千葉の我孫子に、たまいけんたろうくんという少年がいました。
彼が幼稚園で描いた絵本は可愛らしくも驚くほど整った内容で、種のぼうやが色々な動物たちに助けられながら旅をして、
紆余曲折を経てトンビのおかげで辿り着いた雲の上から見た美しい場所に降り立つとそこにはたくさんの花が咲き乱れ、種自身も今までの冒険で得た経験を糧に綺麗な花を咲かせる…というお話です。
卒園より幾年、成長した玉井健太郎青年は英国セントマーティンズ美術学校卒業後、現地にてマーガレット・ハウエルのアシスタントを務め、帰国してからはご友人とリトゥンアフターワーズを設立、数年後自らの創作に専念すべく独立します。
ブランド名はASEEDONCLOUD(アシードンクラウド)。
もうお気づきかと思われますが、”A SEED ON CLOUD=くもにのったたね”、です。
ちなみに、正式な表記は”ASEEDONCLÖUD”で、CLOUDの上にウムラウトの種が載っています。
さて、そんな由来もあるように、彼の服作りは文学性に富んでおり、我々の心を捉えて離しません。
当店では初めての取り扱いとなるこの秋冬のテーマは”Ijujin”。
交通インフラの発達や生活様式の変化により、今後の人類の多くは定住型から移住型へと変化していくのではないか、しかし一方で各地の少数民族であったり、過去と変わらずその場に定住する人たちもいるはず、移住型の生活になればこそ彼ら定住人の持つ知恵から学ぶべき点は多いのではないか…
そうした思索は思索の域を超えて拡がっていきます。
狼と共に獣医をしながら移住生活をする女性。
彼女は移住人であるがゆえに固定の文化を持ちません。
故郷も、国籍もありません。
けれどもその移住生活の中で、各地の定住型民族の人たちから、その土地の記憶から様々なことを教えてもらっています。
獣医としては、お連れの狼を通して動物と会話し、またそこで動物たちから多くの学びを得ています。
彼女にとっては人類も動物も同じです。
すべてが対等で、当然そこには国境などと言った境目はありません。
そんな医獣人(Ijujin)の物語…
さて、だんだん話が膨らみ過ぎてブログとして収集がつかなくなってきましたが、これらはすべてつまるところ服の話です。
今季は少数民族の装いに着想し、医療着のエッセンスを注入しがらも洗練された都市の服としてまとめ上げたコレクションとなっています。
とはいえ本格的な秋物衣料にはまだ早いのも確かですし、今回はご挨拶代わりとして靴下をご紹介します。
国内の軍足工場にて生産されており、毎シーズン配色を変えながらも作り続けられているブランドの定番品です。
その繊細なトーンはASEEDONCLOUDならでは。
基本的に3~4色の組み合わせとなりますが、実際は7~9種類の糸を配合し、色調に深みが加えられています。
色名は便宜上最上段の色を指し、
と、どれも甲乙つけ難い美しさ。
優しく甘い配色ですので女性向けと思いきや、男女サイズともにご用意しています。
なお、付属品である専用の紙袋も、ロゴをプリント後一度濡らして乾燥させ、風合いを増した手の込んだものです。
余談ながら、世界的種苗メーカーであるサカタのタネの本社屋は、仲町台にございます。
そしてこの辺りは日本屈指のドイツ人が多い地域としても知られています(東京横浜独逸学園も仲町台)が、実は玉井さんも高校時代ドイツで生活していました。
だから何というわけではないものの、不思議なご縁を感じざるを得ません。
それはさて置いても当店のお客さまであれば間違いなく気に入っていただけるであろうASEEDONCLOUDの作品群、これから続く品々も是非ご期待ください。
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