Think Differen… ~ beta post/ jobる front/back shirt

問題作です。

この出だしから勘のいい方はある程度お察しかと思われますが、当店に於いて問題作といえば、そう、beta postですね。

今回のキーワードは、「ぶる」。

衣類や装飾品は、着用者そのものを表す象徴ともなることがあります。

ヨーゼフ・ボイスのソフトハットにフィッシングベスト、ラモーンズのライダースジャケット、楳図かずおの赤白ボーダー…その人の活躍した分野を問わず、数多くの事例が思い浮かびます。

そして、その衣類は、アイコンとなる人物本人は論を俟たず、ときに他者もまたその人と自身を同一化しているように錯覚させる力を持っています。

同一化に至る経緯は人それぞれでしょう。
結果としてそうなることもあれば、意図的に同一化を試みるのもまたファッションです。

そして多くの人に能動的に同一化したいと思わせるからには、当然そのアイコン自身にステータス性が備わっているはずです。

威信や名声といった高いステータス性が備わっていることを表すにCachet(キャシェ)という便利な言葉があります。

キャシェは定義が難しい概念である<クール>に力を与える。ミュージシャンやセレブ、人気のティーンエイジャーといったステイタスの高い集団との結びつきがなければクールだとは言えない。

デーヴィッド・マークス『ステイタス アンド カルチャー』

そのステータスと自己を近づける媒介としての服をbeta post流に再解釈し、構築したのがこのカットソーです。

某世界的企業の某有名CEOの出で立ちは、生前からすでに彼自身を表すスタイルとして知られていましたが、死後、意思決定の効率化、ミニマリズムの体現、テクノロジーとデザインについての姿勢などの文脈から、より多くの意味を付与されるようになりました。

「ノームコア」の象徴としても持て囃され(しかし厳密にK-HOLEのチャートに当てはめるとNormcoreでなくActing Basicのように思えます。そのように「究極の普通」と誤用されながら人口に膾炙していくのもまた、ファッションのファッションたるところです)、灰色のニューバランス992および派生モデルは、一種のシグナリングアイテムとしてキャシェを帯び、重用されるように。

そんな彼が愛用していた黒いハイネックのネック部分を計測、再現しました。

胸には不思議な言葉が刺繍されています。

Jo…?

この最後の謎の文字は、アルファベット「b」のふりをした「る」です。
つまり「b」“ぶる”「る」、この一文字で「bる(ぶる)」と読みます。

というわけで、「jobる」、ですね。

このカットソーを身に纏うことで、まさに某CEO「ぶる」ことが可能というわけです。

背面を見てみますと、フルジップの構造となっています。

自身をまるごと別の姿にしてしまう着ぐるみからインスパイアされました。

なお、このカットソー自体は前後のないパターンで構成されているため、ジップ面を前にして着ることも可能です。

長袖のハイネックと考えると、これからの時期ちょっと暑く感じるかも知れませんが、さらさらしてべたつかず、型くずれしにくいコットンポリの生地の特性を活かし、羽織ものとして使ってみるのもよさそうですね。

そしてもう少し先の話、ひと夏超えたあたりには、ハイネックとして、色の落ちたリーバイス501、ニューバランスのスニーカーと合わせ、「jobって」みるのも一興ではないでしょうか。

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