倫敦の霧の向こうに 消えて行くような そんな夜がある ~ Ithe/ No.23-58-2-F-TP & No.60-LFG

1月も中旬になれば、少しずつ春物の新作も届き始めます。

とはいえ、いまは厳冬期真っただ中。
ロシアでは、場所によってはマイナス60度なんて強烈極まる寒波が到来したようですし、日本も寒さのピークはまだこれからといったところでしょう。

ですので、ひとまず春らしいものは頃合いが来るまで寝かせておきまして(ご覧になりたい方は店頭にてお申し付けください)、当面はまだリアリティのあるところをご提案していくつもりです。

たとえばItheから到着したこの2点は、冬の体感と春へのうっすらとした期待、どちらも自然にカバーしてくれます。

まずはパンツから。


ブランドの定番として多くの方に愛されているNo.23-F-TP、通称”フィラパン”のテーパード版である23-58-F-TPのバリエーションです。

1980年代におそらく量販店あるいはスポーツ用品店で売られていたであろう、FILAのトラックパンツをサンプリングしています。

サイドのFロゴ羅列のテープを本体と共生地にすることでスポーティーさを抑え、さながらタキシードパンツの側章のようにも見えます。

生地はウールフラノ。

オーストラリア産メリノ種のウィナーズ(乳離れしたばかりの時期に採られた羊毛)を用いた上質な糸で織られました。
ラムならでのの艶と柔らかさ、そして成羊ならではの強い弾力性と両者の特徴を備え、これを丁寧に縮絨させることで複雑に糸が絡み合い、凛とした剛性が生まれています。

秋から冬はもちろん、春先ごろまで自然に馴染む風合いと保温性で、一年のうち1/3以上は活躍してくれます。

これと同じ生地を使ったブルゾンも登場。


LONDON FOG社製ハリントンジャケットをサンプリングし再構築したブルゾンです。

LONDON FOGはその名に反して英国ブランドではなく、1923年にアメリカで創業しました。
第二次大戦時には米海軍のために防水コートを生産していたりと、レインコートに長けたメーカーです。
一時期はアメリカ国内で売れていたレインコートの2/3が同社製のものだったとか。

1960年代にはコート以外にも商品の幅を拡げており、同社が1970年代に生産していた上着が、今回のItheのブルゾンのサンプリング元となっています。

ゆとりのあるラグランスリーブや

絞った袖口、

裾の背面に仕込まれた、フィット感を高めるゴムなど、

デザインには敢えてほぼ手を加えず、サンプリング元を忠実にトレースしています(なお、フロントファスナーもまたサンプリング元を引用し、YKK製のものが採用されています)。
ゆったりしたサイズバランスもそのままです。

襟はいわゆるドッグイヤー型で、スタンドカラーとしても、寝かせて使うことも可能となっています。

背中の肩のあたりと袖の裏にはキュプラの裏地が当てられ、着心地や着脱のなめらかさが高められました。

秋や春先に使いやすいのは言うまでもなく、いまの時期でもしっかりした厚手のニットと重ねたり、あるいはコートのインナーとして活用するのも面白そうです。

先述の通りパンツ、ブルゾンともに同素材ですから、セットアップで着てみるのもよいでしょう。

9月を最後に新作のご紹介が停まっていたItheですが、なんの「日常の制服」はバッチリ健在ですよ。

オンラインストアはこちらです→ No.23-58-2-F-TP/ No.60-LFG


コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です