すべてはOlde Homesteaderの萌芽から始まりました。
やがてそれはOLDE THINGSという幹へと育ち、Olde H&Daughterへ枝分かれしていくことに。
この一本の力強い大樹から、また野太い何かが生まれたようです。
それが、THE CIRCA BRAND(ザ サーカ ブランド)。
今まで常に前提として肌着を基軸としていたOLDE THINGSのラインナップのなかで初となる、非肌着ブランドです。
とはいえ、手掛けるのは変わらず”下着の魔人”の異名を持つ福原夫妻、その怨念とも呼ぶべき服作りへの姿勢はしっかりと、むしろ一層色濃く反映されています。
挨拶に代えて入荷してきた2型、ともにご覧いただくことにしましょう。
まずは男性用ブラウス、S103B(THE CIRCA BRANDの服にはすべてこのような品番が授けられています)。
2020年に出たばかりの新品にして、幾年月を重ねたヴィンテージさながらの威厳を放射していますが、その迫力の一因が生地です。
経糸にウール混のコットン、緯糸にレーヨンを配し織り上げたサテンを裏面使いにしました。
それにより、表にはざらっとした質感の表情豊かなコットン/ウールの面が、
裏にはしっとりとした肌触りの艶めいたレーヨン面が当たります。
素材ごとの糸の染まり方の違いもあって生まれたこの奥行きに富んだ色調、風合いは、着用と洗濯を繰り返すことでさらに変化し、表面、裏面それぞれ固有の特色が際立っていきます。
当然魅力は生地のみに非ず、デザインもユニークです。
肩幅、身幅をたっぷりととり、裾を直線的に切ることで、胴部分はスクエアな構造となっています。
そして脇にガセットを当てがって(ここがOlde Homesteaderっぽいですね)
袖口のボタンを外したときの拡がりには驚かされます。
このボリュームを袖口で絞ることで、先のまろやかな曲線が生まれるわけです。
先にも少し触れましたが、タグに記載されている通り、なんとこのブラウスは洗濯機で洗えます。
ほんのわずかな縮みは出ますが(目安として着丈、身幅で1~1.5cm程度)、洗いによる変化を楽しめるのは大きな悦びです。
ご購入時には裾にもフラッシャーが縫い留められていますが、こちらは着用前に外してください。
まったく、どこまでも加減を知らぬ服です。
無論、パンツも然り。
往時のアメリカ製トラウザーズを基に再構築したS201Aもまた、THE CIRCA BRANDの名を冠すに値すべき存在であることを声高に主張します。
こちらは経糸にコットン、緯糸にリネンを用いて織りあげたツイルを用いて、ブラウスと同じく裏面使いで仕立てられました。
リネンの特徴である強度、光沢が表面で活きるだけでなく、肌触りのやわらかなコットンが裏面でいい仕事をしてくれます。
両サイドの縫い目は深くつままれていて、ポケットから裾に至るまで、側章のよう。
ベルトループがない代わりに、エロティックな貝のサスペンダーボタンが用意され、
現在はほぼ絶滅した、二本針のシンチバックルです。
久しぶりに見ましたよ。
針を生地に貫通させると危険ですので、針先を生地に引っ掛ける程度にしてください。
それでもじゅうぶんにストッパーとしての役割を果たします。
なお、このパンツも洗濯可能ですが、最初の水通しでかなり激しく縮みます。
ウェストに約2cm、ワタリ幅、裾幅に約1cm、そして股下に約7cmの縮みが発生しています。
これは家庭用洗濯機で一度洗ったものの計測結果ですから、そこから1~2回はさらに縮みが出る可能性があることはご了承ください。
しかし、それだけ縮んだだけあって、がらりと風貌が変わりますね。
これから着こみ洗いこむことで、どのような成長を遂げるのか、楽しみでなりません。
なかなかな長編となってしまいましたが、2型とも語りどころが多すぎるゆえ。
THE CIRCA BRANDの底知れぬ恐ろしさ、少しでも伝わりましたら幸いです。
オンラインストアはこちらです→ S103B/ S201A