人を困惑させるトリッキーな配色でお馴染みのZDA。
その軽妙な佇まいにはファンも多く、当店では完全に独特のポジションを確立していますが、このたび思いきって完全モノトーンをご提案してみることにしました。
ソフトレザーのアッパーに、禁欲的なオールホワイトとオールブラック。
いままでと同じ型なのにまるで違う靴のようです。
色に目が行かないぶん、構造そのものが引き立ちます。
見慣れた型ですが、改めてまじまじと見つめてみましょう。
このアッパーのパーツの組み合わせは、ただ見た目だけの意匠ではなく、靴紐を通して絞めることで複数ポジションから立体的に足を包む設計に基づいています。
単色のデザインにあわせ、ミッドソールはいつもの硬さの異なるフォームを積層したものではなく、厚い一枚を削り出したものを採用しています。
そのため、いつもより沈みの少ない、しっかりとした履き心地となりました。
ポコポコと跳ねる不思議な歩行感覚を愉しませてくれるアウトソール(通称マラソンソール)も、アッパーと色を合わせた特別仕様です。
アッパーの”Marathon”ロゴが覗く窓も排除するほど、ごくごくシンプルに、ミニマムにまとめながら、どうしても最後の最後で我慢しきれなかったのか、通常このモデルにはいないはずのマラソンマン(当店による勝手な命名)が突如として現れ、きりりとした緊張感を乱してきました。
このクールに徹しきれないところが、ZDAのZDAたるところです。
実に愛らしい。