深草の野辺の桜し心あらば 今年ばかりは墨染に咲け
古今和歌集に収められているこの歌は、平安時代の歌人である上野岑雄(かむつけのみねを)が友人であった関白・藤原基経の死を悼み詠んだと云われています。
伝説では、歌に呼応して深草山(現在の京都市伏見区)の桜が喪に服すように薄墨色の花を咲かせたとか。
勝手な想像ですが、今回ご紹介する二品、とくに後者は、この物語に触発されて生まれたのではないでしょうか。
EEL Productsの名品サクラコートをベースに、いつもの馬布をどっしりした肉厚なヘリンボーン生地に置き換え、仕立てたのち製品ごと泥染めを施した”dorosome”、
そして、同素材で仕立て、やはり同じく製品を墨で染めあげた”sumisome”。
ともに枯れたような味わいで、もののあはれが具現化されたようです。
生地は染めの加工によってぐっと目が詰まり、着倒した古着のような侘びしさも漂わせています。
目に眩しい明るさだけが春ではありません。
かの清少納言も夜が明けて白んだ空を横切る紫色の雲のさまを賛美したように、静かで、けれど仄暖かな趣もまた佳し、それを教えてくれるコートです。
オンラインストアはこちらです→ dorosome/ sumisome
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