ノーベル文学賞を日系英国人作家カズオ・イシグロ氏が受賞しました。
とは言うものの、実は未読です。
『日の名残り』をはじめとして、以前より友人知人から面白いから読むように言われながらも何となくそのままでいたのですが、さすがにこのタイミングで手に取るのはなかなか恥ずかしいので、ほとぼりが冷めた頃合いを見計らうことにしましょう。
さて、村上春樹氏が落選し(これも毎度の風物詩と化している気がしますが)、ニュースのネタとしての旨味が薄れそうだったところ受賞者が日系人ということでワイドショーなどで「日本人が快挙!」的な報道が流れ、それに伴い俄にイギリスがホットワードとなった本日、まったく無関係にイギリスの新ブランドをご紹介させていただきます。
PEOPLE OF GENUINE SOUL、「真の魂をもった人々」という何とも仰々しい名を冠したこのニットブランドは、まだ本国でも公式インスタグラムはおろかウェブサイトすらできていない、まさに生まれたばかりの新星です。
オーダー時は”PINK DOG”だったブランド名が入荷時に変わっていたくらいに、ブランドとしてまだ手探りな状態なのが微笑ましいところですが、これがどうして、まったく侮れません。
2014年にロンドンに設立されたALBION KNITTING社は歴史は浅いながらも、カシミアなど高級繊維を扱う国際繊維企業グループALPHA TOPSに所属し、ジバンシィなど名立たるラグジュアリーブランドの生産を請け負っている実力派です。
PEOPLE OF GENUINE SOULは、このALBION社によって手掛けられています。
ヒップであるが下品ではない、美しい仕立てでありながら窮屈ではない、そんなニットづくりを標榜していますが、シンプルなものから凝りに凝ったものまで網羅しており、ひとことでこういうテイストのブランドですと片付けられないほど。
その幅広いラインナップの中から、今回はEuphonica感に満ちた二型を選んでみました。
一見ごく普通のプルオーバーの面構えのADAMは、背面肩と袖にトーンの異なる同系色のラインを通し、上品な明るさを生み出しています。
ARTHURにも同様の位置にラインが入っていますが、その幅や細かな仕様は異なります。
ご覧の通りの素晴らしい発色のみならず、その生産背景を考えれば当然のことながら肌触り、着心地もすこぶる良好です。
店主の肌感覚としてはジョン・スメドレーが一番近いかと思われます。
どちらも首の開きがやや詰まっているのが特徴で、中にTシャツなどを合わせても勿論素敵なのですが、とりわけ襟付きのシャツとは抜群の相性を誇り、ぐっと知的な印象が高まります。
シルエットは細すぎず大きすぎずと時代性は強くなく、それでいて現代的な形状にまとまっているところに、優れたバランス感覚が覗きます。
ネームバリューや話題性でなく、純粋に服そのものの佳さを選ばれる方には是非一度お試しいただきたい、そんなニットです。
オンラインストアはこちらです→
ADAM(クルーネック) エメラルド×フォレストグリーン/ コバルト×ロイヤルブルー
ARTHUR(Vネック) エメラルド×フォレストグリーン / コバルト×ロイヤルブルー