Oh バンビーノ 君にサルーテ・レガーロ ~ EEL/ オリオンコート

東京で木枯らし一号が吹いたとか。

たしかに快晴なのに空気がひんやりとして、無条件にぽかぽか陽気とは言いづらい温度感です。
例年より少し早い訪れのような気もしますが、多少の前後はあれそんな時期になったということなのでしょう。

秋冬の星座の代表格といえばオリオン座、なんといってもその視認性は比類ありません。
そういえば何年か前からベテルギウスが超新星爆発する日も近いと噂されています。
オリオンの右肩、向かって左上の星ですね。
腰の3連星がある限りオリオン座の見つけやすさは変わらないといえ、一部が欠けてしまったらなんだか寂しくなります。
星からすればそんなことは知ったことではないでしょうが。

さてそんなオリオンの名を冠したフードつきコートがEELから届いています。
オリオンはギリシア神話ではたしか好色な剛腕の狩人だったはずですが、その荒々しさは微塵も感じさせない、柔和な一着です。
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カシミア混のなめらかな手触りの素材を、すっきりとしたAラインで仕立てました。

袖はラグランですので体型や比較的下に着るものの形状は比較的選ばず、そのニュートラルなルックスもあって老若男女オンオフ問わず着用可能な、きわめて汎用性に優れたコートです。

ボタンには水牛の角を採用しており、生地の上質さに負けない質感を持っています。
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中綿は入っていませんので、晩秋から初春まで活躍することでしょう。
オリオン座は4月くらいにはだいぶ見えなくなりますから、なかなかに足並みの揃った活躍期間と云えます。

夜空にオリオン座を見つけて季節を感じ、そしてこのコートの準備を始める、そして見えなくなった頃に仕舞う、
今後そんな毎年の風物詩になり得る名品だと確信しています。

オンラインストアはこちら→ キャメル/ ブル


朝目を覚ますとU2な気分 ~ EEL/ モーニングガウン

ニットの記事が続きましたので、
気分を変えてニット”のような”服をご紹介します。
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このEELのモーニングガウン、
エンボスパーカーと同じくケーブルニットがエンボス加工された
スウェット生地を使用した上着なのですが、
なかなかどうして分類しづらい服です。

名前こそガウンなのですが、いやいやどう見てもガウンではないですよね、
丈の短さからショールカラーのジャケットというのが見た目上は近い気がします。
しかしながら着てみるとストレッチの効いた生地感も相まって
まさにカーディガンの軽快を楽しめる、
実に不思議な一品となっています。

ボタンがヴィンテージのワークウェアの如くチェンジボタンを採用しているという
細かい遊び心(勿論、洗濯時にボタンを外せば破損リスクを軽減できるメリットはあります)も
EELらしさを感じさせます。
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このように変わった服でありながら、
色や形が落ち着いているため、職種によっては仕事の場でも着られてしまいます。
そんな高い汎用性が備わっているのもこの服の魅力です。

ベーシック、スタンダード、オーセンティック…
昨今食傷気味なほどにこんなキーワードが取り上げられがちですが、
畢竟それは個人的な価値観や生活スタイルに委ねられるべきものです
(ただし、所謂定番品の定番品である理由を身をもって知っているか否かは
その判断力の形成に大きく影響します)。

何年も、気が付いたらいつも使っている、自分にとっての定番品。
貴方にとってこの服がそんな存在になるかも知れません。

オンラインストアはこちら→ グレー/ ネイビー


だからハニー ~ knitchy/ ハニカムケーブルブルゾン

店頭ではすでに真冬用のコートも少しずつ動き出してはいるものの、
そこまで防寒性が高くない秋の羽織り物が何かあれば便利ですし、
まさにこれから厳冬期にかけて活躍します。

knitchyからはそんなアウターとして使えるものが2種類入ってきていまして、
今回はそのひとつめを紹介させていただきます。
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クラシックなニットブルゾンの硬さ、重さ、武骨さを削ぎ落として
都市生活向けのアレンジメントが施された品です。
前回のEELのニット同様、舶来品の本格派が唯一の正解ではないというところを、
これでもかと見せつけてくれます。

まずデザインについては、ボディがハニカムで袖がケーブルという
変則的な組み合わせとなっています。
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袖がケーブルニット、となると往時のAFFAのMA-1を思い出す方も
いらっしゃるかも知れませんね。
あれをデザイナーが意識していたとは思いませんが、
作り手のバックボーンが滲み出ているように感じさせる仕様です。

また、見た目では判らない部分では、
表面にはハリのある糸を使用して編みの質感をはっきり出しつつも
体に触れる裏面はラムウールを用いてやわらかな肌触りとなっています。
なんとも細やかな気配りです。

ボタンは無塗装の木が用いられており、
これだけで面構えがぐっと本格的になります。
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シャツとすっきりしたスラックスのスタイルに羽織っても勿論いいのですが、
Tシャツに履き古したヴィンテージの501などと組み合わせる
’90年代後期ストリートな装いも、今却って新鮮かも知れません。

基本的にはオーソドックスなスタイルのニットブルゾンですので、
合わせられる服の範囲は広く、一枚持っているとひじょうに便利です。

是非一度お試しください。

オンラインストアはこちらです→ オフホワイト/ グレー/ ネイビー

保存


そして私はレースを編むのよ ~ EEL/ 暖炉に犬&渡り鳥が飛ぶ頃に

昨日は展示会で恵比寿青山千駄ヶ谷の辺りを巡っていましたが、
街行く人々が厚手のニットを着ている姿が目につきました。

昼は兎も角、朝晩はすっかり冷え込むようになりましたからね。
トレンドとされるミリタリーテイストよりも多く見かけたような気がします。
誰かが仕掛けた流行よりも各々の気分的なものが勝る、そんな今の時代の空気を感じました。

当店にもふっくら暖かなニットたちが続々入荷しています。
ニットのクオリティが高いことで知られるEELも御多分に洩れません。

冬のくつろぎを感じさせるアラン編みのニットシリーズ、その名も
クルーネックの”暖炉に犬”とタートルネックの”渡り鳥が飛ぶ頃に”です。

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もはや商品名の世界を逸脱した詩的なネーミングの通り、
このニットを着ている暖かな家でのひととき、
そして外では寒空を渡る鳥たち、そんな情景が目に浮かぶようです。

首回りを除く基本的な構造や編み目はほぼ共通となります。

つくりとして特筆すべきは、当店ではknitchyなどでお馴染みの
ホールガーメント(無縫製)で編まれていますので、
縫製部分のごわつきやつっぱりがなく、非常になめらかな着心地です。
糸も柔らかいものを使用していますので、よりそれが実感できるのではないでしょうか。

シルエットもそれぞれ武骨にならずすっきりとしており、
アウターを羽織っても中でごろつきにくくなっています。

アランニットといえばのインバーアランなど
舶来ものの手編み本格ニットも佳いものですが、
本場ものならでは硬さ、重さ等は現代の都市生活に於いては必要なファクターとは云い難く、
それならばこうした最新技術で欠点のみを超克したものを気持ちよく楽しむのも
ひとつの服の楽しみ方だと考えています。

いずれ訪れる長い冬を、大いに満喫していきましょう。

オンラインストアはこちら→
暖炉に犬 オフホワイト/ ネイビー
渡り鳥が飛ぶ頃に オフホワイト/ ネイビー

保存


てぶくろをかいに ~ handson grip

昭和は遠くなりにけり。

どんな由かは存じ上げませんが、近年冬の身を切るような凍てつきが、昔よりやや薄らいだような気がします。

それなのに店主、加齢のせいでしょうかすっかり寒さに弱くなって、若い時分には真冬でも足が暑くて眠れなかったのが嘘のように、冬の就寝時にはウールソックスを履かないとだめなおじさんに成り果てました。
体の中からじいと冷えるんですよねえ。
この時候ですら指先がひんやりします。

健やかなる皆様は如何お過ごしでしょうか。

ひょっとすると店主同様、手袋がもう視野に入ってくるんだという方もいるかも知れません。

さてそんな手袋、晩秋から冬にかけて欠かせざるものでありながら革かニットかの二択になりがちで、なかなかオッとなるものが現れず。良し悪しの話ではないのですが、それは別として発見に乏しい分野ではあります。

そこで当店に登場するのは、そんな閉塞感を突き破るニューカマーです。

全国の手袋生産の9割を占めるという名産地香川県東かがわ市に於いて60年の歴史を持つ工場が送り出す、handson grip(ハンズオン・グリップ)の手袋たちをご覧ください。

この工場はただ歴史が長いだけでなく、プロアスリートの特注品も請け負うなどレベルの高い生産能力を持ち、新しい技術、素材に対する姿勢も貪欲です。
そこのオリジナルブランドとして、何度も様々な環境でのテストを繰り返し、都会的なデザインでありながらギアとしてハイスペックな品を展開しています。

その中で当店に入ってきているのは4型です。

まず一番ライトなTracker。
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これは市街地での使用を想定したモデルで、軽量なポーラテックのパワーストレッチ素材を甲に使用しています。
保温性に優れるだけでなく、その名の通りストレッチ性能も魅力です。
掌はナノフロントという極細繊維で、非常に高いグリップ性が特徴となります。
指先のジグザグステッチはタッチパネル対応機能で、手袋を嵌めたままスマホやタブレットを使用できます。
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次にライトなのはEasy Breezy、これはソフトシェル素材とレザーのコンビです。
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ライトといってもこの段階ですでに寒冷地対応設計です。
メイン素材のソフトシェルは防風性とストレッチ性に優れたデュラテックスを用いており、掌のレザーで耐久性を高めました。
この革はウォッシャブルですので、家庭で手洗いすることも可能です。
その他細かな気配りとして、手首の静脈部分に保温素材プリマロフトを中綿として仕込んでいます。
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首、手首、足首の”首”を温めるのが防寒のポイントだと以前山雑誌か何かで読んだことがありますが、その発想で手首を温めることで、軽量でありながら保温効率を高めているわけです。

そしてフルレザーのWander’Bout。
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これもEasy Breezy同様ウォッシャブルレザーを使用しています。
全面にプリマロフトが仕込まれ、防寒性能は言わずもがな。
このモデルのみハイテク素材を表面に組み込ませていませんので、ビジネスシーンやクラシックな装いでも違和感なく使用できるのではないでしょうか。
ちなみに、裏地は美しいブルーのマイクロフリースです。

最後は積雪地帯での旅にも堪えうるWT Traverse GV。
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いわばEasy Breezyの上位モデルです。
同じくデュラテックスとウォッシャブルレザーのコンビですが、レザーの割合が増え、さらに耐久性が高まりました。
全面プリマロフトだけでなく防水素材まで中に仕込まれているため、雪に対して高い効果を発揮します。
なお、中指にはカラビナループが設けられており、使用していないときにここにカラビナを通してザック等に吊るしておけば雨や雪などが開口部から入りません。
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至れり尽くせりです。

いずれもそれなりの価格帯ではあるものの、それを上回る価値を持つものばかりです。
それぞれの在庫は各色1~2枚ですので、是非お早めに店頭にてご覧ください。

オンラインストアはこちら→
Tracker ブラック×グレー/ ダークブルー×グレー
Easy Breezy ブラック/ ブルー×ブラック
Wander’Bout ブラック/ タン
WT Traverse ブラック/ タン×ブラック


ブルージーンズメモリー ~ TELLASON/ Boyfriend Jean

当店でジーンズといえば3sixteenのスリムストレートですが、
さすがにあまりにも濃厚なつくりゆえ、女性には正直お勧めしかねますし、
それを前提として女性向けのサイズも仕入れていません。

硬い。
重い。
ごわつく。
糊落としが必要。
ボタンフライフロント。

この特徴の数々は男性から見れば何の問題も感じませんが、
現代日本の一般的な女性の感覚からは乖離しています。

現に世に出回っている女性用デニムといえば
Acneに代表される、スリムなストレッチの利いたものがほとんど。
最初から洗いをかけてさらに柔らかく、また育成せずとも色落ちを楽しむことができます。

しかしながらそれを佳しとしない堅物な店主としては、
なんとか女性にもデニムの真の魅力を楽しんでいただきたい、
その気持ちを捨て去ることはできません。

そこでこのTELLASON(テラソン)を提案致します。

女性にはあまり馴染みのないブランドでしょうが、
男性用のジーンズとしてはすでに確固たる地位を築いている本格派です。
コーンミルズ社のホワイトオーク工場製デニム(ヴィンテージの501の生地を再現)を用いて、
すべてのパーツをアメリカ国内から手配し、サンフランシスコで縫製して…
これらの文言に反応する女性は、皆無だと思います。

それを女性に薦めるなんて、冒頭の駄文は何なのかと訝しむ方もいらっしゃることでしょう。

ご安心を、店主とてそこまで価値観の押し付けはしません。
このジーンズは、日本の代理店のアレンジメントが施され、
女性の厭う要素を極力排除しつつも本質的な部分を保った、異端児なのです。

まず生地については国産の薄手のものに切り替えられていますが、
旧式の織機ならではの質感、色などのクオリティは現在主流の比ではありません。

開閉の回数はむしろ男性の方が多いのになぜか女性から面倒だと声の上がりがちな
フロントのボタンは、ジッパーに変更されました。
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メイドインUSAであることに固執せず、日本の工場で生産されていますので、
丁寧な仕上げと低価格化も実現できています。

もちろん一度水を通しており、
糊落としの儀式や縮みを考慮していただかなくても大丈夫です。

ただ、ストレッチは入っておらず、中古加工は一切施されておりません。
薄手デニムといっても市場の女性用ジーンズと較べればごわつきますし、厚手です。
穿きこんだ味を出すのも最低一年はかかることでしょう。
ですが、それでこそデニムというもの。
TELLASONの名を冠している以上、そこは断じて妥協するわけにはいきません。

今では数少なくなったデニムらしいデニムの入門編として、
是非一度お試しいただきたい逸品です。

オンラインストアはこちら→ Boyfriend Jean


この部屋でぼくはブーツのラインを眺めるだけ ~ Blundstoneのエイジングについて

有難いことにSTYLER MAGとfashonsnap.com、STAFFSNAPの掲載以来、当店のブログやオンラインストアでブランドストーン関係のアクセスが見たことがないくらいに急増しております。

さて細かく解析してみると、その中でちらほら散見されるのが「ブランドストーン 履きこみ」「ブランドストーン 手入れ」等の検索。
靴を長く使い、経年変化をポジティブに楽しむという素敵な傾向ですね。

そこで同じように店主もググってみたところ、世の皆様におかれましてはブランドストーンを本来のワークブーツとしての使用感、ガシガシ履いて爪先が擦れ、ボロボロになっていく様を楽しむというのが主流のようです。

大阪にWalls&Bridgesさんというブランドストーンを長く扱っている名店がありまして、そちらでダメージの入った履きこみサンプルを多くネット上にアップしていることも影響しているのかも知れません。

たしかにこういったブーツはハードに使ってこそ生まれる味わいというものがあり、それはそれで一つの解答だとは思います。
Wallsさんの写真、店主も大好きです。

とはいえそれに追従してばかりも芸がありません。
これはあくまで個人的な考え方ではあるのですが、使い込んだ革の味わいと、ただ使いっぱなしで朽ちていくのは違うのではと。

ということで、恐れ多くも店主が一ヶ月使用した私物を公開し、Euphonica流にブランドストーンのエイジングを楽しむ方法を提案致します。
スウェードの#1456のことは今日はひとまずさて置きますので予めご了承願います。

まずは店主私物と新品をお見比べください。
品番はともに#550です。
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(2016/9/16追記:ブラックの#558履き込みサンプル画像はこちらです)

店主はブランドストーンであろうがオールデンだろうがJ.M.ウェストンだろうが革靴は基本的に同じやり方で手入れを施しています(もちろん、素材等で変えてはいます)。
ワークブーツにも所謂ミンクオイル等は使っていません。

学生時代から靴磨きが趣味ですので、ケア用品は自宅に色々揃えていますが、本稿では気軽にハンズ等で入手できるもののみご紹介します。
正直ここで取り上げるケア用品であれば、高価でマニアックなものと仕上がりにそれほどの違いは出ないと思います。
当店でも取り扱えばいいのですが、それはまたいずれ…

必要なのは4種類。
馬毛ブラシ、着古したTシャツ等をウェスにしたもの、乳化性クリーム(瓶入り)、油性ワックス(缶入り)。
これだけあれば事足ります。
加えてM.モゥブレイのステインリムーバーと豚毛ブラシがあればなお望ましいのですが、どうしても必要なものでもないので、今回はここまでは触れません。
ご興味があれば店頭にて。

まず、どんな革靴であれ、買ったばかりのものは乾燥していますので、乳化性クリームを全体に塗ります。
ブラッシングし全体になじませて数分(理想は一晩)寝かせた後、布でしっかり拭き取ります。
革を指で撫でてもキュッと引っ掛からないくらいまで拭いてください。
髪の毛のコンディショナーと同じく、栄養分を浸透させるのが目的ですので、余計なクリームを表面に残しても何もいいことはありません。
べたついてごみがつくだけです。
また、その後のお手入れもクリームはつけすぎない程度に使ってあげてください。

乳化性クリームをお持ちでない方には、最初の一品としてM.モゥブレイの「シュークリーム」をお薦めします。
革小物などにはちょっと成分が強すぎる場合があるのですが、牛革製の靴用に限定すれば、癖がなく非常に使いやすいクリームです。

より高い性能をお求めの方は、コロニルの「1909シュプリームクリームデラックス」を。
ほぼすべての革製品に仕えるマイルドなクリームでありながら、革の内部まで栄養が浸透し、やわらかさ、コシ、しっとりとした自然な艶を生み出します。

次に、靴の爪先と踵に油性ワックスを塗布します。
最初は少し力を入れて多めに擦り込み、若干の時間を置いてから微量の水滴で優しく円を描くように伸ばしていきます。
ここの分量、力加減を文章にするのは非常に難しく、経験がすべてものを言います。
注意点としては水をつけたら力を入れずに磨く、ここだけは厳守してください。
どれだけ水を使ったかにもよりますが、湿った状態で強く擦ると革がふやけて大変なことになります。

また、履いた時に足に合わせて動く部分=爪先と踵以外の箇所にはワックスは使用しない方が賢明です。
とくに履き皺部分にワックスを厚塗りすると、履いていくうちにそこの革がひび割れてきて、こうなると修復できません。
厚化粧のほうれい線を想像してください。

ちなみにワックスといえばKIWIが有名ですが、店主はサフィール派です。
KIWIは確かに光り具合は素晴らしい(特にパレードグロス)のですが、成分が鉱物系のためかにおいがきつく、好みではありません。
サフィールは蜜蝋が主成分で、比較的マイルドなにおいと使用感です。
店頭でも商品を磨くのに使っています。
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髭剃りに使えるほど鏡のようにピカピカにする必要はさすがにないとはいえ、やはり適切な箇所を適切にワックスがけすれば靴に立体感が生まれますし、なにより傷などを防ぐ保護膜にもなります。
また、ブランドストーンはもともと雨に強いのですが、その長所がさらに引き立つというメリットも見逃せません。

さあ、あとはもう履いて履いて履くだけです。

手入れは毎回行う必要はないでしょう。
ちょっとくたびれてきたな、というときに行えばじゅうぶんです。
それも毎回フルコースではなく、きょうはブラッシングだけ、きょうは乳化性だけ、などと気分と靴の状態でお考えいただければ結構です。

と冗長に述べましたが、靴の楽しみ方は千差万別、これが正解ということはありません。
ただ、ひとつの方法論として少しでもご参考になれば幸いです。

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表革モデルのオンラインストアはこちら→ #550/ #558


南海の黒熊 ~ KARHU/ ARIA

ついにブレイクしました!とはとても申し上げられないものの、
有難くもSTYLER MAGにて特集を組んでいただいたりと
ようやく少しずつカルフのアリアも世に認知されてきているようです。
仲町台からしつこく声を上げ続けていることに依ってか否かは存じ上げません。
ただ、ほんの僅かでもその一要素であったならば幸いです。

実際アクセス解析してみれば、当店のブログやオンラインストアへも、
「カルフ アリア」で来られている方がそれほど珍しくなくなってきました。
まあ、未だにこの靴についてブログを書いているのは当店くらいなものなので、
興味を持った方が何か情報を、となるとほぼここに来ざるを得ないのですが…

そうして気がつけば店頭在庫もついに各色残り1足ずつ(10/15時点)となっておりまして、
ここに来ての新色の登場はなかなか絶妙なタイミングといえます。

“新色”といってもそんな奇抜なものではなく、
オーソドックスさが却って不思議な、ブラックベースのモノトーンカラーです。
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前回入荷のグレー×ダークネイビーと同じくスウェードとメッシュのコンビで、
秋冬モデルとはいえど年中違和感なく着用していただけます。

ちなみに、色表記は「ブラック×ホワイト」ではあるのですが、
アッパーのホワイト部分はKARHUロゴ刺繍とミッドソールしかありません。
逆にグレー部分が意外と多く、実質ほぼブラック×グレーのような印象です。
こういうところもカルフの味ですね。

サイズも女性サイズから男性サイズの大きいものまで幅広くご用意しました。
興味はあったけどあの色、どう履いたらいいのか…とお悩みだった方には
アリア入門用としてもお勧めできます。

この機会に是非、如何でしょうか。

オンラインストアはこちら

過去記事はこちら→ 熊を放つ/ 悲しみのベアー・クロー


あと残り三日です ~ .URUKUST & FLANGE plywood

先週末から開催中の.URUKUST & FLANGE plywoodのイベント、
土日のワークショップも遠方からご近所からと様々な方にお越しいただき、
そこで大きな花火が上がってしまったような感も無きにしも非ずですが、
なんの物販イベントはまだ続いています。

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そこで、まだお越しいただいていない方のために、
改めて今回の展示内容をご紹介できればと思っています。

まずウルクストでは、バッグ、革小物、それにワークショップでも使用した
ハンドメイドキットを各種取り揃えました。
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同ブランドではオリジナルのオイルドレザーのみに限らず、
イタリアのバケッタレザー、フランスの無染色のヌメ革などを
その特性、デザイン等で使い分けています。
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面白いものとしてはバッグの一部で採用されているもので、
通常の革と下染め段階の同じ革のコンビ使いがあります。

一般的に革は下染めののちにもう一度本番の色に染め上げるという、
二段階加工を行います。
この下染めの段階の革は、シミ等外部からの影響を受けやすく、
あまり製品には用いられないのですが、
変化しやすいということ=味が一層出る、また革の風合いが生かされているという点に着目し、
その性質をメリットととらえて敢えてこれを本体に使用しています。
なお、質の高い防水スプレーを吹き付けておけば
雨天時でもそれほど恐れることはない、ということです。

小振りのサイズが多いなか
男性でも問題なく使用可能なショルダーバッグも用意されており、
これもちょうどその下染め革のモデルとなります。
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フランジでは当店でコイントレーとして愛用中のトレーシリーズ、
ファイルボックス、小引き出しと額縁、ハシゴ型の棚を販売しています。
どれもフランジ独自の断面が美しい合板を使用し、
長く愛せる逸品揃いです。
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店主も額縁を一点購入しましたが、
デザイナー自身のご自宅用に開発したという小さめの棚なども
当店什器として欲しくなってしまいました。
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イベントも金曜まであと三日、アトリエは隣駅と云えど
月に一回しかショップ形態になりませんので、この機会をお見逃しなく!