足もとにからみつく 赤い波をけって ~ ヒラキヒミ。/ P-38

当店でもお馴染みのRHYTHMOSカタルタをはじめ、桜島の噴煙の如く次から次へと魅力的な創作者が現れている鹿児島。

そんな薩摩の地から、またもや新しい才能が輝き始めています。

皆様、幼少時などにテレビアニメを観ていて登場人物の装いに憧憬を抱いたことはおありでしょうか。

鹿児島市に隣接する姶良市の加治木という町にて尾之上正成氏が発信する”ヒラキヒミ。(イヌイットの言葉で「自然の声に耳を傾けよ」を意味します)”は、『天空の城ラピュタ』のパズーなどのアニメーションキャラクターやチャップリンといった映画俳優、ピアソラの音楽など、ファッションというより他のカルチャーからデザインを着想している、ちょっと変わったアプローチの靴ブランドです。

今回当店にてご紹介の”P-38″は、誰もが知る怪盗の足元を支えるブーツ。

捨て寸を多めにとったぽってりとした爪先は最初から大きく反り返り、とぼけた表情を見せています。

ちなみにこの木型は”LUPIN”という名前だそうで。

丈の短いスリムパンツなんかと合わせれば…

まさにあの彼ですね。

もちろん見た目だけでなく、その品質も確かなもの。

靴では少し珍しいタンニン鞣しの剛健な革を用いたアッパーは、最初は硬いのですが履き込めば馴染んでいき、やがて得も言われぬ存在感を放ちます。

約一ヶ月ほど使用している店主の私物も、少しずついい顔になってきました。

厚い革底はマッケイ製法にて中底に直接縫い付けられています。

コバの張り出しを抑えたこの製法により、つま先のボリューム感がより綺麗に見え、また比較的重量を抑えることにも成功しています。

ヒールのトップリフトには粘りがよく耐久性に富み、どこか古めかしい雰囲気をもったフランスTOPY社のラバーが採用されました。

純粋にプロダクトとしてのみ見ても、よく考えられたいい靴なのがお判りいただけると思います。

余談ですが、製作者の尾之上さんは、介護福祉士や社会福祉士等の国家資格を持つ福祉のプロでもあります。

障害を持った方々と一緒に働ける作業場を作る、という思いが現在の彼の工房として結実しました。

当店としては倫理的観点は尊重しながらもあくまでモノの完成度ありきで取り扱いをジャッジしていますが、先日ご紹介したKNITOLOGY然り、福祉の視点を持った創り手が続々と今までなかった面白い動きを見せている流れは、このところ強く感じています。

このヒラキヒミ。も、この膠着した時代に風穴を開けるポテンシャルを秘めた逸材です。

その実力、是非店頭にてお確かめください。

オンラインストアはこちらです→ P-38


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