ほら ひとつ ふたつ ひとつ 生まれては ~ KIMURA/ pearl button fly front alternation

すっかり当店のお客様にはお馴染みとなったKIMURA。

先月のイベントもお陰様でご好評いただき、少しずつ、しかし確実にファンの広がりを実感しています。

さて、そんなKIMURAからまた素敵なシャツが届きました。

ハリの強い綿麻混紡生地や小振りの襟も相まって、一見するにすっきりシンプルな印象を与えながら、そこはKIMURA、独創性は決して忘れていません。

何といっても最大の特徴はこの前立てのボタン使い。

上から高瀬貝のパールボタンが並び、その間あいだの三角ステッチ箇所には比翼で通常の貝ボタンが隠されています。

もちろん袖口にもパールボタンが。

実は少し前にもパールボタンを使用した型の異なるシャツが同じくKIMURAより登場していたのですが、ブログに載せる間もなくすぐ巣立ってしまったため、今回はその前にと少し急ぎ気味に紹介させていただきました。

シャツという限定されたフォーマットで、表層的な装飾に依存することなく独自性を発揮し、時間を超えた永続性も兼ね備えた、KIMURAらしさの詰まった一枚です。

気になる方は是非お早めに。

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何もかも まるでなかったように シャツを着る ~ Olde Homesteader

春のORDER BORDERで同時開催したOlde Homesteader新作アンダーシャツ受注会。

お陰様でこちらもたいへん好評でした(ちなみに、上の画像左端で背中を向けている髭の男性がブランドディレクターの福原さんです)。

そのときオーダーいただいた分に加え、多少の店頭在庫がようやく到着しております。

3種類ありますので、順を追って紹介させていただきます。

まずはリブ編みのヘンリーネック。

スウェーデン軍のアンダーシャツで且つて採用されていた生地をOlde Homesteader流に再構築したもので、もちろんオリジナルを遥かに超えたクオリティを誇ります。

伸縮性に優れているのは無論のこと、保温性と通気性のバランスがよく、季節を問わずご着用いただけます。

およそ100年前に廃業したアメリカの洋品店から持ち出されたまま誰の手にも渡ることなく保管されていた肌着のディテールから着想し、前立ては本体と異なる生地を用いています。

このシャツ全体の枯れたような茶色もまた、その肌着に由来しているそうです。

お次は同型のヘンリーネックですが、素材を変えて。

なめらかでもっちりした質感が特徴的なインターロック(両面編み=表裏同じ編み目の生地)で仕立てられています。

最後はインターロックのクルーネック。

きゅっとしまった広めのリブが何ともクラシカルな風貌を引き立てます。
なお、このリブは前述の二型とも同じ仕様となっています。

また、これも全型共通ですが脇にガセットが設けられ、開放的な着心地と高い運動性を生み出しています。

特にこのクルーネックは、男性用の肌着としてのみならず女性がご自身のTシャツとしてお買い求めになるケースが多く、可能性の広がりを感じます。

なお、すべて一点ずつオリジナルの紙箱に収められています。
この特別感…!

どこをとっても肌着としての領分を超え、徹底的に過剰に突き詰められ生み出された、まさに狂気の産物と言っていいでしょう。

すでにOlde Homesteaderのトランクスをお持ちの方ももちろんそうでない方も、是非この優しき異常性をお試しいただきたいところです。


オー・ハニー ~  HAVERSACK/ 12G ハーフハニカムラグランTシャツ

漸う近づく台風の影響なのか、ちょっとだけ暑さが和らぎ、嵐は勘弁と思いながらも少しほっとしています。

あまりに気温が高すぎると盛夏もの以外を紹介しづらいところがありまして、この晩夏から(あるいは初夏に)活躍するであろうニットTシャツをお披露目するいい機会となりました。

この12ゲージのハーフハニカムを編み立てるのは難易度が高いらしく、ハバーサック側が方々を探し回ってようやくそれが可能な工場を見つけ、商品化にこぎつけたと聞いています。

柔らかくもちっとした肉感、それでいて暑苦しくないほどほどの清涼感が持ち味です。

袖や裾のリブには片畦のラインが入っていて、厭味なく洒落っ気を利かせています。

夏の盛りは、すなわち夏の終わりがそう遠い未来の話ではないことも意味します。
そんな思いに耽ってしまう、センチメンタルな一枚です。

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WORKING MAN ~ Handwerker ASEEDONCLOUD/ HW wide trousers

“Handwerker”(ハンドベーカー)。

ASEEDONCLOUDから派生したこのブランドは、ドイツ語で「職人」を意味するその硬質な響きの名が表す通り、やわらかく牧歌的なメインラインとはまた異なる趣を見せてくれます。

これらは空想あるいは実際の職業から生まれ出る、特別な生活着やワークウエアです。

ワークウェアというものは前提となる明確な目的に基づいて設計されているため、時代を超越した永続的価値を持っています。

とりわけ男性服に於いては現在いわゆるヴィンテージウェアと呼ばれる服の多くがこうした実用品として(ミリタリーウェアなんかもそうですね)作られているのは周知のとおり。

どれも時間の経過によって古臭くなるどころか、却って熟成され、その輝きを増していくものです。

Handwerkerの服は、そうした構造由来デザインゆえの普遍性を備えつつ、「本物」では成し得ない、心を潤すエッセンスがちりばめられています。

この極太ワイドパンツはその一例。

かつて備前地域で学生服用の生地として開発された「備前壱号」で仕立てられています。

備前壱号は、希少なベルギー製の旧式織機を用いて糊を使わずゆっくり織られた、ひじょうに密度が高く、独特の光沢を湛えた綾織生地です。

高密度生地ゆえパンツのワイド感がはっきり出ます。
それでいてお尻部分が大きく見えすぎないよう、腰回りを削りふくらみを抑えたパターンで仕立てられています。

各所のディテールも見逃せません。

腰にはジーンズなどに見られる紙パッチ。

洗濯可能な素材ですので、お好みに合わせ外してもつけっぱなしでも楽しめます。

お尻に設けられた尾錠が、往時のワークパンツを偲ばせます。

ベイカーパンツの前ポケットを彷彿させる、ユニークな形状のヒップポケット。

実際に穿いてここに手を入れてみると、驚かされます。
たいへん入れやすい。これは是非一度直接お確かめいただきたいところですね。

と、上記の如くワークテイスト満載の背面ですが

前から見ると1プリーツの入った上品な顔つきというところに、デザイナーの声高に語られぬ意図を感じます。

日常生活から、何かしらの作業のときまで。
どんなシチュエーションでどう着ようともそれは個々人の自由ですし、しかと応えられるパンツです。

きっとそうして使っていくうちに、いつしかその人だけの一本へと仕上がっていくものなのだと思います。

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晴れわたる空に白い雲 君とぼくがいて ~ ASEEDONCLOUD/ Ijujin Socks

千葉の我孫子に、たまいけんたろうくんという少年がいました。

彼が幼稚園で描いた絵本は可愛らしくも驚くほど整った内容で、種のぼうやが色々な動物たちに助けられながら旅をして、

紆余曲折を経てトンビのおかげで辿り着いた雲の上から見た美しい場所に降り立つとそこにはたくさんの花が咲き乱れ、種自身も今までの冒険で得た経験を糧に綺麗な花を咲かせる…というお話です。

この素敵な作品は『くもにのったたね』と題されました。

卒園より幾年、成長した玉井健太郎青年は英国セントマーティンズ美術学校卒業後、現地にてマーガレット・ハウエルのアシスタントを務め、帰国してからはご友人とリトゥンアフターワーズを設立、数年後自らの創作に専念すべく独立します。

ブランド名はASEEDONCLOUD(アシードンクラウド)。
もうお気づきかと思われますが、”A SEED ON CLOUD=くもにのったたね”、です。

ちなみに、正式な表記は”ASEEDONCLÖUD”で、CLOUDの上にウムラウトの種が載っています。

さて、そんな由来もあるように、彼の服作りは文学性に富んでおり、我々の心を捉えて離しません。

当店では初めての取り扱いとなるこの秋冬のテーマは”Ijujin”。

交通インフラの発達や生活様式の変化により、今後の人類の多くは定住型から移住型へと変化していくのではないか、しかし一方で各地の少数民族であったり、過去と変わらずその場に定住する人たちもいるはず、移住型の生活になればこそ彼ら定住人の持つ知恵から学ぶべき点は多いのではないか…

そうした思索は思索の域を超えて拡がっていきます。

狼と共に獣医をしながら移住生活をする女性。

彼女は移住人であるがゆえに固定の文化を持ちません。
故郷も、国籍もありません。

けれどもその移住生活の中で、各地の定住型民族の人たちから、その土地の記憶から様々なことを教えてもらっています。

獣医としては、お連れの狼を通して動物と会話し、またそこで動物たちから多くの学びを得ています。

彼女にとっては人類も動物も同じです。
すべてが対等で、当然そこには国境などと言った境目はありません。

そんな医獣人(Ijujin)の物語…

さて、だんだん話が膨らみ過ぎてブログとして収集がつかなくなってきましたが、これらはすべてつまるところ服の話です。

今季は少数民族の装いに着想し、医療着のエッセンスを注入しがらも洗練された都市の服としてまとめ上げたコレクションとなっています。

とはいえ本格的な秋物衣料にはまだ早いのも確かですし、今回はご挨拶代わりとして靴下をご紹介します。

国内の軍足工場にて生産されており、毎シーズン配色を変えながらも作り続けられているブランドの定番品です。

その繊細なトーンはASEEDONCLOUDならでは。
基本的に3~4色の組み合わせとなりますが、実際は7~9種類の糸を配合し、色調に深みが加えられています。

色名は便宜上最上段の色を指し、

パープル

モスグリーン

イエロー

グレー

と、どれも甲乙つけ難い美しさ。

優しく甘い配色ですので女性向けと思いきや、男女サイズともにご用意しています。

なお、付属品である専用の紙袋も、ロゴをプリント後一度濡らして乾燥させ、風合いを増した手の込んだものです。

余談ながら、世界的種苗メーカーであるサカタのタネの本社屋は、仲町台にございます。

そしてこの辺りは日本屈指のドイツ人が多い地域としても知られています(東京横浜独逸学園も仲町台)が、実は玉井さんも高校時代ドイツで生活していました。

だから何というわけではないものの、不思議なご縁を感じざるを得ません。

それはさて置いても当店のお客さまであれば間違いなく気に入っていただけるであろうASEEDONCLOUDの作品群、これから続く品々も是非ご期待ください。

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もう一回 もう一回 ~ EEL Products/ 花火シャツ

残念ながら昨年から無期休止となった神奈川新聞花火大会、しかし並んでハマの夜空を彩る横浜スパークリングトワイライトは今年も健在。
いよいよこの週末、土日に開催されます。
最近始まったイベントかと思っていたら、もう第7回のようですね。

当日の昼は仲町台、夜は港へと、皆様に於かれましては横浜の夏を満喫していただきたいところでございます。

さて、例年通りそんなふうに花火の話から始まってこのシャツのご紹介をば。


EEL Products夏の定番、花火シャツです。

去年までこのシャツはインドの手織り生地カディを使用していましたが、今季はてろんとした薄手のレーヨン生地に変更しています。

レーヨンはアロハシャツでも多く用いられる素材。
先日紹介した同素材のドット柄シャツ同様、蒸し暑い中でも涼しく、灼けた肌に優しく、と、真夏に快適なシャツに仕上がりました。

ゆったりしたサイジング(洗濯によって着丈2cm程度の縮みが発生しますが、それでもサイズ表示に対してゆとりはあります)、シックな色柄で、すでに店頭では人気の商品です。

週末の夜に向けても、そうでなくても、是非今のうちに。

オンラインストアはこちらです→ ネイビーチェック/ ブラウンチェック


かわいた風をからませ あなたを連れてくのさ ~ CURLY/ ADVANCE HS TEE

空梅雨、梅雨明け、夏、と思いきや、梅雨に戻ったのか秋の長雨が始まったのかという有様に意表を突かれました。

とにかく湿度の高さに辟易します。
カラッとしたTシャツでも着ようではありませんか。


CURLYのADVANCE HS TEEは、乾いた肌触りと柔らかな着心地を兼ね備えた五分丈袖Tシャツです。

トルコのエーゲ海に面した地域で栽培された繊維の長い綿を撚った、空紡糸(オープンエンド糸)と呼ばれる糸を編んだ生地で仕立てられています。

空紡糸とは高速回転したローターに繊維束を通し…と書いても何のことやらですので、紡績機の説明動画をご覧いただいた方がイメージしやすいと思います。
このTシャツに使われいる糸がこの機械で撚られたかは定かではありませんが、少なくとも原理はご理解いただけるかと。

動画の1:00くらいの箇所からお楽しみください。

さて、この空紡糸、糸の外側が強く、内側が甘く撚られるという特徴があります。
そのため、表面はカリっと、中はふわっと仕上がるわけです。

そんな糸の特性が、この生地によく活かされています。

基本的に癖のないオーソドックスな路線のデザインでありつつも、両脇に配された三角ガセットが、控えめなアクセントとなっています。

シンプルで着回しやすく飽きがこず、着心地も快適とあらば出番が増えるのは必定でございましょう。
ちなみに、このモデルは女性用(サイズ0)もご用意しています。

店頭、EC両方からどんどんサイズ欠けを起こしていますので、気になる方はお早めにどうぞ。

オンラインストアはこちらです→ ホワイト/ イエロー/ ボーダー(ホワイト×ネイビー)


東京の空の星は見えないと聞かされていたけど ~ HAVERSACK ATTIRE/ ドットプリントオープンカラーシャツ

そろそろ七夕も近くなりましたし、星が瞬く夏の宵空、夜空を彷彿させる水玉のシャツを紹介します。


アロハシャツによく使われるレーヨンの生地で仕立てられた、涼しい開襟シャツです。

かつては人絹とも呼ばれていたように、シルクに近いなめらかでとろみのある質感がレーヨンの特徴。
水分を含有しやすくしっとりした肌触りです。
日焼けした素肌も心地好く撫でてくれることでしょう。

両脇にはパッチポケットが設けられ、機能性のみならずどこか懐かしい雰囲気を生み出しています。

細かい運針や光沢が上品な白蝶貝のボタンなどが生み出す色気は、さすがATTIRE。

この艶やかさゆえに、女性の羽織りものとしても違和感ありません。
標準的な背丈の方でもこのMサイズをさらりとお召しいただけますし、実際店頭では老若男女問わずご好評いただいております。

梅雨が明け夏が始まり、これから8月に向けてますます気温は高まっていきます。
世間様ではもう夏物の時期は終わりだよと言わんばかりですし、毎年過ぎてみれば短い夏だったねと思いがちですが、なんのその実二ヶ月以上は灼熱とお付き合いせねばならないわけです。

夏本番はこれから、まだこうしたシャツを手に入れるのに遅すぎるなんてことはありませんよ。

オンラインストアはこちらです→ ブラウン/ ネイビー


夏の夜のわびしきことは 夢をだにみる程もなく あくるなりけり ~ comm. arch./ Knitted Shorts

梅雨らしからぬ日が続いているなあと思っていたらそのまま明けてしまって、例年より3週間ほど早い夏の到来となりました。

日中の気温も30度を超えることが多くなり、毎日昼からビールを飲みたくなる気持ちを抑えるだけで精一杯です。

短パン姿の方も日に日に増えていますね。

ニット専門ブランドのコムアーチも、実はこんなアイテムを作っています。

トリコット編みのショートパンツです。

腰に紐が通ったイージーパンツでもあり、気楽で爽快な穿き心地を備えています。

グレー(”ダークエレファント”という、ぐるんぱのような名前です)の無地は伸縮性より形態安定性に優れた生地で、洗うごとにこなれ、風合いが増していきます。

一方ストライプ(”オーシャンボーダーズ”)はシアサッカーのポコポコした質感をトリコットで表現した生地です。

こちらは伸びがよく、また乾いた肌触りが真夏の蒸し暑いさなかにも快適さを失いません。

いずれもボタンに貝(マットな裏面を表に使っています)を採用し、

裏地にコットンの布帛をあてて体のラインが出すぎるのを防ぎ、また耐久性を高めています。

ただ快適性だけを追求するのみならず、そこを敢えて全面に押し出さず(しかし快適は快適なまま)大人の街着として成立している、コムアーチらしいショートパンツに仕上がりました。

さあ、今年の夏は長くなりますよ。

オンラインストアはこちらです→ ダークエレファント/ オーシャンボーダーズ