新規取引ブランドのデザイナーさんご夫婦が来日し、会いに行って色々と直接お話を伺ったことをこのブログで報告したのは昨年10月、もう半年近く前の話です。
そのブランドがHANSEN(ハンセン)、北欧デンマークはコペンハーゲンを拠点に20世紀初頭のワークウェアを再構築した服作りを行っています。
今季はそんな彼らのコレクションから手始めに一着だけ、しかしながら抜群の完成度のジャケットを仕入れさせていただきました。
それがこのEven Jacketです。
アウグスト・ザンダーの写真作品を彷彿させる、ユーロワークの原型のような不思議な魅力に満ちた服となっています。
胸の高さで胴と腕が切替されているデザインが特徴的で、デザイナーのオーセさんに直接伺ったところによると往時の煉瓦職人が着ていたジャケットからインスパイアされたとのこと。
とても旧いものですのではっきりした理由は不明のようですが、汚れを敢えて目立たせて洗濯を促すようにしたのか、傷んだら交換できるようにしたのか…
そんな想像に耽るのもまた愉しいものです。
デザイン的な特徴としてはその他、ラペルを立てたような独特な形状のスタンドカラーが目を引くだけでなく
ポケット使いも実にユニーク。
両サイドのハンドポケットは一般的な位置に配置されていますが、胸ポケットは内側に、そして腰の裏にも謎のポケットが設けられています。
これもおそらくはベースとなったヴィンテージのディテールなのでしょう。
とはいえ一体何のためなのかと再び妄想を掻き立てられますね。
勿論この服の魅力はディテールのみに依存するようなものではありません。
触れればそのクオリティの高さが伝わるしっとりとしたイタリア製の生地で裏の始末に至るまで綺麗に仕立てられ、リアルホーンボタンはすべて本革の力ボタンによって補強されて縫い付けられました。
この服もただヴィンテージの再解釈だけでなく、未来のヴィンテージたりえる服として入念に作りこまれた逸品ということです。
是非何年も何年も着込んで使い倒していただき、服の持つ旨味をじゅうぶん引き出したうえで次代に残していただきたいと思います。
オンラインストアはこちらです→ Even Jacket