赤い光弾 ~ writtenafterwards/ Double Face Coat

店主、人生のうちでこれほどまでに赤いものを見たことがありません。

モニター越しに伝わるかどうかわかりませんが、リトゥンアフターワーズから届いたこのコートの鮮烈な色彩は、まったくもって常軌を逸しています。

昨年ご紹介したマンダリンジャケットで用いられていたコットンリネンの生地を染めたところ、ここまで赤く仕上がったとのこと。

とくに晴れた日に屋外で見ると、眩しすぎて目に刺さるようです。

ボタンは透明なプラスティックを採用、もちろんこちらも赤く、生地と調和します。
着ているとまるで自分が人形にでもなったかのような気分になるその大きさも見逃せません。

仕立ては意外と(失礼)本格派、裏地には滑りのよいキュプラが使われています。

そして、店頭で冗談半分でお試しになるお客様の多くが、着用時のシルエットのあまりの美しさに驚かれます。

後ろ姿もとても綺麗。

どうしてもその赤の禍々しさばかりに気を取られそうになるものの、実は服として完成度の高い洗練された一枚となっています。

男性用のフリーサイズ(表記上はM)を入れましたが、女性がばさっと羽織っても素敵です。

白、黒、赤と続くリトゥンの魔女三部作の締めを飾るに相応しいコート、是非一度お試しを。
(オンラインストアはこちらです)

ところで、白、黒、赤といえば、昨年末リトゥンアフターワーズのデザイナーである山縣さんが絵本を上梓されました。

『ぼくは0てん』(朝日出版社刊)

まだリトゥンが現アシードクラウド玉井さんとの二人三脚だった10年ほど前、故郷の鳥取へ帰るバスの中で思いついた、半自伝的な物語となっています。

版元の説明文では

「点数」「クズ」「ゆうめい」といった
“レッテル貼り”“他人の評価”から自由になって、
自分の得意なことを見つけ出していくストーリーを、
愛らしい「てんすう」たちのキャラクターで描く。

とありますが、実際に読んでみますと、これはいわば自虐と逃避の詩です。

しかしだからこそなのか、読者にその先を想像させる余地を与え、不思議な読後感を残します。

独自のメソッドを持つ教育家としての側面もある山縣さんならではの一冊です。

余談ながら、アマゾンでひときわ熱烈なレビューを書いている方がいて、お名前を拝見すると思想家の内田樹氏でした。


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