ひだまりの詩 ~ alk phenix/ hinata cap

記憶に間違いがなければ、
店主の母方の祖父は、麻布で帽子店を営む家の生まれです。
祖父が小学生の時に両親とも亡くなったため廃業したらしく、
お店は現存していません。

そんな出自もあって、生前の祖父は
外出時に於いて常に帽子を手放さぬ洒落者でした。
2014-07-03 21.47.36-1

ある日心筋梗塞と心不全と肺水腫を一度に発症したときには
チアノーゼ状態でありながら自宅で帽子を被って救急隊を待っていたという、
とんでもない逸話も残っています。

そんな帽子爺さんがもし今も存命であれば
是非見せて感想を訊いてみたい品が入ってきました。

2016-03-17 11.08.58

alk phenixの”hinata cap”です。
alkらしいテクニカルなハンティング帽となります。

四枚ハギの立体的な構造で、
ドローコードでフィッティング調節可能なフリーサイズ展開です。
2016-03-15 11.58.232016-03-15 12.02.08

通気口を囲むように配置されたリフレクターが効いていますね。
2016-03-15 12.04.20

素材使いも面白く、小松精練の”COOL DOTS”という多孔生地を使用しています。
外から見ると穴は目立ちませんが、透かしてみるとご覧の通り。
ドット状に小さな穴が開けられていますので風通しは抜群です。
2016-03-15 12.04.46

黒とネイビー、また”ネイビー2″と名付けられたデニム調の3種類をご用意しました。
すべてCOOL DOTS素材です。

是非一度、店頭にてこの軽快な被り心地を体験してみてください。

オンラインストアはこちらです→ ブラック/ ネイビー/ ネイビー2


小さな手のひらにひとつ ~ BACH/ Itsy Bitsy

春の旅行や帰省など、大きな荷物はトランク等にまとめても、
荷物を預けて身軽に動きたいときや、お土産がかさんでしまった場合など
サブバッグがあればなというシチュエーションはしばしば起きるもの。

かといってしっかりしたリュックやトートではそれ自体が嵩張って却って困ります。
そんな悩みにお応えするのが、当店では初登場のモデル”Itsy Bitsy”です。

25リットルとそこそこな容量、2箇所のポケットを備えながらも
実に軽量(本体重量240g!)、これだけでじゅうぶん魅力的なスペックですが、
まだ語りどころは尽きません。

このバッグは、内ポケットに本体自体をひっくり返して収納して
洋梨二個分程度にまとめることが可能なパッカブルモデルになっています。

仕様の特性上背面フレームやショルダーハーネスのパッドは省かれていますが、
ハーネスが体に沿うよう曲線を描いたフォルムとなっていますので、
背負い心地はなかなかのものです。

勿論旅行等イベント級のシチュエーションに限らず、
単にエコバッグとしても魅力的ですし、こなれた価格設定も嬉しいところ。

メインザックとしてすでにBACHをお持ちの方にも、
二つめ三つめとしてお勧めできる逸品です。

是非一度ご覧ください。

オンラインストアはこちらです→ Itsy Bitsy


明日、春が来たら ~ alk phenix/ ame jumper EPIC

雨 曇 雨 曇 雨。
お、暖かくなったかと油断させておきながら、また冷たく靉靆とした天気が続き、まったく気が滅入ります。

「風流は寒きものなり」と云ったのは斎藤緑雨だったか否かうろ覚えですが、古来より我々のご先祖は四季の中での小さな気づきを言葉にして表すことでともすれば不快なことがらでさえもひとつの風雅な情景へ昇華させていました。

催花雨(さいかう)、則ち花の開きを促す雨とこの時期の雨は称します。
かように考えれば自ずとこの陰気な雨も少しは麗しく思えてくるものです。

そんな前向きな気持ちでこの上着を羽織り、春の雨を楽しもうではありませんか。

alk phenixの名品ame coatをブルゾンに置き換えた、その名もame jumperです。

まずご覧の通り絶妙な着丈で、短すぎず中に着るものを選びません。
腰骨にかかるくらいの丈感です。

仕様上もame coatの丈を短くしただけのものではなく、フードが廃されベースボールジャケットのようなリブのスタンドカラーとなり、裾と袖口も同様に緩めのリブ使いに変更されました。

両サイドと左胸にはalk phenixらしい凝った構造のポケットが設けられています。

リフレクター使い、また消臭機能を備えたスタッフバッグに収納できる点はame coat同様です。

高密度タフタの裏地が張られていますが、薄手のため収納のサイズにはあまり影響していません。

ame coatのしっかりした機能も魅力的ですが、より気軽な一枚として、雨具としてのみならず薄手のブルゾンとして大活躍するであろうこのame jumper、是非一度店頭にて袖を通してみてください。

オンラインストアはこちらです→ ame jumper EPIC


ページをめくると いつもそこに君がいた ~ EEL/ Allways Knit

ぐずつきながらも比較的穏やかな気温が続いていましたが
水曜あたりからまた急激に寒くなり、きょうも相変わらず。
困ったものです。

そういえば5年前の昨日もとても寒かったことを思い出しました。
もう5年か…

さて、それでも3月は3月、
さすがに横浜では厚手のセーターという気分にもなれませんし、
こういうときにハイゲージのニットがあるとたいへん便利なものです。

2016-03-08 12.44.452016-03-08 12.46.522016-03-08 12.49.45

EELのAllways Knit(オールウェイズニット)は定番モデルの扱いながら、
実は長袖の型は当店初登場となります。

なお、商品名はスペルミスではありません。
「いつもの」ではなく「ALL-WAYS」ですので。

さてこのニットは艶やかな肌触りのコットンを使用しており、
ほぼオールシーズン対応可能な汎用性の高い一品です。

ニットの産地である新潟県見附市で生産され、
その出自を誇る「MITSUKE KNIT」タグが縫い付けられています。
EELでは珍しい仕様ですね。
2016-03-08 12.45.08

そしてそのタグに恥じぬ丁寧なつくりで、
着心地、耐久性ともに高い次元の完成度です。
2016-03-08 12.50.24

派手さはなくともしっかりと基本を押さえたいい服です。
きっとこれから永い時間、
ついつい手が伸びる愛用の一枚として寄り添ってくれることでしょう。

オンラインストアはこちらです→ ホワイト/ ネイビー/ ブラック


サボテンが花をつけている ~ KARHU/ ARIA “Juniper”

ひっそりとしたデビューから一貫して
横浜の片隅からしつこく推し続けているカルフのアリア、
お陰様で少しずつ認知度も高まってきております。

僭越ながら、この靴がどこかしらで評価されると
なんだか我が子が褒められているような晴れがましい気持ちになります。
自分が作ったわけでもないのに。

さて、そんなアリアも今季の新色がやって参りました。
2016-03-10 10.24.35

“Juniper(西洋杜松)”と名づけられたこの配色は、
オールスウェードながら春の息吹を感じさせる、
“カクタス(サボテン色?)”ベースの一足です。

それにしても相変わらずユニークな配色ですね。
2016-03-10 10.21.02 2016-03-10 10.22.05

踵のネイビーから急に切り替わる甲のサボテン色(ということにします)に
スパイスとして挿し込まれるオレンジの組み合わせ、そして白い砂のような爪先。

杜松の葉と果実(ジュニパーベリー=ジンの香りづけに使われます)の
イメージでしょうか。
今までリリースされた中で最も予測不可能な、
そしてスポーツを感じさせない色使いとなっています。

蓋しそもそも杜松と称しながらサボテン色というところも
こちらの想定の斜め上をいくチョイスです。

なお、今回より生産工場が変わり、
若干の価格上昇も伴いましたが一層品質が向上しました。
持って較べてみると若干剛性感が高まっているのが判ります。
2016-03-09 13.08.33

まだアリアを手にされていない方も、すでにお持ちの方も、
どちらも満足させられる最高にカルフらしい出来栄えで上がってきました。

春に向けて是非一度ご検討ください。

オンラインストアはこちらです→ カクタス×ネイビー


赤い彗星 ~ BACH/ SHIELD22

お待たせ致しました!
ようやく今季分のBACHの残りすべてが入荷致しました。

fashonsnap.com掲載以来アクセスが激増したTRACERも一点、
そしてSHIELD22も各色到着しています。

このSHIELD22、BACHの中でもとりわけ黒に人気が集中しがちなのですが、
実は毎シーズン独自に綺麗な色のバリエーションを出しているモデルでもあります。

15AWのフォレストグリーンという深い緑(現在完売)に引き続き、今回は赤色です。

2016-03-08 11.18.28

一口で赤と言っても色々な赤があります。
鮮烈な赤、朱色、緋色、茜色…

このSHIELDの赤はそのどれでもない、こっくりと深みのある色です。
ワインレッドほど黒が強くなく、かといって所謂”赤”ほど明るくはない、
なんとも絶妙な、気品豊かな色調に魅せられます。

そういえばSHIELDについては一年前にご紹介したきりですので、
改めて機能を解説しつつ、その色との相性の好さをご覧いただくとしましょう。

まず最大の特徴としては、上下でなく縦に分割された二気室の構造が挙げられます。

メイン収納部(体に近い側)は上から、反対側は下から開口するつくりとなっており、
前者に重いものを入れ、後者には軽いものを収めます。
2016-03-08 11.20.502016-03-08 11.19.47

肩甲骨付近にボリュームをとり、腰に向かって狭まっていくシルエットで、
一番重量のあるものは上部へ、というパッキングのセオリーに従ってこの二気室を使い分けると
実重量に対して背負う際の負担が軽減できる仕組みです。

なお、この二気室の仕切りはファスナーで抜くことも可能となっています。

もともとが登山用のため、ハイドレーション対応です。
2016-03-08 11.21.02 2016-03-08 11.21.34
街ではまず使わない機能ではありますが…

サイドにはペットボトルや傘の収納に便利な上開きポケットと
L字ジップ付きポケットが左右それぞれに設けられています。
2016-03-08 11.20.102016-03-08 11.20.00

このL字ポケットが隠れた傑作ポイントでして、
たとえばここに鍵を入れると、ショルダーハーネスを右肩だけにかけて
ポケット側を手前に寄せて鍵を使いそのまま収納、
という流れるような施錠アクションが可能になります。

背面はウレタンパッドとメッシュのコンビです。
2016-03-08 11.22.47
夏の蒸れを大幅に軽減し、かつ適度にソフトな背負い心地を実現しています。

と、このように小振りながら多くの機能が搭載されたバックパックですので、
是非黒以外にも目を向けていただければ幸いです。

オンラインストアはこちらです→
SHIELD22 レッド/ ブラック/ スティール

保存


キャルメロ色の重さから ブルーの色をはえさせて ~ Jens

“ピーリングブルウ(Peeling blue)”

青を剥く?

掴みどころのないこの抽象的な言葉を今季のテーマに掲げたのが
当店初登場のJens(イェンス)です。

男性服の構築的な要素を女性服に落とし込んだ手法を特徴とする、
新進気鋭のブランドとなります。
ちなみに、横浜は白楽を拠点としています。

「Jens」とは北欧に於いて「太郎」の如くいわばステレオタイプな人名らしいのですが、
デザイナーは日本人です。
名前そのものから強いイメージや何か限定された意味を想起させないよう
敢えてこう名づけられました。

ふだんこのブログでは喋りすぎなくらい喋り倒して
その服の魅力を伝えようと努めています(僅かでも伝わっていれば幸いでございます)。

ところが感性へのダイレクトな刺激については前提が絶対的に主観である以上、
論じても論じてもそのヴィジョンを送り手と受け手で共有できないことが時に起こり得ます。
対象の優劣等に起因するわけではなく、ただただ”そういうもの”だからです。

それがJensについて語るうえでも当てはまるであろうことは
初めてその作品を目にしたとき即座に理解できました。

いつものように書こうと思えば可能ではあると思います。
高番手素材を用いて、また極力縫製を表に出さないことで
鋭角的なカッティングを一層際立たせている、とか…
しかしそうした物質面の事実を並べると陳腐化してしまうのは
対象の性質故か単に店主の筆力不足か、まあ後者でしょうけれど。

ということでここはまず服たちを説明抜きにご覧ください。

2016-03-05 12.41.04 2016-03-05 12.35.14
2016-02-26 14.26.36 2016-02-26 14.28.17

ただミニマムというだけでなく、
中庸のようなそうでもないような、
日常/非日常の境界を無意味化する、
刺すほどに清冽で、
そして静謐な服の姿です。

現時点で当店には、
羽織物としても使える半袖のシャツ、
ノーカラージャケットのようなカットソー生地のカーディガンが入荷しています。

通販対象にしてはいますが、まずは実物に触れていただきたいものばかり。
就中素材に載せられた色の透徹な印象はモニター越しでは伝えきれません。
是非、ご自身の感覚で直にこの服をとらえてみてください。

オンラインストアはこちらです→
OVER SHIRTS ホワイト/ ネイビー
スムースカーディガン ホワイト/ グレー/ ブルー


ハンガリー舞曲 ~ KELE CLOTHING

ハンガリー。

温泉または貴腐ワインについて、或いは近頃移民問題が話題に上ることがあっても
失礼ながら正直ファッション関連では羽毛と革靴くらいしか聯想を齎さないこの国で、
2011年、イルディコー・ケレ女史と2名の友人によってブダペストで設立された
新進ニットブランド、それがKELE CLOTHINGです。

店主浅学ゆえハンガリー語に疎く、読み方に悩みますが、
日本では”ケレクロージング”でなく”ケールクロージング”で展開すると聞いています。
2016-03-03 12.43.28
ourstory_001

knitchyに通じる、いや寧ろより甘い世界観のデザインや色使いが特徴的な、
ニットのフルコーディネートを提唱するブランドです。

しかしながらさすがに当店の規模でそこまで大々的な展開は不可能なため、
これはと思われるものをチョイスさせていただきました。

どれもまだ時期としては少し早いかも知れませんが、
男性用のポロシャツ”LANDORA”、
2016-03-03 12.46.47

それと同じ編み柄のポロ型ワンピース”AUSLO”、
2016-03-04 11.52.422016-03-03 12.41.03

そして女性向けのショートパンツ”PIMPENELLI”の計3型です。
2016-03-03 14.38.102016-03-03 14.36.33

どれも薔薇の種類から名付けられているというところが小憎いですね。

素材はすべて共通して綿100%、爽やかな肌触りで吸湿性に優れ、
さらに風通しもよいので春から夏にかけてとても快適な着用感です。
また、家庭で手洗い可能なのも嬉しいところ。

そして独自の編み目の美しさもさることながら、
欧州ブランドならではの透明感のある発色も魅力的で、
両者が合わさることに因りメンズモデルでも中性的な優しい雰囲気が漂います。
況やレディスモデルに於いてをや。
2016-03-04 11.57.542016-03-03 14.36.56

日本ではまだまだマイナーな存在ながら、どこを見ても素晴らしいニットだと思います。
デザイナーのケレさんは兎に角ニットづくりが楽しくてたまらない人らしく、
そんなご本人の創造する歓びが服にも滲み出ているようです。

オンラインストアはこちらです→
LANDORA ネイビー
AUSLO ゼファー/ プロシアン
PIMPENELLI プロシアン/ ブラウン


あっ軽い人びと ~ BASISBROEK/ LITE

イージーな穿き心地でありながらもカジュアル過ぎないそのルックスで
当店のパンツブランドとして筆頭株の地位に君臨するBASISBROEK。

そのバージスブルック、実はパンツ以外も手掛けるブランドで
(勿論”BASIC PANTS”のオランダ語がブランド名になっているほどですから、
パンツ中心のラインナップではあります)、
今回ご紹介のスプリングコート”LITE”が素晴らしい出来栄えであったことは
声を大にしてお伝えせずにいられないほどです。

2016-03-04 13.24.38 2016-03-04 13.18.00 2016-03-04 13.14.21

形状はトレンチコートを簡略化したようなダブルブレストで、
若干長めの着丈、ゆったりと広がる裾が特徴となります。

同ブランドの春夏モデルに毎年使用されているコットンとシルクの混紡生地を
一枚仕立てのコートに仕立てており、
この素材ならではのさらっとした軽快な着用感を備えています。
2016-03-04 13.21.20

サイズとしては身長173cm体重48kgの店主では1がジャスト、2でゆったりめです。
とはいえ生地が薄いこと、また裏の始末が綺麗なことから、
たとえば女性がサイズ1を羽織って袖を短く捲って着るなんてのも好いのではないでしょうか。
2016-03-04 13.13.02

例年GWごろになるとだいぶ気温も上がり、
一般的にはスプリングコートはお役目を終える時期ですが、
これくらい軽快なものならば合わせ方次第で5月に入っても無理なく着られそうです。

男女問わずお薦めなこのコート、是非ご検討ください。

オンラインストアはこちらです→ ダークインク/ ネイビー/ オリーブ


白い恋人 ~ SANDERS/ Female Military Derby

ちらほらと白木蓮が咲きだしましたね。
あっという間に散ってしまう儚い花ですが、
春本番の訪れがもう間近に迫っているよと毎年健気に教えてくれているようです。

そんな白い花が咲くのを見計らったように、
はるばる英国から白い靴が海を渡って仲町台にやってきました。

SANDERSのミリタリーダービー、女性サイズ限定で入荷です。
2016-03-04 12.03.14

プレイボーイチャッカと並んで同社が得意とするのがミリタリーシューズで、
これは今もなお英国国防総省に納入している点を考えれば至極当たり前。
なかでもガラスレザーの黒いモデルが特に男性に根強い人気を誇ります。

そこでなぜ女性用だけをわざわざ入れるのか。
勿論店主なりにちゃんとした理由があるわけです。

それにはまずこの靴の何たるかを説明させてください。

一時期オジ靴と称し男性靴を模した靴が女性に流行りましたが、
これはただ外羽根式のキャップトウという形状上のmachismoを再現したものとは
明らかに一線を画すつくりです。

まず靴底にはしっかりとした厚みのあるレザーソールが採用されました。
2016-03-04 11.59.05

ヒールリフトもプラスチックやナンポウ(革屑を固めたボード)等ではなく
革の積み上げです。
しばしば誤解されますが、木ではありません。
2016-03-04 11.59.46

滑るんじゃないの?と思われそうですので先に申し上げましょう。
滑ります!
2016-03-03 12.19.32

ただしそれは履き始め、底が足の屈曲に馴染む(返りがよくなる)までの期間です。
いやそれは言い過ぎにしても、馴染んでいけばだいぶ滑りにくくはなります。
コンクリートがヤスリのようなものなので、歩けば底が荒れて平滑さを失うためです。

ラバーソールと較べると滑り、水が滲みるなどのデメリットも他に抱える、
そんなじゃじゃ馬なレザーソールですが、
足馴染みのよさや通気性に勝り、そして何より靴の面構えは各段にランクアップします。
ですので買ってすぐにミスターミニットでゴムを貼るともったいないおばけが出ますよ。

そして底付けはイングランド製の本格靴に多く用いられる
グッドイヤーウェルト製法が取り入れられています。

名前をよく聞くわりに女性用ではあまり見ない製法ですが理由は明快です。
重い、厚い、ごつい、値段が高い。

そもそもこの製法、細かく説明するのが厄介で、多くの部材を使用した複雑なものです。
ざっくり申し上げれば靴底が上下2段に分かれており、
ウェルトと呼ばれる縁取りが上の段となって、ここを介して
アッパー(足を入れる部分)および中底(足が直接乗る部分)とが繋がっています。
この繋がりは靴の内部で行われ、外からは見えません。
そして下の段=靴底がウェルト外周とステッチで接合されます。
Goodyear-Welt-Construction
(http://dieworkwear.com/様より転載)

そのメリットとしては、中底の下にコルクが詰められていて
他の製法に較べクッション性が高いこと、
構造上張り出したコバがバンパーの役目を果たし爪先が傷つきにくいこと、
そしてオールソール交換の際にアッパーの負担が少ないことなどが挙げられます。

一般的な製法は靴底がアッパーと直接繋がっているため、
これを剥がすとアッパーに少なからずダメージが発生します。
ところがこの製法ですと糸を切ってウェルトから剥がすことになりますので、
直接的なアッパーへの影響はそれほど大きくありません。
結果、数回はオールソール交換を繰り返すことが可能となります。

革靴の醍醐味は履き込んだときの革の味わいや足に馴染んだ感覚です。
そしてそこまで育った靴は一層より永く履いていたくなるもの。

どうしても女性用の靴はファッションに特化しがちで、
その視点で作られることは少ない傾向があります。
ゆえに男性靴では当たり前な「しっかり作ったものを手入れしながら長く履く」という
概念が広く浸透しきれていません。

かといってモノとしての価値に比重を置き過ぎて
マニアックな男性靴の世界こそ絶対というのも鬱陶しい話です。

2016-03-04 12.02.44
この靴ならば春夏の装いにとても合わせやすく、
また冬の色使いが重いときにもすっきりとした外しとして活躍します。
そうしたファッションとしての側面をしっかり備えながら
中身は伝統的なつくりの正統派、そんなバランスがこの靴の大きな価値と云えます。

これをきっかけに女性にも革靴の真髄が伝えられればと、
そう思い選ばせていただきました。

円安はこれから緩やかになる見通しではありますが、
原皮価格の上昇など多くの問題が依然存在し、革靴を取り巻く環境はまだ甘くはありません。
サンダースも価格的に臨界点すれすれのところまで来ていますので
今後の扱いはまだはっきり決めきれていないところ。

確実にご提案できる今のうちに、是非一度お試しください。

オンラインストアはこちらです→ Military Derby Shoe