おはなしゆびさん ~ handson grip

初年度から当店で手袋といえばのhandson grip(ハンズオングリップ)、今年も当然の如く入荷致しました。

基本的には定番品中心のブランドにつき、抜群の保温性能を誇るオールレザーの看板モデルWander’Boutをはじめ

昨年登場しご好評いただいた、一枚革のビジネス向けモデルFam、

店主も愛用しているソフトシェル×ウォッシャブルレザーコンビの軽快なEasy Breezy、

そして市街地モデルのTrackerといった人気品番を引き続き展開します。

さて、このTracker、実はこの秋にマイナーチェンジが施されました。

軽くのびやかでほどほどに暖かいマイクロフリース素材ポーラテックパワーストレッチボディをベースに、掌に摩擦力が強く滑りにくいマイクロファイバーを用いた基本構造は変わりませんが、指先にご注目。

以前親指と人差し指の先にはスマートフォンなどのタッチパネルに対応した特殊な糸がステッチされていました。

ここを指先丸ごとタッチパネルに反応する素材に切り替えることで、耐用年数が改善し、また操作性も向上しています。

どの型も元から基本設計の精度が高く、すでに完成形なのかと思いきや、このブランドはさらに高みを目指し続けるようです。

来たる冬に備えて、今のうちに是非いろいろとお試しください。

オンラインストアはこちらです→
Wander’Bout ブラック/ タン
Fam ブラック
Easy Brreezy ブラック
Tracker ブラック/ シンダー


コンゴトモ ヨロシク ~ HAVERSACK/ フラノボンディングコート

スコットランドフェアのさなかではありますが、もちろん他国のブランドの服も引き続きと店頭に並んでいます。

秋も深まるにつれ、このコートをご覧になる方が日に日に増えて参りました。

一見するとオーソドックスなバルマカーンコート、しかし知れば知るほどその魅力から逃れられなくなってきます。

襟元のチンストラップに

たっぷりとしたAラインシルエットに切り込まれた深いサイドスリットが誘う動的な生地の流れ、

細かな仕様が織りなす匂いたつ色気はハバーサックの真骨頂です。

しかし何といっても最大の特徴はこの素材使い。

しっとりとした上質なウールフラノと、あろうことか通常ウェットスーツ等に用いられるネオプレーン素材をボンディングした、悪魔合体とも言える肉厚な生地で仕立てられています。

ネオプレーンの特性が加わることで一枚仕立てながらすぐれた保温性を確保し、そして独特のモッチモチした着心地がよろこばせてくれます。

この弾性が生地の風合いにも作用し、肉感的なドレープ感が生まれるという視覚的効果も見逃せません。

羊の皮を被った狼の如き一枚です。

その豊潤な迫力を是非お楽しみください。

オンラインストアはこちらです→ ブラウン/ ネイビー


スコットランドブランドフェア開始しました!

本日よりスコットランドの気鋭ブランド合同のポップアップイベントが始まっています。

KESTIN HAREからはアウター、ジャケット、パンツが

JENNIFER KENTからはお馴染みのマフラーだけでなく

美しい発色のシェトランドセーター、

そしてイベント期間ならでは、ジェニファー直筆のドローイング(非売品)まで。

INSTRMNTも珍しくちょっとアダルトな雰囲気の新型が登場しました。

本日はお天気も好く、秋冬衣料などを探すには最高の日和です。

皆様のご来店、心よりお待ち申し上げます。


ライド・オン・タイム ~ EEL Products×LAVENHAM/ MILDEN

40歳前後あるいはそれより少し上の世代が若かりし時分、乗馬用のキルティングジャケットが流行したことがありました。

店主の記憶では『Begin』誌の影響でビジネスマンがスーツの上に纏うようになった(ビギン君、なんて呼ばれていましたね)のもその頃です。

軽く、ほどほどに暖かく、羽織るだけで英国の匂いを醸し出すことから学生から大人まで広く愛されていましたが、いつしか、寧ろスーツ姿の時に着るものと認識されたりと、その立ち位置は少しずつ変わっていきました。

若い世代だと存在自体気にしたことがない方が多いかも知れません。

さてそんなキルティングジャケット、そうして流行の場から離れしばらく経つうちに、一周廻って目新しさすら帯びて参りました。

今こそ、カジュアルの場に呼び戻してもよい頃合いでしょう。

キルティングジャケットといえばの英国ラベンハム。

エリザベス(2世)女王に仕える女官が、ナイロンを用いて保温性の悪い従来品に代わる軽量で暖かいホースブランケットを開発すべく、自らの故郷ラベンハム村にて創業しました。
のちにその生地を用いて乗り手のための上着として世に送り出したのが、お馴染みダイアモンドステッチのキルティングジャケットです。

この由緒正しい名門にEEL Productsが別注をかけ、往年の名モデルMILDENを現代的に復活させました。

’00年代のDior Homme旋風はモードの枠を超え、こうした英国調のスポーツウェアにまで影響を及ぼしました。

もともと肩幅や身幅が広く、アームホールがゆったりしていたキルティングジャケットも、しだいに細く、シャープでコンパクトな形状へ。

やがて旧来の型は古臭く野暮ったいものとされ、いつしか表舞台から姿を消していきます。
そのひとつがこのMILDENです。

不思議なもので、ともすればもっさりしがちなこの型が、今の目には却って新鮮に映ります。

さすがに昔の型のままだと鈍重な印象は否めないため、この別注にあたり着丈はやや短く修正されました。

くわえて、襟のコーデュロイ使いはそのままに

身頃のパイピングはコーデュロイからナイロンテープへ、プラスティックボタンは奥行きのある真鍮製のものへ差し替えられています。

また、これはこの別注に限った話ではないのですが、昔のキルティングジャケットをご存知の方であまりいい印象を持たれていない場合、その原因としてしばしば挙げられるのがキルティングのステッチ切れの多さです。

実際店主の友人が学生時代に着ていたジャケットは糸がいたるところで切れていて少し物悲しい雰囲気に包まれていました。

このステッチ切れに関してはラベンハム側も問題視していたらしく、現在は改善されたようです。
どうぞご安心を。

ちなみに、ラベンハムのジャケットは今もなおすべて本国サフォーク州サドバリーの自社工場にて生産されています。

検品と畳みの担当者名が洗濯表示タグに添えられているのが、人の手が関わっていることを改めて認識させてくれますね。

画像のものはJANETさんが担当されたようです。
担当者は複数名いるため、それぞれ表示は異なります。
そんなことをする方はいらっしゃらないとは思いますが、担当者指名でのご注文は承っていませんのでご了承ください。

閑話休題、前述の通りスーツの上にも着用でき、また普段でもさっと軽く羽織れる便利さは、これだけいろいろと機能的な衣料が世に出回る時代に於いてもその価値を損なうことはありません。

懐かしいなと思う方、初めて触れる方、人それぞれでしょう。
おのおのの思いを胸に、楽しくお召しいただければ幸いです。

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当店オンラインストアとブログのサーバーメンテナンスについて

実は先月から、毎週水曜日2:00AM-7:00AM(まれに時間変更あり)にオンラインストアのサーバーメンテナンス業務が行われています。
メンテナンス中はオンラインストアのご利用、およびブログの閲覧ができませんのでご了承ください。

さて、恐らくその影響で、本日ブログのトップページから記事が読めない事態となっていました。
夕方に復旧が確認できまして、現時点(このブログをアップしている通り)問題なくご覧いただけるようになっています。

作業終了予定日である11/28まではこのようなエラーが発生する可能性はございますゆえ、そうした場合「アレッ、ブログも通販サイトも消えてる…ついにあの店潰れたか!やっぱりね!」とご判断なさらぬよう、くれぐれもお願い申し上げます。


あの日 あの時 あの場所で 君に会えなかったら ~ Rencontrant/ カシミアセーブルクルーネックセーター

基本的に既製服はある程度の生産数があってはじめて量産可能になるものでして、そのマスプロダクトとしての性質を極限まで追求したのが皆様ご存知ユニクロでありファストファッションであり低価格衣料なわけです。

不況や格差の拡大などの後押しもあってこうした時代の旗手たちが世を席巻、同業あるいは異業種からの参入組まで他社が追随するにしたがい衣料品自体がコモディティ化し、それを市場はファッションの民主化と高く評価、今に至ります。

服を評価するにあたって「コスパ」という相対的な概念が最重要項目にリストアップされるようになったのもそのひとつの結果といえるかも知れません。

この流れ自体は正しいように見えますね。
装いを楽しむこと、そうでなくても日々の身嗜みを維持する営みが、所得や文化資本の多寡から解放されたのですから。

しかし、低価格を実現するための大量生産は、必然的に邂逅の興奮の機会を剥奪するものでもあります。

上記のようなエクストリームな例でなくとも、最近いろんな服屋に行ってもワクワク感が少ない、ナニコレという出会いがなかなかない、そうしたお声はしばしば店頭でも耳にするところです。
昨今の市場の求めるあらゆる合理性が、数値化できない何か重要な要素まで削ってしまっているのではないでしょうか。

いつもの如く話がとッ散らかってしまっていますが、ええと何が言いたいのかと申しますと、瞬間瞬間のたいせつな出会いは人生に於ける重要な潤いであり、それは服一枚についても例外ではない、ということです。

ゆえにたとえば店主がこのニットと出会い、受けた感銘を、皆様にお伝えする、マーケットに何の影響も及ぼすことのない片田舎の零細商店ですが、だからこそそれは丁寧に続けていきたいですし、だれか一人であっても素敵な出会いのきっかけになれればと願っています。

当店初登場のRencontrant。
まさにそのままフランス語で出会いを意味します。

ちゃんと発音するとカタカナ表記不可能なため、便宜上国内では「レンコントラント」と称すとの由です。

旅とニットを愛するフランス人デザイナーSara Dubois女史がディレクションを行い、彼女が旅先で出会った人や生産地の思い、技術を伝えるべく素材や工場を選定してニットを生み出しています。

結果、フレンチブランドではありますがこのセーターは日本製です。

素材はウールではありません。
なんとカシミアにセーブルを混ぜて編み立てられています。

セーブル(黒貂)の毛皮は最高級品として知られ、カシミアより繊維が細く滑らかな肌触りで、また内部に気泡を有するため軽く暖かいという特性を備えています。

日本でも奈良時代くらいから朝廷、貴族らに珍重されていました。
かの『源氏物語』でも末摘花がその毛皮に香を焚き染めて着用しているさまが描かれ(「表着には黒貂の皮衣、いときよらにかうばしきを着たまへり」)、没落前の栄華を仄めかしています。

そんな毛を用いたニットですから、そのふんわりとした質感、そして軽さには息を飲み言葉を失います。

デザインは余計な付け加えをせずとも、リブの仕様など細部に気が配られています。

全体のバランスとしては、若干着丈が短く、そして袖が長めです。

S~Lサイズまで取り揃えました。

ブランドのコンセプト自体がユニセックス対応で、Sは女性や小柄な男性向け、Mは一般的なSとMの間、Lは一般的なMとLの間くらいの大きさとなっています。

当店では敢えてこの美しい紫色のみの展開です。

まさに一期一会の極上品、手に取られた方のみに許される愉楽を、是非ご堪能ください。

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スコットランドブランドフェア開催のお報せ

昨日ご紹介したウィリアムロッキーのような老舗工場のみならず、近年続々と現れるクリエイターたちの活躍も気になるスコットランド。

清潔で明るく、しかし無機質にならず色使いに長け、それでいて静謐なデザインの感覚は、当店の求めるところと大いに合致するところで、今最も気になる地域の一つです。

というわけで、昨年冬に引き続き、当店でもお馴染みの3ブランド合同のポップアップフェアを開催します。

会期は11/17(土)~11/25(日)です。

その筆頭はKESTIN HARE。

当店で今季展開していない品番をはじめ、ジャケットとパンツを中心に各種アイテムを期間限定でご提供致します。

お次にJENNIFER KENT。

昨年大好評だったマフラー、実は今年もすでに店頭には並んでおりまして、次々にお客様のもとへ巣立っていっています。

グラスゴーの家具デザイナーであるDerek Welsh氏とのコラボレーションモデルも登場し、ますます目が離せません。

会期中は完売モデルや当店未展開モデルのマフラーのみならず、初のお目見えとなるシェトランドウールのクルーネックセーターもやって参ります。どうぞご期待ください。

最後はINSTRMNTの腕時計。

現在ほとんど店頭在庫が残っていませんでしたので、ここでずらりと改めてご紹介致します。

どれも当店のお客様には御周知の実力派揃い。

そろそろ木枯らしも吹きはじめるころですし、スコットランドの息吹をご堪能いただくには絶好の時期ではないでしょうか。

皆様のお越しを、心よりお待ち申し上げます。


黒檀の鎧 ~ WILLIAM LOCKIE/ ラムウールシャツカラーカーディガン

例年にくらべやや暖かなこの秋、週末もTシャツ短パン姿の方がちらほら見受けられるほどでした。

しかし今週はいよいよ気温が平年に近づくようで、秋冬衣料の本格的な必要性をひしひしと感じるところです。

暖かな上着はもちろんのこと、適度に保温性が高くそれでいて暑(厚)すぎないニットがあればたいへん重宝することでしょう。

当店では極上ハイゲージニットでお馴染み(つい先日もラズベリーカラーのニットをご紹介しましたね)WILLIAM LOCKIEより、しっかりとした良質のラムウールを用いたミドルゲージのカーディガンが届いています。

カーディガンといっても、首元までしっかりボタン留めができるシャツ襟で、ニット素材のシャツジャケットのような風体です。

両脇にはポケットが設けられています。

ボタン周辺に補強が施されているところはさすが専業メーカー。

全体的にすっきりとしたボリューム感で、もたつきはありません。
サイズは40で一般的なS程度、42でM程度の大きさとなっています。

シャツからクルーネックのTシャツまで、中に合わせるものを意外と選ばないデザインで、軽い羽織りものとしてもコートなどの下に着る中間着としても活躍します。

色は豊富なバリエーションの中から、季節感を引き立てる渋めのエボニー(黒檀)のみを選びました。

ハイゲージニットでその品質に触れた方も、初めてこのブランドに触れる方も、きっとご満足いただけるであろう一枚です。

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かしこも楽しこゝもよし いざ見てめぐれ汽車の友 ~ EEL Products/ SL JACKET & PANTS

元来出不精の気質ではありますが、さりとて外出遠出そのものが厭わしいということもなく。

常に眼前高く聳える金銭的問題の壁さえなければ、実際はいろんなところへ気儘な旅に出たい心持ちはございます。

この季節、こんな出で立ちで、どこか遠いところのローカル線にでも揺られながら。


EEL ProductsのSL JACKETとSL PANTS。

それぞれ昨年春にご紹介したベーカリージャケットおよびサンパンツと同型で、素材を秋冬用に乗せ換えたものです。

ざっくりとしたコットンウールのヘリンボーン素材で仕立てられ、製品洗いによってさらに豊かな表情となりました。

ジャケットは一枚仕立ての軽快なワークジャケットで、ラペルの裏についている第一ボタンを留めれば、アウグスト・ザンダーの写真に登場する往時の労働者を思わせるスタンドカラーとしても楽しめます。

パンツは腰の背面にゴムが通され、ぱっと見の印象以上に気楽な穿き心地となっています。

ざっくりした質感の生地ですのでとくにパンツなど肌触りに不安を感じる方もいらっしゃるかも知れませんが、腰から膝にかけて裏地が設けられています。
どうぞご安心を。

それぞれ単品でもセットアップでも使用可能です。

肩肘張らずに程よく装いを楽しめるこうした服は、さまざまなシチュエーションに於いて自然と出番も増えることでしょう。

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SL JACKET ネイビー
SL PANTS ネイビー/ グレー


見知らぬ国のトリッパー ~ ASEEDONCLOUD/ Persian Gown

Handwerkerの紹介が続いたものの、メインブランドであるASEEDONCLOUDのラインナップも失念するわけにはいきません。

以前述べたように今季のテーマは”Ijujin”。

狼と共に旅をして暮らす獣医の女性(医獣人)が人間や動物たちから伝えられる土地の記憶、および今後定住型から移住型へシフトしていくであろう我々人類(移住人)が学ぶべき、定住を余儀なくされる少数民族たちならではの知恵…

前回は靴下の話でしたので壮大な思想性との結びつきがイメージできなかった方もいるかも知れませんが、この度ご紹介するのはまさにそうした土着的な伝統服から着想した一枚です。

ペルシア人の纏う羽織りものを現代的なガウンコートに再構築した、その名もPersian Gown。

肩を包む大振りの襟は、第一ボタンまで閉めると首をぐるりと布で巻いたような印象を生み出します。

中東の民族衣装を基にしながらそうした匂いを感じさせないのはガウンそのもののデザインもありますが、生地も一役担っているわけです。

wayfarer check cloth(wayfarer=徒歩で移動する旅人)と名付けられたこの撥水ギャバジンは、通常の織機では作れないほど高密度に織られています。
配色はASEEDONCLOUDオリジナルで、とてもやさしく上品な色調でまとめられました。

この高密度生地を表地のみならず裏地にも用いており、かつ間に中綿を挟み込むことで、防風性、保温性のみならず全体的にふわっとしたボリューム感も生み出しています。

細かい部分として面白いのは右ポケット。

HandwerkerのOver Coatと同様の二重構造ですね。
旅人の服とワークウェア、共通する要素があるということなのか、デザイナーの遊び心か…

独自性が強く新鮮でありながらも、おそらく古びることのない、そんな永続性を感じさせる一枚です。

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