有難いことにSTYLER MAGとfashonsnap.com、STAFFSNAPの掲載以来、当店のブログやオンラインストアでブランドストーン関係のアクセスが見たことがないくらいに急増しております。
さて細かく解析してみると、その中でちらほら散見されるのが「ブランドストーン 履きこみ」「ブランドストーン 手入れ」等の検索。
靴を長く使い、経年変化をポジティブに楽しむという素敵な傾向ですね。
そこで同じように店主もググってみたところ、世の皆様におかれましてはブランドストーンを本来のワークブーツとしての使用感、ガシガシ履いて爪先が擦れ、ボロボロになっていく様を楽しむというのが主流のようです。
大阪にWalls&Bridgesさんというブランドストーンを長く扱っている名店がありまして、そちらでダメージの入った履きこみサンプルを多くネット上にアップしていることも影響しているのかも知れません。
たしかにこういったブーツはハードに使ってこそ生まれる味わいというものがあり、それはそれで一つの解答だとは思います。
Wallsさんの写真、店主も大好きです。
とはいえそれに追従してばかりも芸がありません。
これはあくまで個人的な考え方ではあるのですが、使い込んだ革の味わいと、ただ使いっぱなしで朽ちていくのは違うのではと。
ということで、恐れ多くも店主が一ヶ月使用した私物を公開し、Euphonica流にブランドストーンのエイジングを楽しむ方法を提案致します。
スウェードの#1456のことは今日はひとまずさて置きますので予めご了承願います。
まずは店主私物と新品をお見比べください。
品番はともに#550です。
(2016/9/16追記:ブラックの#558履き込みサンプル画像はこちらです)
店主はブランドストーンであろうがオールデンだろうがJ.M.ウェストンだろうが革靴は基本的に同じやり方で手入れを施しています(もちろん、素材等で変えてはいます)。
ワークブーツにも所謂ミンクオイル等は使っていません。
学生時代から靴磨きが趣味ですので、ケア用品は自宅に色々揃えていますが、本稿では気軽にハンズ等で入手できるもののみご紹介します。
正直ここで取り上げるケア用品であれば、高価でマニアックなものと仕上がりにそれほどの違いは出ないと思います。
当店でも取り扱えばいいのですが、それはまたいずれ…
必要なのは4種類。
馬毛ブラシ、着古したTシャツ等をウェスにしたもの、乳化性クリーム(瓶入り)、油性ワックス(缶入り)。
これだけあれば事足ります。
加えてM.モゥブレイのステインリムーバーと豚毛ブラシがあればなお望ましいのですが、どうしても必要なものでもないので、今回はここまでは触れません。
ご興味があれば店頭にて。
まず、どんな革靴であれ、買ったばかりのものは乾燥していますので、乳化性クリームを全体に塗ります。
ブラッシングし全体になじませて数分(理想は一晩)寝かせた後、布でしっかり拭き取ります。
革を指で撫でてもキュッと引っ掛からないくらいまで拭いてください。
髪の毛のコンディショナーと同じく、栄養分を浸透させるのが目的ですので、余計なクリームを表面に残しても何もいいことはありません。
べたついてごみがつくだけです。
また、その後のお手入れもクリームはつけすぎない程度に使ってあげてください。
乳化性クリームをお持ちでない方には、最初の一品としてM.モゥブレイの「シュークリーム」をお薦めします。
革小物などにはちょっと成分が強すぎる場合があるのですが、牛革製の靴用に限定すれば、癖がなく非常に使いやすいクリームです。
より高い性能をお求めの方は、コロニルの「1909シュプリームクリームデラックス」を。
ほぼすべての革製品に仕えるマイルドなクリームでありながら、革の内部まで栄養が浸透し、やわらかさ、コシ、しっとりとした自然な艶を生み出します。
次に、靴の爪先と踵に油性ワックスを塗布します。
最初は少し力を入れて多めに擦り込み、若干の時間を置いてから微量の水滴で優しく円を描くように伸ばしていきます。
ここの分量、力加減を文章にするのは非常に難しく、経験がすべてものを言います。
注意点としては水をつけたら力を入れずに磨く、ここだけは厳守してください。
どれだけ水を使ったかにもよりますが、湿った状態で強く擦ると革がふやけて大変なことになります。
また、履いた時に足に合わせて動く部分=爪先と踵以外の箇所にはワックスは使用しない方が賢明です。
とくに履き皺部分にワックスを厚塗りすると、履いていくうちにそこの革がひび割れてきて、こうなると修復できません。
厚化粧のほうれい線を想像してください。
ちなみにワックスといえばKIWIが有名ですが、店主はサフィール派です。
KIWIは確かに光り具合は素晴らしい(特にパレードグロス)のですが、成分が鉱物系のためかにおいがきつく、好みではありません。
サフィールは蜜蝋が主成分で、比較的マイルドなにおいと使用感です。
店頭でも商品を磨くのに使っています。
髭剃りに使えるほど鏡のようにピカピカにする必要はさすがにないとはいえ、やはり適切な箇所を適切にワックスがけすれば靴に立体感が生まれますし、なにより傷などを防ぐ保護膜にもなります。
また、ブランドストーンはもともと雨に強いのですが、その長所がさらに引き立つというメリットも見逃せません。
さあ、あとはもう履いて履いて履くだけです。
手入れは毎回行う必要はないでしょう。
ちょっとくたびれてきたな、というときに行えばじゅうぶんです。
それも毎回フルコースではなく、きょうはブラッシングだけ、きょうは乳化性だけ、などと気分と靴の状態でお考えいただければ結構です。
と冗長に述べましたが、靴の楽しみ方は千差万別、これが正解ということはありません。
ただ、ひとつの方法論として少しでもご参考になれば幸いです。
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