コートにまつわる特別寄稿 ~ Pt.2 松尾翼氏(Itheセールス・PR)

来たる外套フェアに向け、当店でお世話になっているブランドの方々に、それぞれの視点、感覚での、コートにまつわるミニコラム的な文章を書いていただく短期連載企画。

第二回は、Itheの広報である松尾さん。

広報としての仕事のみならず、一番のItheのファンとして、企画の立案作業にも関わっている人です。

「人はなぜコートを買うのか?」
その問いに対するひとつの解答が、こちら。

コート、特に外套とも呼ばれるオーバーコートはまさに前時代的なものだと思う。生地が分厚くて嵩張るし、そのぶんだけ肩にずしりと乗る重さもある。そのうえ買うに勇気のいる金額であることも少なくない。
個人的にもよく話すのは、都会で最も快適に過ごせる冬の装いは長袖のTシャツの上にダウンジャケットを羽織り、その脱ぎ着だけで体温調整をするということ。他にも軽くて暖かく、しわにもならない安価な服がいくらでもある現代になって、それでもどうして人はコートを選りすぐるのだろう。その様子には、人はコートを着ることに便利さを超えたよろこびを見出している気さえする。

コートは言わずもがな、あらゆる服の上に重ねて着るもの。つまり、その人の最も外側の皮膚と言えるのがコートであり、それは周囲から見ればその人自身を表すものであるということ。羽織ると背筋が伸び、自分に自信が湧いてくるようなコートが良いコート、という個人的な感想かもしれないけれど、たしかに自分を守り、ある時には鼓舞してくれるような頼りがいをコートには感じるのだ。

コートに対する思いは作り手にとっても同じこと。ファッションブランドが提案する秋冬のコーディネートには必ずと言っていいほどコートが登場する。あらゆる服の上に重ねて着るコートはそのブランドの顔である。歴史を振り返ってみても、一時代を築いたブランドにはすべからず名作と呼ばれるコートがある。だからファッションブランドにとってどういうコートをデザインするかと言うのはある種の意思表明でもあるし、その哲学や姿勢がもっともよく表れる衣服だとも言える。

着る人にとっても作り手にとっても特別な意味を持つ衣服であるコート。どのコートを買うか、という問いは深く難しいけれど、その悩みこそが何にも替えがたいファッションのたのしみでもある。そして、コートとの付き合いは多くの場合1年や2年では終わらない。10年、あるいは”時間に耐えうる永続性”を持つ衣服を揃えるEuphonicaで買うコートは生涯の良きパートナーとなることすらあるかもしれない。
悩ましいコート選びを、どうぞお楽しみください。

Ithe 松尾 翼


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