作家性の強い当店の取扱いブランドのなかでも、一際異質な存在感を放つOLDE THINGS。
Olde Homesteader、OLDE THINGS、Olde H&Daughter、そしてTHE CIRCA BRANDと、どの展開ブランドにもディレクターである福原夫妻のドロドロとしたマグマのような熱すぎる思いが詰まり、否、収まりきらずに漏れ出しています。
今回ご紹介するTHE CIRCA BRANDのS103Gは、このブランド発足時に登場したS103Bの素材載せ替えヴァージョンですが、見慣れたはずの型でも見返せばやはりその濃度にむせ返りそうになります。
とはいえ、このシャツ(ブラウスと呼んでも差し支えないような気もします)自体はそこまで濃口ではありません。
少なくとも表面的には比較的あっさりした、合わせやすい服です。
しかし着てみるとその圧倒的な迫力に驚かされてしまいます。
その秘密はこの袖。
史実上はさておき、近代以前のアンティークを彷彿させるふわっと膨らんだこの曲線が、
袖口のカフスできゅっと絞られ、先述のボリュームを一層引き立たせています。
素材には一家言あるブランドですから、当然生地もありふれたものは使いません。
経糸にダークサンドカラーのシルク、緯糸にライトピンクの綿を用いて織りあげることで枯葉の色を表現した、薄手のブロードです。
着用と洗濯を繰り返すことで、シルクが硬化する一方、綿がふっくらと、かすかに起毛し、柔らかな色合いに変化していきます。
この起毛が表裏全体を薄く包み込み、最初は生地の中でコントラストを生み出していたふたつの素材の質感がまろやかに溶け合い、あらたな表情を生み出すというわけです。
汎用性は意外と高く、シャツとしてはもちろん、暖かい時期にはちょっとした羽織もののように(冷房除けとしても)も使えます。
そろそろ次の季節を見据えていきたい、でもまだ本格的な秋冬物は早いな…という方にはぴったりではないでしょうか。
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ディレクターの福原夫妻へのインタビュー記事もご覧ください→
https://euphonica.yokohama/blog/archives/20744