あの日見た花の名前を 僕達はまだ知らない ~ ASEEDONCLOUD/ Clergyman long jacket

街から離れた山の上にある修道院に、ひとりの修道士が身寄りのない10人の少女たちを育てながら暮らしていました。

修道士はもともと街にいたようで、人々のためを思い、日々薬草学や錬金術、魔術の研究に勤しんでいたのですが、その情熱の行き過ぎた姿勢が街の人々にまるで魔女のようだと警戒され、追いやられるようにしてこの人里離れた場所に移り住むようになったとか。

14世紀、欧州でペストが流行したときも、「賢女」と呼ばれた薬草に通じる医師であり助産婦でもあった女性たちが薬を買えない民衆を救ったものの、聖職者たち(や、あるいは救う対象でもあったはずの農民たち)からは魔女として見なされ、火あぶりにされたと聞きます。
それと同じようなことが、この街でも起きたということです。

そんな仕打ちを受けてもなお人のために役に立ちたいと、彼は修道院でも研究に打ち込み、そして一緒に暮らす少女たちにもそれを教えるようになります。

幼かった少女たちが16~18歳になり、皆それぞれが一人前の知識を身に着けたころ、子育てに一区切りついたからでしょうか、修道士はひとり研究に没頭すべく、修道院の奥の部屋に閉じこもり、外界とのつながりを断ってしまいました。

修道士のあとを継いだ少女たちは薬草の知識を駆使して人々を病から救いはじめ、いつしか寂しかった修道院には常に多くの人々が集まるようになりました。

それでも相変わらず修道士は人前に姿を現すことはなかったようですが、月の明るい日の晩には、子供たち-もう少女ではなく皆立派な大人になっていましたが-に、薬としてこしらえた特製の密造酒をふるまい、日頃人々のために汗を流す彼女らも、そのときだけは心安らいで各々が好きなことに夢中になるのでした。

修道士がかつて着ていたジャケットは、そのままでは大きすぎるものの、袖を詰めたりリメイクを施して、彼女たちの仕事着としていまも活用されています。

それがこのClergyman long jacketです。

もとがサイズの合わないジャケットにつき、肩や身幅はゆったりとしており、着丈も長め。
ジャケットというより、コートに近い感覚です。

仕事着として使われる服ゆえ、着脱式のライナーにはペンや道具類を入れるポケットがしっかりと装備されています。

このライナーは、取り外すと単体でベストとしても使うことができます。
実に便利ですね。

おそらく最初に目に留まる部分であるにも拘らずまだ一度も触れていない刺繍の話に移ります。

この刺繍は、少女たちがいままで教え育ててくれた修道士への感謝の気持ちを込めて、それぞれが自分らしいと感じた植物を選び、あしらったものです。

10人の少女たちは3チームに分かれて仕事に従事していますので、チームごとに説明していきましょうか。

チーム・サンストーンの3人は、薬の配合の研究を担当しています。

動物や鳥と話せる繊細な少女が選んだのは、Wolfbane(トリカブト;花言葉は「美しい輝き」「人間嫌い」)。

クールそうに見えて実は心の優しい少女のDtadly night shade(ベラドンナ;花言葉は「沈黙」)。

占星術に夢中な少女はMugwort(ヨモギ;花言葉は「静寂」「平和」)。

チーム・ローズクォーツの5人は、カスタマーサービスを担当。意外ときちんと組織立っているようです。

チームのなかでは年長組に属する、少し不器用だけど明るい少女はEnchanter’s nightshade(ミズタマソウ;花言葉は「心の美しさ」)。

同じく年長組、しっかり者で器用な少女は花言葉はMilk thistle(アザミ;花言葉は「独立」「厳格」)を。

そしてこちらは年下に属する、でも行動はモダンなおませさん。彼女が選んだのはFennnel(フェンネル;花言葉は「強い意思」)です。

同じく年下組、ちょっと自信がない子みたいですね。Henbane(ヒヨス;花言葉は「不完全」)を選びました。

Detura(デチュラ;花言葉は「愛嬌」)を選んだのは、目立ちたがりの頑張り屋さん。

薬草を採集するチーム・カヤナイトは双子のふたり。

ですから、花もふたりでひとつ、Moon Flower(ヨルガオ;花言葉は夜の思い出)を選びました。

ひとつの茎から2輪の花、というのも双子らしいチョイスと言えます。

と、この服一着に溢れるほどの物語が詰め込まれています。

ただただ美しい服ですから、いま挙げた物語を知らずとももちろん構いません。

けれどどこか遠い修道院に住み、我々と同じように疫病に立ち向かう彼女たちに思いを馳せるのも、悪くないのではないでしょうか。

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