商品名がユニークなことでも知られるEEL Productsですが、近年はその仕掛けがだいぶ凝ってきていまして、ときには巧妙な婉曲表現を解き明かさないとその真意に辿り着けません。
「9月(NOVEM)から着て欲しいジャケット」
資料に書かれていたこの説明文もまた、古代ローマの暦法とラテン語にまつわるちょっとした知識が試されます。
言うまでもなく英語で9月はSeptember、Novemberは11月ですが、ややこしいことにNovemはラテン語では”9″を意味します。
古代ローマ時代初期のロムルス暦では、1年は軍神マルスに由来するMartiusから始まる10ヶ月 (304日=8日/週×38週) からなり、残りの60日は冬眠の期間としてカウントしないという、実に変則的な仕組みでした。
不具合の多い暦法だったためのちにヌマ暦に改正され、1年は12ヶ月区切りに。
その後現代の暦のベースとなったユリウス暦に移るわけですが、そこに至るまでの度重なる改定を経て、このMartiusがいまの英語のMarch、すなわち現代の3月にあたる位置となりました。
すなわち、NovemはMartiusから数えて9番目、つまりロムルス暦に於ける9月です。
暦法が変わっても月の名前が変わらなかったため、このようなこじれた事態になるわけですね(ちなみに、Octoberも同じ理由で10月なのに”8″だったりします)。
というわけで、ロムルス暦の9月にあたる現代の11月、つまりNovemberがこのジャケットの活躍しはじめる時期です。
ジャケットのようなショートコートのような、不思議なハイブリッド感が魅力的なこの上着は、軽く暖かいブランケット調のウールの生地で仕立てられています。
前立てのすべてのボタンを留めることでスタンドカラージャケットのようにも活用できます。
急に寒くなったときや、冷たい風が吹くときなどは助かりますね。
肌に触れやすい襟周りや袖口には、着心地をまろやかにすべく柔らかいコーデュロイが配されました。
デザイン上のポイントだけに終わらない、効果的な素材使いです。
男性用として仕入れはしましたが、柄と配色もあってか、店頭では想像以上に女性からの人気も高いジャケットです。
実際、ちょっとゆったりした感じでばさっと羽織ると、とても可愛らしい雰囲気になります。
天気予報によれば、来週からはますます秋が深まるとのこと。
このジャケットが、季節を愉しむ一助となれば幸いです。
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