メイド・イン・ヘヴン ~ tilt The authentics/ CWSW Soft Brushed Shark Jacket

とかくジャケットが豊作な今季、各ブランドからとびきりの逸品が続々と届いているなか、ただならぬ存在感を放射しているのがtiltの新作です。



「オーセンティックなものを傾ける」、そのブランド名の通り、わかりやすい意匠ではない形でのデザインワークが遺憾なく発揮されています。

生地は上等なウールのフランネル…と思わせて、さっそく変化球。

見た目では判りませんが、実は半分くらいがコットンで構成されたシャークスキンです。
コットン、ウール、さらにセーブルがくわえられたスペシャルな配合で、織り上げられたのちブラッシング処理で軽く起毛させています。

ちなみに、セーブル(黒貂)の毛はカシミアより繊維が細く滑らかな肌触りをもち、また内部に気泡を有するため軽く暖かいという特性を備えています。

日本でも奈良時代くらいから高級品としてその毛皮が朝廷、貴族らに珍重されていました。
かの『源氏物語』でも、末摘花がその毛皮に香を焚き染めて着用しているさまが描かれ(「表着には黒貂の皮衣、いときよらにかうばしきを着たまへり」)、没落前の栄華を仄めかしています。

この生地を贅沢に用いて、着丈と身幅をたっぷりととったバランスで仕立てられました。
純然たるジャケットというよりショートコートに近い感覚とも言えます。

裏地は光沢の少ないキュプラコットンです。

また、表からは見えない点として、襟裏と両脇のパッチポケットの内側には、カシミアウールのビーバークロスが当てられており、とくにポケットに手を入れたときにそのとろけるような肌触りと抜群の保温性に、つい頬も緩みます。

敢えて開きを省略した筒状の袖口や

ベントのない背面からは、このジャケットがクラシカルな紳士服の文脈からずらして設計されているのが見て取れます。

なお、このジャケットを仕立てたのは、紳士服の工場ではなく、女性服専門、それもプレタポルテを主とした洋装店です。
先日の英国女王の国葬にて我が国の皇后陛下がお召しになったジャケットを仕立てたという実績も、その高い技術を物語っています。
メンズの服なのにマッチョさがまったく見当たらないのは、デザインのみならず、そうした背景もあるのかも知れませんね。

まあ、そうした情報はひとまず頭の片隅に置いて、無心な状態で袖を通していただくに限ります。
その着心地、肉体を重ねたときの美しさ、どこをとっても超一級品であるのは、理屈抜きにご理解いただけるはずですよ。

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