魔の都の二剣士 ~ tilt The authentics/ Super Oxford shirt & Undecorated Shirt

名目上はともかく実質的に雨季だったらしい今月の長雨はようやく落ち着き、夏本番を取り戻そうと言わんばかりに強烈な残暑が騒ぎ立てているここ数日。

とはいえそんなじたばたした抵抗とは関係なく、季節は確実に次のステージへと進み続けています。

この猛暑にも拘わらずさすがに夏物をお探しの方はだいぶ減ってきて、こんな世の状況だからか、せめて気分だけでも四季の移ろいを愉しむべく、多くのお客さまが秋の装いへと意識を向けてきているようです。

先日ご紹介したPost Productionの靴は想定を遥かに上回るご好評を賜り、色によっては早くも在庫が無くなりかけてきておりまして、その他まだご紹介できていない秋冬物も人目に触れぬうちに完売してしまったものがあります。

長期間に亘った不具合ゆえ、ブログの更新もだいぶ滞っていました。
まずは9月くらいから活躍するであろうものから、新作の紹介を急ぐことにしましょう。

いったいどこまで高みを目指すのか、呆れるほどにに歩みを止めぬtilt The authentics。
今季のシャツもグヌヌと唸らされる完成度です。

まずは同ブランドの定番品”tilt shirts”の進化系である、Super Oxford Shirt。

ギザコットンの100番双糸を織り上げた目の細かいオックスフォード…いわゆるロイヤルオックスフォードが用いられています。

よくボタンダウンシャツに使われている一般的なオックスフォードはざっくりした風合いや安心感のある厚みを特徴としますが、このロイヤルオックスフォードは、奥行きのある質感はそのままに、しなやかでドレッシーな光沢を備えています。

着用と洗濯を重ねることで、糸の毛羽が織り目の隙間を埋めどんどんこなれた肌触りとなる、そんな生地です。

シャツ自体に目を向けても、スタンドカラーと見紛うばかりのコンパクトな襟、

斜めに傾けられた(”tilt”)肩の前ヨーク、

中央で分割され、生地の目の方向性を傾けながら立体的にすることで着心地を高めた背面のヨーク、

重ねられた脇のスリットなど、

見どころが豊富で飽きません。

「シンプルな白シャツ」と侮るなかれ。
シンプルとデザインされていないことの違いが、ここにはあります。

この素敵なシャツと対抗するのが、Undecorated Shirt。

こちらはちょっと変わった質感のタイプライタークロスで仕立てられています。

経糸には綿100%を用いていますが、緯糸はウールを芯として綿糸で覆った糸を採用。
これらを旧式のシャトル織機にてゆっくりと高密度に織り上げています。

通常、高密度タイプライターはパリパリした紙のような質感となり、それはそれで魅力的ではありますが、この生地は紙は紙でも和紙の如くしっとりとしていて、揉みこんでも硬質な甲高い音を立てません。
そして空気を含んだようなふんわりしたボリュームと、独特のシボ感を備えています。

また、一部ウールを使用することで綿100%の生地に較べ熱を保ちやすく、その温かな風合いとともに秋冬のシャツの素材にはぴったりです。
もちろん洗濯も可能ですから、気兼ねなく出動させられますね。

このインパクトの強い生地の特徴を活かすべく、シャツそのものは極限までディテールが削られています。

襟、肩など、極力ステッチが表に出ないように縫合され、

袖の剣ボロに至っては構造そのものだけを残すところまで削り落とされました。

しかし、ただ単に省略されたのではなく、そのうえで美しさが引き出されています。
これもまたデザインの実力ゆえです。

前者はややゆったりめ、後者はやや細身のつくりですから、生地、意匠のみならず、フィット感の好みでもお選びいただけます。

両雄並び立ってしまったこの秋のtiltのシャツ。
その愉楽を、どうぞ心ゆくまでご堪能ください。

オンラインストアはこちらです→ Super Oxford Shirt/ Undecodated Shirt


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