それぞれ各色(ブラックとネイビー)ご用意しています。

この驚異的な心地よさ、是非ご堪能ください。

オンラインストアはこちら→
Men’s ブラック/ ネイビー
Women’s ブラック/ ネイビー


風が吹いて 暖かさを 運んで来ました ~ SEIL MARSCHALL/ Carry All Bag Large

きょうはやけに外から轟音がきこえると思っていたら、やっぱり少し気の早い春一番だったようです。
昨年より15日前倒しで吹いたとか。

さて、そんな加速を止めない春に足並みを揃えるように、このところ新商品の入荷も続いています。

服はもちろんのこと、こんな陽気な鞄まで。


無骨さが魅力のサイルマーシャルから、その佳さを残しつつ洗練された色使いで過剰なマッチョさを抑えたトートバッグの登場です。

正面はもとより脇に至るまでマルチカラー、それでいてくどくならないところに技が光ります。


開口部にはしっかりとしたVISLONファスナー。

タグの有無を除けば表裏同一仕様で、

色の鮮やかな部分はポケットになっています。

本体内部には特に仕切りがありませんので、適当にバコバコ収納してしまいましょう。

大ぶりですが普段使いに支障のない程度でもありますので、日常生活から旅行、買い出しなどいろいろな場面に活躍するはずです。

季節の移ろいに、服だけでなくこうしたところも合わせてみては如何でしょうか。

オンラインストアはこちら→ オレンジ/ イエロー