疾き風よ 光と共に解放されよ ~ tilt The authentics/ ギザコットンモールスキンパンツ

「ファーストアルバムにはそのアーティストのすべてが詰まっている」
最初にだれが言い出したのかつまびらかではありませんが、なかなかの至言ではありませんか。

この秋冬にデビューを果たしたtilt The authentics(チルトザオーセンティックス)。
気鋭の若手デザイナー中津智博氏が手掛ける新星です。

オーセンティックなものを傾けるというブランド名の通り、普遍性が高く日常生活に馴染むような、しかし実は細かいデザインワークが施され絶妙な違いが生まれている、そんな服作りを得意としています。

このパンツにはそうしたブランドらしさがぎゅっと凝縮されており、見て、触って、そして穿いてみれば、たちまちにして言わんとすることをご理解いただけることでしょう。

生地は、超長綿ギザコットンを高密度に織り上げたモールスキンです。

艶があり、絹を彷彿させる滑らかな肌触りで楽しませてくれつつも、そこはワークウェアにも用いられるモールスキン、きわめて高い耐久性を誇ります。

日常生活に於いて気兼ねなくどんどん穿きこみ、ともに過ごした時間が齎す変化を楽しめそうですね。

一方、デザインは上品にまとめられており、ワークテイストを微塵も感じさせません。

ハンドポケットは端から少し中央に寄った部分に設けられ、片縁仕様となっています。

フロントファスナーにはYKKエクセラを採用。

金属の質感、そして開閉のスムーズさは世界最高峰です。

こうした、気が配られながらも癖が強くないディテールや、すっきりしたテーパードシルエットなどが相まって汎用性は極めて高く、それほど服装にうるさくない職場であれば革靴(delightful toolなんて間違いなく相性抜群ですね)などを合わせてビジネスの場でも適応しますし、オフにはTシャツやスウェット、スニーカーなどと合わせても面白いかと思われます。

どうだ凄いだろうといった声高な主張も、わかりやすい記号性もここにはありません。
しかしきっと、日常の装いの中に挿すたびにささやかな発見があるのではないでしょうか。

オンラインストアはこちらです→ ベージュ/ ネイビー


夕やけ小やけの赤とんぼ 負われて見たのは いつの日か ~ niuhans/ Soft Brushed Irish Linen Open Collar Shirt Jacket

いつもお世話になっている郵便の配達員さん曰く、
「暑い暑いと言っても、やっぱり前ほどじゃないね。朝とかはそれほどでもなくなったし、陽が沈むのもだいぶ早くなったよ」。

ということで、この残暑も着実に終わりへと向かっているようです。
もうしばしの辛抱ですね。

ほら、その証拠に街路樹の葉も散り始めました。

悪あがきのような蒸し暑さと増しゆく秋の気分の鬩ぎあうなか、そろそろ手にしたくなってくるのがこんなシャツジャケットではないでしょうか。

まずは何と言っても奥ゆかしい色目が来たるべき次の季節を想起させて止みません。
夕焼け、赤とんぼ、金木犀、柿、紅葉…聯想は拡がるばかり。

このふっくらとした生地、ウールに見えて実はリネン100%です。

ハードマンズ社のアイリッシュリネン糸を日本国内で製織、染色後に繊維を優しく叩きほぐして起毛加工を施すことで、この柔らかな肌触りを生み出しています。

温かな風合いと、リネンならではの吸湿性、速乾性、通気性を両立させた、この高温多湿な日本の秋口に最適な生地と言えます。

服自体を見れば開襟にフラップ付きパッチポケットといったカジュアルなディテールですが、ステッチを目立たせず、またポケットにボタンを設けないことで洗練された上品な雰囲気に仕上げています。

なお、ボタンは生地の色とよく調和した水牛製のものを採用しています。

直線状の裾により、より羽織りものとしての性格が強められました。

もちろん、シャツとしても問題なく着用可能です。
そのバランス感も魅力的ですね。

などと、そんな細部の説明も不要なほど、ただ手に取りたいな、着たいなと思わせてくる一枚です。

人が装うにあたり、情感のみをその拠り所とするのは難しかれど、かといって機能性やコストパフォーマンスこそが正義ということもありますまい。

情緒と合理性の邂逅と呼べるような何かが、この服には感じられます。

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だんだんだれが めっかった ~ Handwerker ASEEDONCLOUD/ HW basic shirt

季節を問わず何枚あってもいいのが白いシャツですよね。

ある程度のフォーマットが定められていて、しかも白の無地であるその特性上、単純でどれも大差ないように思われがち。

いえいえだからこそ違いが出るものです。

物語性豊かなコンセプトの面白さのみならず、服としての本質的な部分をとても大切にした丁寧なデザインワークで、先日の登場から早速店頭にてご好評いただいているHandwerker。

このシャツはそのラインナップの中でもひときわ普遍性の高い一枚となっています。

生地はピンポイントオックスフォード。
光沢、なめらかさ、耐久性に優れた超長綿GIZA86を甘撚りにした糸を用いており、一般的な同様の生地に較べふわっとした質感で、柔らかいのが特徴です。

上品な形状の小さな襟に加え、第二ボタンの位置が高いため、静謐で禁欲的な印象となります。
艶を抑えた素材のボタンも佳いですね。

敢えて第二ボタンを開けても、野卑な印象にはなりません。

背面のヨークには特徴的な形状のハンガーループが備えられています。

とりわけ面白いのが胸ポケットで、

大振りなこのポケットの中を覗くと、ペン挿しが二本分隠れていました。

Handwerkerの他のアイテム同様、洗濯に耐える素材の紙パッチが縫い留められています。
そのままにするか外すかはどうぞご自由に。

と、(紙パッチは別として)一見するとわからないような細かな仕事の利いたシャツですので、飽きることもなく、着るたびに新鮮な気持ちになれることと思います。

女性サイズ(XS)から男性サイズのLまで取り揃えました。

ワードローブの基本の一枚として、是非ご検討ください。

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きときと ~ K.ITO/ ウール天竺カーディガン

お盆を過ぎたら急に風が涼しくなったせいか、ふと見やるといつの間にやら木々の様子も秋めいていました。

浮き沈みしながらもまだ残暑は続くのでしょうが、一握の寂寞とともに着々と夏は終わりに向かっているようです。

そんな中、今すぐにでも欲しくなるようなカーディガンが入荷してきました。

2018AWデビュー、つまりこれが初のお披露目となる新ブランドK.ITO(ケイトケー・イトウ)。
*ブログ公開当初KITO(ケイト)と表記していましたが、K.ITO(ケー・イトウ)が正しいとのことです。失礼致しました…

ブランド自体は生まれたてですが、手掛けるデザイナー井藤一男氏のキャリアは長く、実に40年近くに至ります。

糸の開発から縫製まであらゆる工程を熟知したプロフェッショナルで、基本的には表舞台に立つことなく、裏方としてコレクションブランドなど名立たるブランドの服作りを支えてきた人物でした。

そんな井藤氏が御自身のブランドとして立ち上げたのがこのK.ITOというわけです。

特にニットやカットソーを得意とし、ブランド名にもそれが反映されています。
お気づきの方もいらっしゃることでしょうが、「毛糸」と「Kazuo ITO」のダブルミーニングですね。

さてこのカーディガン、一見何の変哲もなさそうで、細部に技巧が光ります。

素材はウールの天竺素材。コットンなどではTシャツによく用いられる編地です。

縫製もニットとしてではなくカットソーとして、ミシンで縫われています。

この編地は、さらりと乾いた肌触りでありながらも身に纏うと驚くほど柔らかく、ふわりとした着心地が楽しめます。

そんな素材の特性を活かしたパターンも特徴的で、まず襟周りが首に向かって立ち上がっています。

ここから肩、袖に流れるなだらかな曲線が、ともすればのっぺりとなりがちな一般的カットソーカーディガンと一線を画します。

袖付けもユニーク。

MONTANEのジャケットを彷彿させる構造で、運動性が高く、腕を上げても裾が引っ張られにくくなっています。

ボタンはやや大きめの貝製です。

前立てボタン周りの補強も抜かりありません。

どこを見ても唸らされる円熟味。

今の時期から次の初夏まで着られ、また捻りながらもバランスのとれたデザインで、圧倒的な万能性を誇る一枚です。

カーディガン愛好家の皆さま、是非店頭にてその実力をお確かめください。

オンラインストアはこちらです→ チャコールグレー/ インディゴ/ ネイビー


耳をすませば ~ MOSODELIA/ MIMICRY V-NECK

昨日、娘と二人で久しぶりの日産スタジアムへ行ってまいりました。

そろそろ順位の怪しくなってきた我がマリノス、応援の声も心なしかいつもより力強く、試合前から会場全体に切迫感が漂います。

客席ビッグフラッグにも参加しましたよ。

肝心の試合といえば、ハマのプリンスこと18歳ルーキーの山田選手が実に素晴らしかった(将来マリノスの中心になるであろう逸材です!)のと、打った瞬間は雑なクロスにしか見えなかった松原選手の謎ゴールを見ることができてよかった、としか言えないものでした。

とにかく今年は降格さえしなければ及第点です。

さて、そんな試合内容はさて置き昨晩は夜風がとても心地好く、真夏の盛りは完全に過ぎたと実感致しました。

お盆も終わったことですし、夜には秋の虫も鳴きはじめています。

いよいよ秋物らしい秋物を紹介しはじめてもいい頃合いかも知れません。

ということで、秋口から楽しめるMOSODELIAの新作プルオーバーを。

深いネイビー、

情感豊かなバーガンディ、

そして当店別注色のチョコレートブラウン。

どれもこれからの季節に相応しい配色です。

本体には混合素材LUX-WARM(ラグウォーム)を採用しています。

保温、保湿力に富み、ストレッチ性を備え、さらに毛玉が発生しづらい、秋冬に嬉しい多機能っぷりです。

Vネックの襟周りのみスウェード調の生地に切り替え、より暖かな風合いを生み出しています。

なお、”ものまね(mimicry)”の名の通り、Vネックの切り替えは正面のみ、またハイネックとの合わせも疑似レイヤードとなっています。

見る角度によってさまざまな表情を見せてくれますね。

裾、袖口はすっきりとしたパイピング仕様です。
伸びにくく、また冷気の浸入も防ぎます。

単品でさらっと着るもよし、ジャケットなどの下に挿すもよし、と使いどころは多そうです。

そろそろ、こうした服も視野に入れてみては如何でしょうか?

オンラインストアはこちらです→ ネイビー/ バーガンディ/ チョコレートブラウン


おほけなく うき世の民に おほふかな わが立つ杣に 墨染の袖 ~ Handwerker ASEEDONCLOUD/ HW pressman shirt

空想あるいは実際の職業から生まれ出る、特別な生活着やワークウェアとしての服を提案している、ASEEDONCLOUDの派生ラインHandwerker。

このブランドが、特定の職業のためだけのワークウェアを一から手掛けたらどうなるのでしょう?

そんな興味深い試みが、今季より始まりました。

活版印刷職人用のシャツ、HW Pressman shirtです。

ASEEDONCLOUDのロゴデザインも手掛けているグラフィックデザイナー高田唯氏は、デザイン事務所と同時に活版印刷工房Allright Printingを運営しています。

その高田氏の現場視点ならではの要望を汲み取り、ASEEDONCLOUDならではのフィルターを通すことで、他に見られない服となりました。

まず氏が希望したのが、インクを用いる仕事ゆえ汚れが目立たない黒であること。

このシャツには、ポリエステル/コットンのバティスト(薄手の平織り生地)が採用されています。
強度の高さと、独特な光沢が魅力です。

次に、着脱が容易であること。

これはボタンをスナップ式にすることでクリアしました。

袖や裾がひらひらすると作業の邪魔になる。

ということで袖口や裾はリブ仕様です。

屈む姿勢が多いため、身頃の前面は短く、背面は長くなっています。

それに関連し、作業でピンセットなどを用いるにあたり、たとえば前身頃にポケットがあると屈んだ時に落ちてしまいます。

そこで、道具を入れるポケットは背面、腰に配置されました。

もちろん、手を出し入れしやすいようその位置、形状はきちんと計算されています。

カッターナイフと校正に用いる赤ペンは胸に入れたい。

その要望にもしっかり応えました。

なお、Handwerkerの紙タグは右腰につけられています。

以前ご紹介したパンツに縫いとめられていたものと同じで、洗濯にも耐える素材です。
お好みで、外してもつけたままでも。

と、いかに活版印刷用として練られているかを長々と説明したわけですが、このシチュエーションで着ないといけないなんて決まりはなく、日常生活のなかで気軽なシャツブルゾンとして羽織ったりしても素敵だと思います。

最終的にどう着るかは人それぞれ。
そんなふうに思わせてくれる、懐の深い一枚です。

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茜色の夕日眺めてたら 少し思い出すものがありました ~ KIMURA/ GIZA typewriter wide band collar

甲子園も開幕したことですし、今時期が真夏のピーク(何をもってピークとするかわからないような猛暑ですが)ということでしょうか。

あとは晩夏、そして秋に向かって緩やかに移行していくわけです。

ところで、夏の終わりの夕暮れ空は綺麗ですよね。
得も言われぬ寂寞感に満ち、しんみりした情緒に溢れています。

そんな空の色をどこか想起させるようなシャツが届きました。

当店で初めてKIMURAを披露したのはもう一年ちょっと前のこと、そのときにご紹介した記念すべきモデルの新色となります。

この陰翳豊かな深い色調に目を奪われる前タイプライター生地は、シャツの立体的な構造を引き立てるコシの強さも持ち味です。

最大の特徴はこの2段ボタンのバンドカラー。

2段目の少し大振りのボタンの上半分が襟に埋まる、独特な仕様です。

全部留めるもよし、ボタンを開けたときの胸元もだらしなくならず、品を損ないません。

また、単体の写真だとわかりづらいのですが、細めの袖はジャケットのようにアームホールから角度をつけて下に落ち、着用時のシルエットを一層美しいものにするのみならず、上着を羽織った際に脇がもたつきにくくしています。

晩夏から秋冬、そして春にかけて装いに豊かさをもたらしてくれるシャツです。

KIMURAブランドの人気は高まる一方ですが例によって少量生産ですので、気になる方はどうぞ今のうちに。

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ナイルの賜 ~ niuhans/ Finx Cotton Typewriter Shirt

niuhansの服は総じてキャッチーな意匠がなく、またシルエットも中庸なため、第一印象で伝わりにくい傾向にあります。

服にそれほど関心のない方であれば、ユニクロや無印との区別がつかないかも知れません。

しかし、これもまた総じて言えることですが、一度着てみればその着心地、知的で清潔な気品にはっと息を飲むことでしょう。

このフィンクスコットンを用いたシャツは、まさにそんな魅力を味わえる代表格のひとつと言えます。

世界にその名を轟かせるエジプトのギザコットン。

地中海に臨むナイル川下流の肥沃なデルタ地帯で栽培され、枯れ葉や枯れ枝、未熟な綿が混ざるのを防ぎ、また綿花を傷めないよう、現代に於いても手摘みによって収穫されています。
その後、品質ごとに選別、人の手で丁寧に撹拌されます(この作業はファルファラと呼ばれます)。
エジプト綿の高い品質は、こうした非効率的な作業の積み重ねによって実現しています。

こうして生まれる綿のなかからさらに厳選された特級綿、それがフィンクスです。
絹を思わせる艶、しっとりとした肌触り、そして優れた耐久性を備えています。

このシャツで用いられているのは、そんなフィンクスの糸を用いて浜松の工場でじっくりと織りあげた極上のタイプライター生地です。

紡績の段階でガス焼きを施し毛羽をとることで、よりフィンクスならではの光沢を引き出しています。

一般的にタイプライターはぱりっとした乾いた質感が特徴(niuhansがよく採用しているサウンドクロスも同様ですね)ですが、フィンクスのタイプライターは、しっかりと目が詰まりながらも柔らかく、しなやかです。

そんな生地の魅力を一切毀損することなく、最大限に活かすのが、この禁欲的かつ細部まで気の配られたデザイン。

小振りの襟や

立体的に肩の曲線に沿う背面のスプリットヨーク、

前後の長さに差を設けず緩やかに繋がる裾など、

niuhansらしい寡黙なディテールが、このシャツをより高い次元に引き上げています。

今日のような異常に暑い日を除けば、基本的に一年中使い回しの利くシャツです。

まずは一度お試しを。
上記の如き冗長な言葉がなくとも、体感でご理解いただけることでしょう。

オンラインストアはこちらです→ ホワイト/ ダークネイビー


お盆期間中の営業について

梅雨明けが早すぎて時期の感覚がよくわからなくなっていますが、そうこうしているうち8月になりました。

お盆休みは皆様どんなスケジュールでしょうか。

当店は、今年は特に用事もありませんのでお盆も関係なく平常通り営業致します。

8/15のみ水曜日につき定休日となりますが、それだけです。

皆様のお越しをお待ちしております。