仲町台に帰ってきました

賑やかな週末の余韻を引きずりながら、仲町台にてノートPCのキーボードを叩いています。

先週の金曜は、午前の新幹線で出張ユーフォニカ開催の地へ。

片道5車線の広い車道を目の当たりにして、「ああ、名古屋だ」と実感します。

まずは腹ごしらえを、ゲンを担いでカツ、そうだ味噌カツだと思い、食事処を探すものの、見つかるのはなぜかラーメン屋さんばかり。
ようやくありつけるまで、雨の中1時間もさまようことになりました。

父が愛知県出身ゆえ、味噌カツ自体は初めてではありません。

ついてきた味噌だれをカツにかけ、いざ、というそのとき、

おそらく同じものを注文したと思しき別のお客さんが、店の方に「たれはかけるんじゃなくてつけるのよ」と言われているじゃありませんか。

内心動揺しながらも、努めて平静を装い美味しくいただきました。

食後、栄のホテルに荷物を預け、覚王山に向かいます。

繁華街とはがらりと様相が変わり、おちついた風情の街です。

覚王山アパートは、駅から徒歩で数分のところにありました。

思っていた以上の素敵な雰囲気に、期待が高まります。

さっそく会場を設営。

まるであつらえたかのように、用意した商品がすっと収まっていきます。

あまりにぴったり嵌るので、我ながら驚きました。

今回お借りしたギャラリーsoboさんは玄関から入って右手に位置していますが、このアパートでは、さまざまなクリエイターが活動しています。

玄関を入ったところは常設ではなく非常設で、短期の展示が行われているようです。
今回は刺し子雑貨きはるさんのブースとなっており、ご本人も日曜日には在廊されていました。

玄関から見て左手には2店舗が常設。

かぎ針編みでさまざまなニットアクセサリーをつくるPinchosさん、

その隣りには、尖鋭的かつポップな作風のアーティストグループ裸るヴァさんのショップがあります。

1階の共同トイレは、厠画廊という名のミニギャラリーにもなっています。
今回は、2階で活動されている針金細工八百魚さんの作品が飾られていました。

そして当店がお借りしているsoboさんのお隣が、古本カフェ甘露(アムリタ)さん。

カレーも人気なのですが、とにかくチャイが美味しい。
イベント中は、アイスチャイで喉を潤しました。
常連さん曰く、とくにラム酒入りチャイが絶品らしいですよ。

アムリタさん脇の階段を上ると

また独特の世界が。

厠画廊でも展示を行っていた八百魚さんのアトリエショップは、この右手にあります。

2階にはもう2店舗、きのこうぼうHAROREさん(今回はご不在につきお会いできまんでした)と、

かわいい「へめへめちゃん」がたくさん、いつまでも手芸部 豆*豆さんのショップが並んでいます。

その奥には、アパートのメンバーがそれぞれ試験管を使った作品をつくり、展示したコーナー「試験管exhibition」が設けられています。

そんな豊かな面々に混じってのイベントです、ゆっくり休息をとって本番に備えることにしました。

而して、備えすぎてずいぶん早く目が覚めてしまったのもあり、本番初日の朝は覚王山散策に繰り出すことにします。

覚王山を代表する名刹日泰寺では、この週末は日・タイ文化フェスが開催。

ムエタイや、タイ舞踊など、タイの魅力を紹介するステージや、日本の伝統芸能、音楽隊、ダンスパフォーマンスなど、多くのパフォーマンスが披露され、また日本・タイ両方の食を愉しめる屋台も多く出ていました。

この時間はまだ開催前だったのですが、すでに人も増え始めており、あとから聞いた話によると、お昼ごろはそれはもうたいへんな混みっぷりだったとか。

タイとの縁深い寺院ゆえ、ぱっと見はそれほど変わったところがないように見えて、

よく見るとあちこちにエキゾティックな要素が散りばめられています。

その後、松坂屋創業者であり、名古屋を代表する実業家15代目伊藤次郎左衛門祐民(なお、「伊藤次郎左衛門」は代々襲名される名跡です)の別荘跡「揚輝荘」へ。

いまでは考えられないような、技巧を凝らした構造、内装に、ただ驚かされるばかりです。

地下には、謎のトンネルが。

現在はマンションが建てられたりといった理由ですぐ先から埋まってしまっているようですが、かつては長く長く伸び、広大な敷地内にあった別の複数の建物と繋がっていたとか。

素晴らしい建築を満喫したところで、そろそろ小腹も空いてきました。

まだ朝食も済ませていません。

愛知県の朝食文化といえば「モーニング」。

愛知県民の従兄が言っていました。
「晴れた日は晴れだからモーニング、雨の日は雨だからモーニング、出かけるときは出かけるからモーニング、出かけない日は出かけないからモーニング」。

郷に入っては郷に従えと云いますから、覚王山アパート近くのコーヒーショップでさっそく真似してみることにします。

見た目の通りとっても美味しいのですが、最後までこのドーナツをどう食べればいいのかわからず、ドギマギしながらも「ナニカ?」とすまし顔で試行錯誤しながらいただきました。

さあイベント開始です。

観光地でもある覚王山アパートは、ひっきりなしにお客様が来訪し、忙しく時は過ぎていきます。

そうしてあっという間に初日終了。

仲町台の店舗に来ていただいたことがあり、今回も三重から駆けつけてくれたお客様と、栄の夜を愉しみました。

翌日。
起き抜けに開いたTwitterのトレンドに「名古屋・栄」の文字が。

どうも、未明に殺人未遂事件が起きたようですが、現場が宿泊しているホテルと目と鼻の先くらいの距離でして、朝から驚きました。

やっぱり昂奮していたんでしょうね、この日も早く目が覚めてしまい、せっかくなので大須観音へお参りすることにします。

大須といえば、20~25年ほど前は昭和歌謡シーンの重要なエリアとして名を馳せていました。

『アングラポップ・イン・大須』なんてオムニバスアルバムも出ていて、当時友人が第二集に参加しています。
なお、このアルバムは過去のインタビューにもちょっとだけ登場していますので、未読の方はお目を通していただければ幸いです。

大須は栄のお隣なのに、まただいぶ雰囲気が違いますね。
まだ朝でしたから比較的閑散としていますが、きっとお昼には大いににぎわっているのでしょう。

ふと見かけたおもちゃ屋さんの看板が、もはや文化遺産レベルです。

てくてく歩いていくと、ドン・キホーテと一体化したようなお寺が。

謎のアミューズメントパークのようですが、織田家や德川家に縁の深い、たいへん由緒ある古刹だそうです。

今川家から織田家に売られた竹千代(のちの家康)が3年をこのお寺で過ごし、また信秀の葬儀で信長が灰を撒いたという有名なエピソードの場面もここだとか。

歴史と現代のクロスオーバーに目がクラクラしてきたところで、この日もモーニングをキメることにします。

前の晩に教えてもらった有名なお店はスケジュール的に来訪が難しく、ひとまず目についた「名古屋らしい」印象の喫茶店で、「名古屋らしい」イメージのエビフライサンドをいただきました。

これがまた美味しい。
あとでアパートの人たちに聞いたところによると、名古屋ではかなり有名なお店の看板メニューらしいですね。

エネルギーを充填し、2日目のイベントに臨みます。

この日は初日を大幅に上回る盛況っぷりで、かつて仲町台に住んでいた常連さんと5年ぶりのうれしい再会があったり、とても愉しく時間が流れていきました。

気がつくと、閉店時間。

同じ景色でも、祭りの前より祭りのあとは寂しいものです。

心地好い疲れをビールとともに胃袋に流し込み、名古屋の街に別れを告げました。

先日イベントの告知のときにも触れました通り、覚王山アパートは、建物の老朽化のため来年3月をもって幕を閉じます。
開催決定時はまだそのニュースが入る前でしたが、結果的には、残り時間の限られたとても貴重なタイミングでのイベントでした。
ご縁に感謝致します。

あらためまして、覚王山アパートの皆さん、そしてご来場いただいたお客様方、素敵な時間を有難うございました!


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