20世紀に活躍したドイツの写真家アウグスト・ザンダーは、市井の人々のポートレートを以て当時の社会全体像を記録した人物でした。
職業ごとに撮影されたその作品群は華美な作為を廃し、当然いわゆるファッションフォトとはまったく異なる趣のものです。
しかし、そこに映る当時のリアルクローズ、工芸品的価値を持たないがゆえに大切に残されることのなかったその姿は、却って現代に於いて服好きの心を捉えて離しません。
作り手がそれを意識したかどうかは不明ですが、今季のBell Boy Jacketと少年パンツを見たとき、ふとザンダーを想起しました。
その柔らかなつくりによる権威性のない緩やかなシルエットもさることながら、ざっくりとしたヘリンボーンの生地が一層20世紀初頭の雰囲気を醸し出しています。
それぞれ見ていきますと、まずBell Boy Jacketは肩パッドを排した3つボタンジャケットです。
本切羽仕様の袖口など細部のディテールは重衣料の基本を押さえながらも、カーディガンのような軽い着心地を備えています。
総裏でキュプラの生地が張られており、滑りのよさと防風性も確保されました。
一方の少年パンツはゆったりとした腰回り、腿からすっとテーパードがかかった9分丈パンツです。
腰には1プリーツが設けられ、余裕のある着用感となっています。
セットアップは勿論のこと、どちらも単体で使いやすく、これからの時期に何かと活躍することでしょう。
こうしたムードある服で装えば、凍てつく北風の季節も少しは楽しくなろうというものです。
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