夏に去りし君を想フ ~ THINKWOOL

先日弊ブログの一記事として公開した『薫香考』は想定を超える大きな反響を賜り、香害への関心の高まりを感じさせるものでした。

しかし当店のような零細商店では発信の届く範囲にも限りがありますし、今回の反応が世間の大多数の声と考えるのは尚早です。

一般的な感覚としては、相変わらず強い香りは好まれ求められているのでしょう。

この香りづけブーム、洗濯ものの生乾き臭や汗のにおいをケアするエチケットとして広まったところもあり、となると蒸し暑さが加速するこれからの時期はさらに需要が高まると予測されます。

ただ先日も書いたように、香りで臭いをカバーするのは根本的な解決にはならず、やはり臭いそのものを断たねばどうにもなりません。

しっかりと汚れを落とす、これがベストなのは言うまでもありませんが、もとからにおいづらい服を選ぶというのも手です。

そこで注目すべきがウール。
天然の抗菌性はにおいの原因である雑菌の繁殖を抑えてくれます。

さらにコットンの3倍以上の吸水放湿性をもち、汗をかいてもべたつかずさらさらした状態を維持。
熱伝導率が低いため夏でも快適で、実は梅雨~真夏にかけて最適な素材のひとつだったりします。

さて、昨年夏に登場し、大好評のなか完売したウールのTシャツが、THINKWOOLのTW FUSION TEE SSです。
今年ももちろん入荷しました。


リラックスウールと名付けられたTHIKWOOLオリジナルの編み生地は、メリノウールのやわらかな肌触りと抗菌性、それにポリエステルの耐摩耗性、強靭さを掛け合わせています。
また、ウール特有のチクチク感が苦手な方にも配慮され、肌当たりがとても柔らかいのもうれしいところ。

ウールというとケアがたいへんなイメージを持たれるかもしれませんが、家庭で洗濯可能です。
なお、ドライクリーニングでは水溶性である汗汚れは落ちませんので、むしろ水洗いをお薦めします。

機能性だけでなく、シルエットの美しさも特筆すべきポイントで、重力に従って生地が縦に落ち、美しいドレープを描きます。

このTシャツと並んでお薦めしたいのが、半袖のポロシャツ。


TW MESH POLO SHIRTS SSの名の通り、独自に開発されたウール×化繊のメッシュ生地で仕立てられています。

通気性のよさは言うまでもなく、それでいて着てみるとあまり透けは気になりません。

前立ては深めに設定されていますので、スナップボタンの留め具合で見た目だけでなく体感温度も調整できます。

こちらもご家庭で洗濯可能(先述のTシャツもですが、洗濯機内での損傷を防ぐためネットには入れてください)。

風通しのよい組織で、かつ薄手、そして素材の特性もあって室内干しでも乾くのが早く、旅行や出張の御伴としても活躍してくれることでしょう。

梅雨の盛りのはずが、暑さのギアが一段階上がり、お客様も郵便配達員さんも店のドアを開けるなり「暑い…」「暑い…」と悲鳴を上げています。
これからしばらくはこんな天気が続くようですし、こうした機能的なウールは一層活躍するはずですよ。

オンラインストアはこちらです→
TW FUSION TEE SS/ TW MESH POLO SHIRTS SS


NATSUKAGE ~ EEL Products/ conkara shirts 1/2

いよいよ梅雨らしくなってきたな、と思ったら、俄かに夏めいてきて面食らいますね。

すっかり半袖の気温ですが、さすがにまだ6月ですから真夏全開という気分にはなれません。

となると、こんなシャツがちょうどよいのではないのでしょうか。



EEL Productsの夏の定番conkara 1/2、今年の提案はグラデーションの美しいオンブレチェックです。

1990年代に青春時代を過ごし、なおかつスケートボードに明け暮れていたというお客様が当店には少なくなく、そうした背景をお持ちの方からは店頭にてたいへんご好評いただいています。

もちろん当時のスケーターが着ていたようなゴワゴワしたコットンフランネルではなく、さっぱりとした肌触りのポリエステルコットンの生地。

軽く涼しいだけでなく、汗をかいたり雨に降られても比較的すぐ乾き、重宝します。

なお、近年サイズ表示のイメージよりもゆったりしていることが多かったEEL、昨年のconkaraもだいぶ大きめでしたが、今年は表記通りのサイズ感です。
全体のバランスも見直され、着丈、肩幅、身幅が短く、袖丈が長くなり、すっきりした印象となりました。

柄、サイズバランスともに落ち着いた印象ながら、どこかにとぼけたような愛らしさがあるのもEELならでは。

「涼しい服は欲しい、でもそこまで弾けたくもないしシックすぎるのもちょっと違う…」そんな方にぴったりのシャツですよ。

オンラインストアはこちらです→ ブラックチェック/ ライトグレーチェック


め組のひと ~ MEYAME/ SIDE STITCH RIB TANKTOP

近年の夏の蒸し暑さは装いにも影響を与えているようで、とくにTシャツの立ち位置に若干変化が生じてきたように感じています。

もちろんTシャツ自体がトレンドアウトしたとかそんなことはまったくないものの、少なくともシャツや薄手の羽織ものと重ねるものの圧倒的主役ではなくなってきました。

その代わりにじわじわとお声が上がっているのが、タンクトップ。
単体でというより、涼しく軽く下着然としすぎないインナーとしての需要が、確実に高まってきています。

それを受けて実は現在メンズのタンクトップは別注といいますか共同開発という形で仕込みに入っているところですが(そう遠くない先にお披露目できそうです)、レディースもレディースで「これだ!」と思えるものが見つかりましたので、今回はこちらをご紹介します。



弊ブログでは初登場のブランド、MEYAME(メヤメ)です。

2018年に染谷めぐみさん・裕亮さんのご夫妻によって発足したレディースブランドで、不思議な無国籍感漂うレーベル名は意外とシンプルに”soMEYA MEgumi”からとられました。

「ずっと手元に残しておきたい服」をテーマとし、デザイン、品質に妥協を許すことなく、リアルクローズとしての本質を見据え、価格設定も含めて着やすい服を追求しています。

そんなMEYAMEが定番としてつくり続けているのが、このタンクトップ。

MEYAMEが独自に開発したコットン×再生ポリエステルのリブ編み生地は、柔らかく伸縮性に優れ、且つダレにくいのが特徴です。

軽くて皴も目立ちにくく、洗濯強度にも優れています。

もちろんタンクトップ自体の設計も手抜かりありません。

全体のバランス、胸元とアームホールの開き具合も緻密に計算され、着用時にとても清潔な美しさが生まれます。

両脇にはMEYAMEのブランドコンセプトカラーである赤いステッチが走り、程よいアクセントに。

派手さや尖鋭的なインパクトはなくとも、しっかりとバイプレイヤーとしての務めを果たすべく丁寧な仕事が窺えるタンクトップです。

MEYAMEからはタンクトップ以外も届いていますが、店頭ではさっそくご好評いただいておりまして、すでに巣立ってしまったものもチラホラと出てきています。

当店のレディースに於けるリアルクローズ部門の一角として、引き続きご注目ください。

オンラインストアはこちらです→ ブラック/ ホワイト


ギザギザハートの子守唄 ~ comm.arch./ Giza Cotton Knitted Polo SS

ポロシャツが「スタンダード」な存在だったのも今は昔。

平成生まれの世代(なお、2025年は平成換算で37年にあたります)だと、学校を出てから一度も袖を通したことがない、ビジネスカジュアルは別として私服では着ない、なんて方も珍しくありません。

しかしだからこそ、「ポロシャツとはこうあるべき」という定義や文脈をいったん抜きにして自由に選びやすい頃合いと言えます。

かといっていきなり大胆な変化球というのも飛躍したチョイスでしょう。

となれば、おなじみcomm.arch.が選択肢として存在感を増してきます。



ポロシャツといえばスポーティーな鹿の子素材が一般的であるところ、こちらはコムアーチらしくギザコットンを用いた品の佳いハイゲージニット。

天竺編みではなく肉感豊かなスムース編みにすることで、ハイゲージ特有の華奢な薄さを抑えたニットポロとなりました。

裾のリブの両脇にはスリットが入り、フィット感を保ちながらもリブによって服が上がりすぎるのを防ぎます。

また、通常ポロシャツには台襟がないのですが、襟の下部を剛性の強い編み方に切り替えることでその役割を果たしています。

これによって、襟が首に沿い、よりドレッシーな印象になるだけでなく、上にジャケットなどを羽織ったときに襟が埋没しづらくなりました。

毎度のことながら、一見デザインらしいデザインはされていないようで、実に丁寧な仕事の施された服です。

横浜もついに梅雨入りして、いよいよ本格的に半袖の季節となりました。

ポロシャツをふだんお召しにならない方も、もちろんポロシャツ愛好家の方も、是非一度お試しあれ。

オンラインストアはこちらです→ ブラックアウト/ ヘビーウッド(ダークブラウングレー)


薫香考

「試着するときに気をつけることはありますか?」

匿名質問箱サービスなどを通じて、たまにこうしたご質問をいただきます。

お店によってその閾値は異なり、なかには「買う気や財力がないなら着るな」なんて横柄なところもあるようですが、そうした極端なケースはひとまず置いて、一般論として簡単に列挙しますと

・とくにニット類をお試しの際はアクセサリー類は外す(損傷防止)
・ガムや飴を口に入れた状態は避ける(汚れ防止)
・日焼け止めや制汗剤のついた状態は避ける(変色防止)

などでしょうか。

そして、これらにくわえて意外と見落とされがちな観点が、香りです。

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香水のマナーについては昔からよく云われるところで、すでにご存知の方も多く、本稿ではとくには触れません。

よほどたっぷりと使っているのでなければ、そこまで気をとがらせなくとも大丈夫です。

問題なのは、もっと強烈で、しかもすぐに対応するのも難しい日用品、すなわち、柔軟剤や洗剤。

あまりに身近すぎるものですから、まだそれほど意識していない方が大多数でしょう。

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アメリカ製の柔軟剤『ダウニー』が、ファッションに意識的な人たちから「海外っぽい」感じの匂いを愉しめるお洒落なアイテムとして注目されたのは、2000年前後のことでしたかね。

その後日本でも『レノア』が登場、CM効果もあって、こうした香りがポジティブなものとして広く受け入れられてきて、しだいに柔軟剤の香りを纏うことが清潔感のアピール、もっといえば身嗜みとされるようにまでなっていました。

いまや柔軟剤は本来の役割以上に香りづけを目的として使われることも多くなり、さらには『レノア アロマジュエル』のように、純粋に香りづけのためだけの製品まで売られています。

いつしか柔軟剤やビーズだけでなく、洗濯洗剤自体も強い香りをアピール商品が増えてきて、もうこうなってくると「洗濯=汚れ落とし」ではなく「洗濯≒香りづけ」です。

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しかしその一方で、化学物質過敏症に悩む人も増えています。

化学物質過敏症は、身の回りにあるごく微量の香料や化学物質で、頭痛・吐き気・めまいなどの体調不良が起こる症状です。

柔軟剤や芳香剤の強い香料はそうした体調不良を引き起こしやすく、なおかつ近年はマイクロカプセルに香料を閉じ込める技術によって「香り長持ち」が普及しています。

「すれ違ったときにいい匂いがする」はよく柔軟剤などの香りアピールで使われる文言ですが、望まぬ人にとっては大きなダメージだったりするわけです。

この化学物質過敏症はもはや決して珍しい話ではなく、国民生活センターや自治体に多くの苦情が寄せられ、またわずかながら国会議員までも動き始めてきたほどに、それこそ公害として社会問題と化しつつあります。

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嗅覚は同じ刺激を受け続けると鈍麻します。
ゆえに、そのような柔軟剤や洗剤などを日常的に使っている人ほど、その香りの強さに気づきにくいもの。

而して、知らず知らず服だけでなく住居、そしてその生活空間のなかで体にも香りは染みついていきます。

実は、この状態でご試着されますと、あっという間に服に移香してしまうんですね。

こうなると、スチームを当てたり店内をしばらく換気したりしないとなかなか匂いがとれません。
先述のマイクロカプセルは、それほど強力な技術です。

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しかしこれ、厄介なのは生活必需品だという点でして、薬局で販売されているほとんどの洗剤や柔軟剤に強い香料が添加されている以上、完全に避けるというのも難しいところ。

もちろん、たとえば当店で販売しているLIVRERの洗剤のように、微香もしくは無香料のものもありますが、あまり市場に出ていないうえに傾向として比較的高額なため、日用品としてだれもかれもそうした品を選ぶというのも非現実的な話です。

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ですので、この問題はユーザーのみに責のある話ではなく、洗剤メーカー側にも大いに改善を求めるべきでしょう。

「香りが強い方が売れる」、それは事実かも知れませんし、多くのユーザーが強い香りを求める以上応えるのが原則なのも理解できます。
が、いくらなんでも激化しすぎです。

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近年の夏はとにかく蒸し暑く、それもあってか汗などのにおいに対応したり、部屋干ししても臭いづらい効果をアピールする柔軟剤も売られています。

しかしこれは、強い香料で上書きしたり、繊維をコーティングして吸水性を落とすことで乾きやすくするというのを言い換えたものであり、本質的な効果ではありません。

そもそも、汚れさえきちんと落ちていれば、洗濯物はそこまで臭わないはずです。
臭うということは、原因である菌とその餌となる汚れが残留しているとみてよいでしょう。

その原因のひとつとして考えられるのが、「すすぎ一回」。

たしかにすすぎ一回で洗剤が流れるならば、節水になって大助かりです。

が、洗濯の過程の中で、汚れを落とすのはすすぎ。
すすぎの回数が減れば減るほど、汚れは残りやすくなります。

すなわち、すすぎ一回で汚れが落ちきれず臭う、それに対応すべく香りでマスキングし、吸水性を落として乾きやすくする、という話になります。

メーカーとしては洗剤と柔軟剤のセット販売に繋がるのかも知れませんが、本末転倒ですね。

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というわけで、各大手メーカーには抜本的な改善を要求しつつ、消費者の側もお互いの健やかな社会生活のために相互理解を深めていく必要があります。

柔軟剤の香りによって困る人がいても、そのユーザーのモチベーションは悪意でなくエチケットやマナーですから、殊更にユーザーを責めたところで不幸な軋轢を生むばかりです。
一方、その香りのモチベーションがエチケットやマナーであっても、柔軟剤の香りによって困る人の存在を軽んじるのはエチケットやマナーの精神とは言えますまい。

鼻は、目や耳以上に塞いでしまうわけにはいかない部分です(もちろん、目や耳は使えなくていいなんて話ではありませんよ)。

いつまでも香りが残るというのが果たして純粋に心地好いことなのか、そしてそもそも、その香りはほんとうに必要なものなのか、ときにはちょっと立ち止まって考えてみるのも決して無駄なことではないと思います。


光浴びながら 歩きだそう ~ Justin OH/ ELSA

暖かさというより暑さを感じる日がだんだんと増えてきました。

陽光はいよいよ強さを増し、梅雨前の分厚い雲の合間からギラリと照りつけてきます。

この時期になると、服や靴だけでなく、バッグも季節に応じて素材や色、重量などに変化が欲しくなりますね。

そんな折、ロンドンから素敵な子たちがやってきました。

当店では初登場、Justin OH(ジャスティン・オー)のご紹介です。

デザイナーであるジャスティン・オー氏はマレーシア系英国人。
セントラル・セントマーティンズとロイヤルカレッジ・オブ・アートでの修士課程を得て、JOSEPHやヨウジヤマモトで研鑽を積んだのち自らの名を冠したレーベルを立ち上げました。
その後のキャリアも長く、ロンドン・ファッションウィークでは10年以上にわたり公式キャットウォークショーに参加、その他さまざまな企業とも仕事をしてきた実力派ベテランデザイナーです。

現在はひとりで小規模かつ濃度の高い活動を行っており、今回ご紹介するバッグもロンドンのホルボーンに構えた工房にて、ジャスティン自身の手で一点ずつつくられています。

さて、それではショルダーバッグ”ELSA”をご覧いただきましょう。

生地は、ワックス加工が施された頑強なコットンキャンバス。

ショルダーストラップや本体上部のバンド(上の写真でリベットで補強されている黒いラインの部分)には、英国らしく馬具用のコットンウェビングが採用されました。

開口部は馬具用ウェビング+スナップボタンによって開きすぎるのを防ぎます。

しっかりとした底マチ、充実した内ポケットと、実用面に関しても手抜かりありません。

収めたものを見つけやすいようオレンジ色の裏地が採用されているのも有難いですね。

使おうと思えばリバーシブル感覚で裏返して使えるほど丁寧につくられており、素材の頑丈さも相まって、日常の伴として長く愛用できそうです。

ポップな配色ではありますが、上品な色調、そして程よいサイズ感もあって、老若男女問わず気負うことなくお使いいただけます。

まずは是非一度店頭にてご覧ください。
画面越しに見るよりも、ずっと人当たりのいいバッグですよ。

オンラインストアはこちらです→
ピンク×ブラック/ アップルグリーン×ブラック/ ブルー×ブラック


246の幾何学 ~ mando/ オーバーダイジャカード シングルブレステッドジャケット

四半世紀前の学生時代でさえついこのあいだのような気がするくらいですから、まさに光陰矢の如し。

今年も気がつけばもう6月に突入、梅雨に片足を突っ込んでいました。

気温は上がったり下がったりを繰り返しながらも、湿度はそこまで下がることもなく、日々じわじわと蒸していく時期です。

そうなってくると、薄く軽く清涼な上着が重宝するもの。
さらに梅雨のみならず真夏でも着られるなら、もう言うことはありません。


今年に入り、当店のお客様からのmandoの支持率がまた一段と上がったのを実感しています。

ぱっと見は少々クセが強く感じられたり、また決して安価な価格帯ではないのもあって、なかなか初手のハードルは高いようですが、実はブランドリピート率は当店ラインナップでも屈指。

このジャケットも、単体で見たときのインパクトと裏腹に、着る人をたちまち虜にする包容力の高い魅力を備えています。

美麗な幾何学模様がmandoらしいこの生地は、薄手のキュプラ。

吸排湿性に優れ、なめらかな風合いとさらさらした肌触りと兼ね備えた素材です。

一方でキュプラはデリケートな印象も強いものですが、このジャケットはなんと仕立てたのちに製品染めが施されています。

結果、複雑な色調が生まれただけでなく、服の印象が絶妙な塩梅で崩れ、何とも粋な佇まいとなりました。

のみならず、製品染めによってすでにじゅうぶんに水分が通った状態ですから、このジャケットは家庭での洗濯が(しかも洗濯機で!)可能です。

Tシャツの上に羽織るだけで様になってしまうファッション性、快適な着心地、汗や汚れの懸念も軽減してくれるイージーケア性、これらすべてを軽々と高次元でクリアしてしまうこのジャケットは、鬱陶しいほど蒸し暑い季節でさえもきっと愉しく過ごさせてくれることでしょう。

オンラインストアはこちらです


『はたちメシ』に店主登場しました

朝日新聞系のウェブメディアwithnewsの連載企画『はたちメシ』に、当店店主が登場しました。

「世の中なめきっていた」頃の〝はたちメシ〟バイト代が入ったら…
二十歳の頃に食べていた「思い出の味」とともに、当時を振り返ると… (withnews)

記事を担当されているのは、フードライター/コラムニストの白央篤司さん。
ウェブメディアを中心に活躍し、また食にまつわる著作を10冊以上も世に送り出している方です。

光栄なことに先方よりお声がけいただき、全国の皆様にこのまぬけづらを披露する運びとなりました。

『はたちメシ』は、その名の通り二十歳のころの思い出の味をテーマとしたコーナーです。

二十歳といえば大学2~3年生、というわけで今回選んだのが母校の学食のビーフシチュー。

詳しくは記事をお読みいただくとして、取材時を振り返ってみると、見た目も味も当時のまま何も変わらないシチューを口にしたとたん、学生時代の思い出が一気に押し寄せてきて、ちょっと収まりのつかない気持ちになってしまいました。

楽しかった日々だけでなく、心の奥底に封印していた恥ずかしい記憶も一緒にフラッシュバックして…

そのときのうまく言葉が出てこなかった様子も記事にて描写されておりますので、一笑に付していただければ何よりです。

昔話ついでに、少々余談をば。

いまはどうだか存じ上げませんが、母校には「サークル席」なる概念があり、各サークルで学食の席をエリアごと占拠していました(ですのでサークルに入っていないと、食事する場所を探すのに少々難儀します)。
お昼時はもちろんのこと、授業をサボって、そこで夕方遅くまで長時間ダラダラしていたりしたものです。

ただ、いつしか14時閉店になってしまったようで、今回の取材でビーフシチューを食べ終えたころにはもう閑散としていました。

当時みんなで居座っていた一角。

あれからもう四半世紀が経ち、改装して学食自体の雰囲気も変わり、ベターデイズに至ってはとうに無くなってしまいましたが、自分の中ではここはずっとあのころの「サー席」のままです。

蓋し。
久しぶりの学食で勝手がわからずキョロキョロしていたら助けてくれた親切な女学生さんはじめ、キャンパスにいる子たちは、考えてみると店主が学生のころには生まれてもいません。
大袈裟でなく、皆さんとは親子のような年齢差です。

そんななか、年甲斐もなくだんだんと自分まで学生のような気分になってしまいまして、まさに母校ならではの特別な体験でした。

白央さん、素敵な機会を有難うございます!


今更なんて きっとはにかむけど ~ K.ITO/ サーマルジャージープルオーバー

一昨年、たいへんな好評を賜ったTシャツがありました。

それがK.ITOの半袖スウェット調サーマルTです。

このたび色も増えて再登場となりまして、在庫のあるうちにご紹介をと思いキーボードを叩いています。





ボディの生地はスウェットではなく(もう近年の気候では夏に半袖スウェットなんて着られませんよね)、しなやかな糸を使用し密度を詰めて編み立てたハニカムサーマル。

通気性にすぐれ肌離れがよいため、しっかりとした肉感を備えながら真夏にも対応してくれます。

この生地の品質の高さだけでもじゅうぶん売りになりますが、しかしそこはK.ITO。
独自の構造の話をしないわけにはいきません。

通常Tシャツは、襟ぐりなどのリブを除けば、前身頃+後身頃+両袖の計4枚のパーツで構成されています。

しかしこのTシャツのパーツは、なんと1枚。

大雑把に表現すると、一枚の縦長の生地の真ん中に穴(襟部分)を開け、二つ折りに畳み両側を縫い合わせてつくられています。

となると問題は袖ですが、それも脇に当たる箇所に切り込みを入れて縫い合わせることで、立体的に仕上げてしまいました。

ラグランスリーブのようでラグランスリーブではない、「ハ」の字スリーブの誕生です。

カットソーは、縫合部分が伸縮しないため、接ぎ合わせる箇所が多いほどのびやかさが落ちます。

つまり、逆に申し上げれば、接ぎ合わせを極限まで減らすことで、ハニカムサーマルの高い伸縮性を最大限に引き出すことができるわけです。

これぞK.ITO。
ベテランの妙技が、プレーンなTシャツですら別の次元に引き上げてしまいました。

オンラインストアはこちらです→
ホワイト/ ネイビー/ チャコール/ ブラック


タイニイ・バブルス ~ beta post/ bubble wrap & sakiori pocket T-shirt

週間予報を見ると、もう梅雨入りしたと見做してもよいのではというくらい、横浜はしばらく晴れないようです。

梅雨を過ぎれば、今年もまた灼熱の長い夏がやってきます。

湿気、低気圧、そして近づく猛暑と、どうしたってクサクサした気分になるのは致し方ありません。

そんなときは服の力を借りて、生活を彩っていきましょう。

writtenafterwardsと並ぶ当店の問題作担当ブランドであるbeta postは、シンプルな形状のTシャツでさえ何か仕掛けずにはいられないようです。



超長綿を用いた上等な天竺生地のボディは正統派そのもの。
酷暑の日でも体にまとわりつきにくいルーズフィットで、とても着やすく実用的なTシャツです。

そのうえで、ポケットをご覧ください。

緩衝材のエアパッキン、いわゆる「プチプチ」…?
しかし触ってみるとエアは入っておらず、仄かな凹凸はあれど想像するより平坦な質感で、それはそれで混乱してしまいますね。

これは過去にはジャケットの裏地やトートバッグの一部などにも使われた、beta post オリジナルの生地です。

耐久性の低い素材であるエアパッキンを模して耐久性の高い生地で再現することにより、「消耗品」についての思索を促します。

さらにもう一種類、上記のTシャツと同型でポケットのみ異素材のものもご用意。


この素材が何なのか見ただけで判別できる人は、まずいらっしゃらないでしょう。

これは奄美大島の職人さんとの共同開発による、大島紬の技術を応用した生地です。

通常の大島紬と同じく絹をベースにしてはいますが、一部、細く裁断したレジ袋も糸として使っています。
不規則的に散らばるグリーンの箇所が、その名残です。

限られた人のための高級な伝統工芸品(大島紬)の可能性を拡張し、且つ通常であればゴミとして捨てられてしまうもの(レジ袋)に新たな価値を付与し延命させる…
まさにbeta postそのものを体現したような試みと言えます。

たかがTシャツ、されどTシャツ。

手に取るきっかけは「面白い」であってもいいと思います。
そこからファッションや思索を促す媒介として活用し、日々の生活に潤いが加わるならば、それは素敵なことです。

服の価値が機能性や素材の希少性、ネームバリュー、二次流通の相場といった相対的な側面から語られがちな昨今、beta postの試みは局所的ながら輝きを増しています。

オンラインストアはこちらです→
bubble wrap pocket T-shirt ホワイト/ ブラック
sakiori pocket T-shirt ホワイト