春はあけぼの。 やうやう白くなりゆく山ぎは、少し明かりて、紫だちたる雲の細くたなびきたる。
言わずと知れた『枕草子』の書き出しですが、この春コムアーチから届いたカーディガンの色調からは、この一節を思い起こさずにはいられません。
夜空が色づき始め、日が昇るに従って、深い森に覆われた(Dark Gray Forest)山の輪郭がだんだんと白くなっていきます。
そして紫色に染まった雲の筋が空を走ります(Dawn Purple)。
春の空は他の季節に較べて靄がかっているもので(Mist)、空が明るくなるにつれ、穏やかに山々や森の霞が照らされていくのが目に浮かびます。
春の暁天の美しさは、きっと清少納言の時代と変わっていないのでしょう。
蓋しcomm.arch.の名もまた由来を遡れば小野小町に繋がりますし、意識的にせよ無意識的にせよ、このブランドの礎となる美意識、感覚は、一千年以上前の人びとから脈々と引き継がれてきていると言えそうです。
あらためてカーディガンの話をしますと、フレンチリネンにコットンを混紡した糸は、上品な艶とシャリッとした質感、高い耐久性、そしてやわらかさを備えています。
その糸を用いて手横編み機職人の手で一着ずつ丁寧に編み立てられていますので、ただ爽やかなだけでなく、豊かな肉感と心地好い重さを感じられます。
遠目から見ると判りづらいところですが、背面、袖、そして前面のポケットは編地の裏面が表に出ています。
控えめにしてなかなか攻めた生地使いで、ただ「いいニット」に収まらぬポップな感覚が窺えますね。
いつも春の定番として当店を彩るシリーズながら、その着心地やシルエットの佳さ、そして美しい色遣いには毎年感動させられます。
このところ寒い日が続いていましたが、今週の後半からはいよいよ春めいた暖かさが加速してくると予報が出ています。
気分としても体感としても、春のニットを手に入れるにはいい時期になってきましたよ。
オンラインストアはこちらです→ ダークグレーフォレスト/ ドーンパープル/ ミスト