アイム・セクシー ~ K.ITO/ レオパードカーディガン

唐突に個人的な話をしますと当店店主は昭和53年の生まれでして、K.ITOのデザイナー井藤さんが大阪の大学に進学したのも同年の春のことでした。

この年はかの『サタデー・ナイト・フィーバー』が日本でも公開され、空前のディスコブーム。
井藤さんも大学のご友人方と、夜な夜なディスコに繰り出したようです。

曰く、当時大阪のディスコでよくかかっていたアルバムのひとつが、ロッド・スチュアート『スーパースターはブロンドがお好き(Blondes have more fun)』だったとのこと。

今回ご紹介するカーディガンは、このアルバムジャケットに登場する女性に着想してデザインされました。

ぱっと見は気づきにくいのですが、近づいてみれば、なんとレオパード柄です。
縁取り部分に綿とナイロン、中央部分にはモヘアとシルクを用いて表現されています。

そして、このひそやかな柄の仕込みのみならず、細部の細部に至るまで徹底的に熟練の技巧が発揮されています。

まず、表面にはラムウールを、そして裏面にはやわらかなモヘアとシルクを用いることで、すっきりした印象からはわからないほど着用者はふわふわの肌触りを楽しめるようになっています。

保温性はひじょうに高く、真冬でなければアウターとしても使えてしまうほど。

そう、カーディガンといってもジャケットに寄せたデザインでもありまして、それもただジャケット型にするわけではなく、そこにもやはりK.ITOならではの独創性が光ります。

定番のウールカットソーのカーディガン同様、首に沿って襟が立ち上がったような構造となっているだけでなく、比翼仕立て、さらにはその二重構造がそのまま襟にも繋がっているという、文章でいったいどこまで伝わるのかわからない凝りようです。

店頭に来られた他ブランドのデザイナーさんたちが口を揃えて「これは凄いな…」と思わず漏らすほどの圧倒的完成度、たしかに価格はそれなりにしますが、決して割高ではないことは着ていただければご納得いただけるに違いありません。

どうぞ一度店頭にてお試しください。

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何年ぶりかで ふとよびとめられた ~ CURLY/ BLEECKER JACKET & TROUSERS

ホワイトカラーの勤め人たるものだれもがスーツで働くのが当然、という時代は過ぎ去ろうとしています。
一方でスーツ本来の魅力であったり、上下揃いの服ならではの凛とした美しさの評価は、若い方を中心に上がってきているような気もしますね。

またふだんスーツをお召しにならなくとも、イベントなどでそれなりにきちんとした装いを求められるシーンも少なくないようで、当店でもセットアップをお探しの方が年々増えてまいりました。

そこで使いやすい色となるとネイビーやグレーがまず候補に挙がるところでしょうが、この季節ならではの茶色い起毛生地も、またいいものです。


この肩の力の抜けたジャケットとパンツは、コットンモールスキンのような風合いと自然な伸縮性を兼ね備えた、CURLYオリジナルのエクストラバルキーモールスキンジャージーで仕立てられています。

高温で約1.5 倍に膨らむ糸を二重編みで編み立て、そのうえで高温で染色することで糸を膨らませハリを持たせているとのこと。

カットソー専業ブランドならではの技術が光ります。

ジャケットはブレザーをベースとした、三つボタン段返りのオーソドックスなデザイン。
前振りの袖や本切羽(袖口のボタンが開く仕様)の袖口など、これもテーラードジャケットの要素を取り入れながらも、やはり最終的にはCURLYらしく日常的な服へとまとめあげています。

パンツは、細身の多かったCURLYにしては太め。
ほどよくゆとりのあるテーパードシルエットが、直線的なジャケットから自然に繋がります。

すでに店頭では気にされる方がちらほら見え、現段階(11/1時点)ではジャケット、パンツともにサイズ2を残すのみとなりました。

今月から霜月、秋も本番を迎えるにあたり、是非ご検討を。

オンラインストアはこちらです→ BLEECKER JACKET/ BLEECKER TROUSERS


この街に この家に こころは帰る ~ EEL Products/ ハウスコート

ブログ読者の皆様、お久しぶりでございます。

突如発生した問題により、しばらくブログの更新ができない状態が続いておりました。

PHPタイムエラーが続出していたとかで、いまだによく理解できていないのですが、とにかく先ほどようやく直った次第です。

このエラー発生期間中開催されていたASEEDONCLOUD受注会も昨日無事閉幕。

ふだんお見せできないブランドの豊潤な世界を、多くの方にお楽しみいただけてうれしく思います。


土曜日ヘルプにお越しくださったスタッフの三澤さんはじめアシードンクラウドの皆様、そしてご来店いただいたお客様方、有難うございました!

さて、久々の新商品のご紹介です。

ようやく秋の深まりを目にも肌にも感じつつあるこのごろ、あたたかな服のぬくもりに一層惹かれます。

真冬の訪れはまだ先ですから、こんなほどよい外套があればうれしいところ。

EEL Productsの新作ハウスコートは、その気楽な着心地をもって、まるで家でくつろいでいるかのような心持ちにさせてくれます。

素材はウールベースのヘリンボーン。
肉厚で、やわらかく、ふんわりした肌触りです。

過去にご紹介したイージーカーデの如く生地の際断面を敢えてそのまま残し、リラックスしたなかにも適度なエッジを立てています。

袖も切りっぱなしで裏地などもありませんから、好きなように折り返しても違和感なく着用できます。

ボタンの留め具合で表情ががらりと変わるのも特徴で、先に上げた画像のようにガウンよろしく着てもよし、一番上を締めればよりコートらしく、

全部外せばさらに力の抜けた雰囲気が出ます。

なお、このコートはSとMでだいぶサイズ感、シルエットが異なりまして、Sサイズは比較的体に合わせたバランス、Mサイズはオーバーサイズ気味の円みの強い印象となります。

先述のように、袖を折り返せる構造ですので、M以上しか着られない方は別として、両方着比べてお好きな着用感でお選びいただいてもよいでしょう。

遠足は家に着くまでと言ったもの、さっと纏って秋の街へ繰り出し、それから家に帰るまで、あるいはひょっとしたら家の中でもずっとやさしく寄り添ってくれる一着です。

オンラインストアはこちら→ チャコールグレー/ ベージュ


ASEEDONCLOUD & Handwerker 2020年春夏商品受注会を開催します

お陰様で、昨日<靴とYシャツと私 Pt.2>は盛況のうち閉幕致しました。
delightful tool寺田さん、holo shirts.窪田さん、そしてお越しいただいたお客様方、有難うございました!

その余韻も冷めやらぬ中ではございますが、今週末よりまた新たなイベントが開催されます。

当店で大人気を誇るASEEDONCLOUDとそのワークウェアラインHandwerker、これら2ブランドの来年春夏商品の一般向け受注会を、当店にて開くこととなりました。

来季のテーマは”採種発(さいしゅっぱつ)”。
2019AWの“雲上花”のお話の続きとなります。

「くもにのったたね(a seed on cloud)」の花を咲かせた双子は雲に上るのに梯子を用いていました。

それを使って多くの人たちが勝手に花畑を見に行き始めます。
朝や夕暮れなど、そのときどきの陽に照らされた雲上花の美しさの評判はさらに評判を呼び、人がとめどなく押し寄せることに。

その喧しさに驚いた花たちは、いつしか人が来ない夜の間だけ花を咲かせるようになりました。

双子はそんな花たちを不憫に思い、人々が雲に上れないように梯子を外し、その代わりに花たちが咲き終わった後その種を地上に撒きました。

そして地上で咲いた花の種の冒険が始まり、『くもにのったたね』の物語の円環が成就致します。

10周年を迎えたASEEDONCLOUDの、新たなステージの幕開けです。

受注会の開催期間は、
10/25(金)~10/28(月)

先に述べた2020春夏商品の先行受注のみならず、小物など即売可能な商品も入れていただきます。

そして10/26 14:00~20:00のあいだは、アシードンクラウドスタッフの三澤さんが在店され、それぞれの服にまつわる物語や服自体のこまかな説明を受けることができます。

ふだん店内のスケールでは味わえない豊かな世界を、どうぞお楽しみください。
皆様のお越しを心よりお待ちしております。


Don’t wait for Monday ~ MASTER & Co./ コーデュロイワークジャケット&パンツ

ゆっくりと段階的に深まるその訪れを楽しむ間もなかったこの秋に、困惑されている方は少なくないのでは。

涼しさに体がまだ慣れていませんから、余計に寒く寂しく感じるのかも知れません。

ならば身に纏うべきはコーデュロイです。

MASTER&Co.の定番モデル(とはいえ当店では初登場となります)の素材を太畝コーデユロイに乗せ換えたワークジャケット、このやわらかくしっとりとした質感が、これから冬に向かう道程を温めながら寄り添ってくれます。

胴部分と袖には生成りのコットンヘリンボーンの裏地が張られ、保温性と着心地を高めています。

内ポケット付きなのもうれしいですね。

ジャケットの形状は意外とすっきりしたシルエットで、肉感豊かなコーデュロイの風合いを載せても厚ぼったくなりません。
適度に野趣味が加えられて、むしろ望ましい塩梅です。

これにくわえて、いつものパンツにもこの素材バージョンが登場しました。

夏の当店別注パンツと同型にして、まったく印象が異なるのが面白いところです。

単品ではもちろんのこと、先のワークジャケットとセットアップで着用しても素敵だと思います。

お好みの色で、どうぞこの秋冬をお楽しみください。

オンラインストアはこちらです→
コーデュロイワークジャケット ブラック/ ダークブラウン/ キャメル
コーデュロイパンツ ブラック/ ダークブラウン/ キャメル


もう少し しゃべりましょ ~ KESTIN HARE/ CAMPBELL TOWN COAT

一昨日から開催中の<靴とYシャツと私>は災害直後であるにも拘わらずお陰様で多くのお客様にご来店いただいています。

とても有難いことです。

先日お伝えしましたように当初の予定から期間を延長し、今週末まで開催を継続致しますが、delightful toolの靴に関しては10/19(土)の12:00-19:00の間のみ受注可能ですので、どうぞお忘れなく。

holo shirts.は本日など平日も変わらず受注可能です。
19日と20日はディレクターの窪田さんが在店されますので、直接会って相談したい!という方は靴と同じく週末にお越しくださいませ。

引き続き皆様のお越しを心よりお待ち申し上げます。

さて、昨日から急に気温が下がり、なにやら本格的に秋めいてまいりました。

通年活躍する靴、シャツはもとより、よりあたたかな衣料の出番はまさに今。
ほっかほかの防寒着とまでいかない、このくらいのコートが活躍します。

おなじみケスティンエアの名作ショップコートが、マイナーチェンジして横浜を温めにやってきました。

ハイランド地方とアイラ島の中間に位置するキャンベルタウンの名を冠した今季モデルは、ウィスキーカラーで染め上げられた春のモデルより着丈などが伸び、よりばさっとした大柄な印象となっています。

キャンベルタウンもまたかつてはスコッチウィスキーの一大生産地として知られましたが、さまざまな要因があって今ではすっかりその勢いも衰え、現在は3つの蒸留所を残すのみとなりました。
しかしその一方で彼の地で作り出されるお酒の、スコッチで一番と言われるほど塩気の強い(briny)風味は、ウィスキーファンには無視できないものだとか。
実に興味をそそられます。

やわらかく、しかしざらりとした風合いのこの生地からも、甘さと塩辛さの同居したキャンベルタウンモルトに通じるであろう複雑な滋味を感じます。

着用時の生地の落ち方やほどよいゆとりから生み出される美しいドレープなども、単品で見てもなかなか判らないところですが、実際袖を通してみればフムとご納得されるはず。

それこそholo shirts.のシャツにdelightful toolの靴を合わせたくなるような、絶妙な匙加減のコートです。
是非店頭にて、イベントをお楽しみいただくとともにお試しください。

オンラインストアはこちらです


<靴とYシャツと私>本日より開催します

昨日の台風19号は幅広い地域に跨り各地多くの爪痕を残したようです。

今もなお完全に列島から過ぎ去ったわけではなく終わったものとしては語りかねるとはいえ、幸いにして仲町台の被害はごく軽微、今回参加2ブランドのお二方も無事が確認されたたため、本日からのイベントは予定通り12時から開催します。

足元の荒れたなかではありますが、皆様のお越しをお待ち申し上げます。


靴とYシャツと私と台風

どうにもこうにも、土曜日の超大型台風襲来は避けられないようです。

<大型で猛烈な勢力の台風19号三連休初日、非常に強い勢力で上陸か>
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191010-00011141-weather-soci

今週末の三連休開催予定だった”靴とYシャツと私 Pt.2“、多くの方にご期待いただき、遠方のお客さまからもご来店の予告を頂戴していたなか断腸の思いながら、初日(土曜日)は臨時店休日と致します

もうイベント以前に店自体開けませんので、危険を冒してまでご来店なさらないでください。
安全第一です。

その代わり、delightful tool寺田さんとholo shirts.窪田さんにご協力を仰ぎ、イベントを短縮するのではなく、翌週末まで延長することとなりました。

具体的には、下記スケジュールとなります。

12日 臨時店休
13日 交通機関の状態次第で開催(また当日告知します)
14日 交通機関の状態次第で開催(これも13日か当日に告知します)
15日 シャツのパターンオーダーのみ受注(窪田さん不在のため、当店店主が対応します)
16日 定休日
17日 シャツのパターンオーダーのみ受注(窪田さん不在のため、当店店主が対応します)
18日 シャツのパターンオーダーのみ受注(窪田さん不在のため、当店店主が対応します)
19日 両ディレクター在店。革靴は12:00-19:00の時間内でオーダー対応、シャツは終日対応
20日 シャツのパターンオーダーのみ受注(窪田さん終日在店)

被害が軽微で済めばではありますが、是非ご都合にあわせてお越しください。

どうぞ宜しくお願い致します。


吹くからに 秋の草木のしをるれば むべ山風を嵐といふらむ ~ CURLY/ ALL-PURPOSE COAT

週末の三連休に開催されるdelightful toolとholo shirts.合同受注会”靴とYシャツと私 Pt.2“もいよいよ迫り、ソワソワドキドキワクワクしていたところに、超大型台風の発生だとかまったく冗談のような事態、愕然としています。

しかし所詮われわれ人間なんぞにできることは限られており、あとはしっかり備えながらもどれだけその影響が軽微で済むかを神様仏様に祈るしかありません。

さて、雨と言えば当店ではブランドストーンのブーツ(相変わらずお手入れ記事を多くの方に読んでいただいているようで、有難や)、それに今まで取り扱ってきた数々のレインウェアですが、その冷たさに心まで凍りつく秋冬には、ただ雨を弾くのではなく、防寒性も求められてきます。

現在はMONTANEもお休みし、本格アウトドアブランドのご用意はないものの、それに代わるのが伏兵CURLY。
全国で最も降水量の多い高知県と同じ四国でありながら最も快晴の日の多い県として知られる香川県のブランドでありながら、毎シーズン完成度の高い防水透湿ウェアを送り出しています。

昨年ご好評いただいたALL-PURPOSE PARKAの系譜を継ぎ、より幅広いシーンに対応できるものへと改良されたALL-PURPOSE COATはその筆頭と言えます。

防水透湿機能(耐水圧15000mm、透湿度15000g/㎡/24h)を備え、ストレッチ性と保温性に優れたソフトシェルコートです。

表地に高密度に編み立てられたポリエステルニット、中に透湿防水フィルムを貼り、裏面に中空構造の繊維を用いて編まれた編まれたサーモライトフリースを貼り合わせた、CURLYオリジナルの3レイヤー生地で仕立てられています。

フードは着脱可能で、

外すとすっきりしたスタンドカラーコートへ変身します。

このスタンドカラー部分にははドローコードが仕込まれ、ここを絞ることで冷気をシャットアウトできます。

ポケットは大きく、またファスナーを使わずして浸水を防ぐ仕様となっています。

ラグランスリーブ+ミドルレングスの着丈ですので、ジャケットの上にも着用可能です。

職種にもよるかも知れませんが、フードを外せばビジネスシーンでも違和感なくお使いいただけるのでは。

いわゆるレインウェアではないため、雨天に限らず着られますし、その伸びやかな着心地は癖になるはずです。

ワードローブに入れておけば、確実に重宝することでしょう。

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燃える平原 ~ EEL Products/ ブレイザーズ

もともとTwitterのオフ会だった90年代座談会が想定外の反響をいただき、そのまま調子に乗ってテーマを変え第2回を行ったのが、一昨年の10月でした。

この第2回は若干テーマを絞ったうえに途中から参加者全員とも酔いが回ってきて暴走気味になり、そのためかその2か月前に公開された90年代座談会ほど共感は集められなかったのか、当時聞くところによるとアクセスもそこそこだったようです。

ところがこの記事、なぜか今年に入ってからじわじわと人気が高まりつつあり、この記事を読んで来たよというお客様がちらほらと増え始めてきました。
しかもその多くが遠方の方。なんて有難いことでしょう。

その第2回座談会で当店店主が述べた、まずは靴、その次に良質なジャケットという考えは今でも変わっていません。

良質なジャケットだなんて大雑把な表現ですが、まさにこういうものを指します。

EEL Productsの新作、ブレイザーズ。
先駆者を意味するTrailblazer(この場合のblazeは「木に目印をつける」の意)からその名をとったブレザーです。

ブレザーの由来には諸説あります。

ケンブリッジ大学セントジョンズ・カレッジの会員制ボートクラブレディ・マーガレット・ボートクラブのユニフォームである赤いフランネルのジャケット、これが燃えさかる炎(blaze)のようだとして称されたという説(ただし、最初にそう形容したのは赤と黒のストライプ柄を指してのことだったようですが)。

あるいは19世紀に英国軍の船であるブレイザー(HMS Blazer)の乗組員に着用が義務付けられた金ボタンの紺ジャケットから、という説。

スポーツウェアとしてか軍服か、いずれにしても英国の制服由来のようです。

このジャケットがやがてアメリカに伝わり、現在われわれがよく知るブレザーの形が完成します。
基本的には前者ボートクラブの制服の形状、すなわちシングルブレステッドのスポーツジャケットが土台です。

20年代の英国オックスフォード大学の学生に倣って好んでブレザーを着用していたアイビーリーグの学生、そして卒業生、すなわち米国エリート層のその装いが日本のVANとメンズクラブ独自のフィルターを通して啓蒙され、今に至るわけです。

90年代初頭の渋カジ~キレカジブームではラルフローレンなどのダブルブレスト×金ボタンのブレザーが流行りましたが、そちらは後者の英国海軍ルーツでしょうか。

ちなみに流行語大賞の1991年度の表現部門・銀賞は「紺ブレ」です。
同年の『東京ラブストーリー』で鈴木保奈美演じる赤名リカが着ていて、可愛かったですね。

この年は大衆部門・金賞に「僕は死にましぇ~ん」(『101回目のプロポーズ』)が選ばれており、トレンディドラマの黄金期でした。
ところで今当時の映像を見返すと「僕は死にましぇ~ん」とは言っていません。せいぜい「死にましぇん」です。

もうどんどん道が逸れて何の話だかわからなくなってきましたので、本題のブレイザーズに戻しましょう。

まず用いられている生地は、陰影入り混じるグレー、滑るようなネイビーともに、尾州でEEL Productsのために織られたタスマニアウールのフランネル。

しなやかで柔らかく、しかし適度な厚みとコシのある素晴らしい素材です。

意匠は基本的にオーソドックスなアメリカンスタイルのブレザーを継承しています。

三つボタン段返りのフロント、

パッチポケットに

フックベント。

しかしただ踏襲するのみならず、ラペルやポケットは縁取りのステッチが見えない仕様にされ、

メタルでなく共生地のくるみボタンを採用、

このボタンも鳩目部分に金色のメタルを用いていて、なかなか手が込んでいます。

そしてアメリカントラッドのジャケットには見られない、EELならではのやわらかく円みを帯びた優しいシルエット、これこそがこのブレザーを普遍の次のステージへと引き上げました。

春に刊行された書籍『イールプロダクツ』でも、発売間のモデルであるにも拘わらず作り続けてきた/作り続けるべき定番として名を連ねていました。
ブランドとしてもその完成度に対し大いに自信のある表れでしょう。

ブランド側の提案としては新作チノパンツ”ローファーパンツ”にローファーと組み合わせて往年のアイビーカジュアルスタイルを現代的に再解釈していましたが

同じアイビー/アメトラベースでもう少しドレッシーに、ウールサージの少年パンツ、それにdelightful toolの靴などと品よくまとめてもよいですね。


もちろんアイビーだとかそういったジャンル、概念にとらわれず、お好きなように着ていただいて問題ありません。
それだけの度量の大きさはありますから。

オンラインストアはこちらです→
ブレイザーズ グレー/ ネイビー
ローファーパンツ ベージュ/ ネイビー
少年パンツ グレー/ ネイビー/ ブラック