店主、革モノ業界出身でして、
現在の情勢の中、適正価格で上質な革製品を作る難しさを
味わってきました。
どうしても品質や作りにこだわると
洋服以上に価格にダイレクトに反映されてしまいがちな上、
素材や製品を輸入すれば高い関税がかかります。
そこに(このところ落ち着いているものの)原油高や環境問題、
中国の台頭など諸事情による需要と供給のバランス崩壊、
さらにここに来ての円安など、
もう踏んだり蹴ったりです。
それでも、品質、デザイン、価格のバランスのとれたものは
まだ少ないながらも存在しています。
当店ではそうした品々をご案内できれば、と思っています。
「どこの革製品が一番いい?」と聞かれれば、
いくらでも出せるならフランスのHと答えますが、
そんな回答に魅力はないですよね?
話がまとまらないので
いきなりですがこちらをご紹介。
OLD PORT MOCCASINのローファーです。
アメリカ北東部メイン州にてモカシン職人によって
一足一足作られ、なんとも独特の味わいのある面構えをしています。
オールデンやラッセルが使用していることで有名な
シカゴのホーウィン社が手掛けるクロムエクセルという革を
用いたモデルや、ローファーでは珍しいクレープソールを
装着したモデルもありますが、
当店ではあえてスコッチグレイン(型押し革)の
レザーソールをご用意しました。
イタリア製のトッポイ感じよりも、
この程度の野暮ったい雰囲気のほうが
靴は長く愛せるかな、というのが個人的な見解です。