まず何より撮影のたいへんな服でした。
毎度当たり前のように人体の構造をとらえた服を作ってきたTHE CIRCA BRANDですが、ここにきてさらにクオリティを上げ、ますます立体的に仕上げてきたものですから、ハンガーにかけても生地がすとんと下に落ちてくれません。
ふらふらとあちこちに、布が動いてしまいます。
何度も挑戦を重ね、ようやく撮れたのがこちらです。
デザインのベースとなったのは、ブージュロン(Bourgeron)。
19世紀後半から20世紀前半ごろにかけてフランス軍で用いられていた労働作業用の服です。
さまざまな形が存在していましたが、ブラウスだと概ね
ブージュロンならではと言える独特のディテールを備えています。
言うまでもなくヴィンテージの忠実な再現にはこれっぽっちも興味のないTHE CIRCA BRANDですから、このいまは使われていないブラウスの魅力の本質とは何かをとことん追求し、あくまで現代の服として、サイズバランスや細部のデザイン、仕立て、生地のグレードなどにアレンジを加え、より高次元のステージに引き上げています。
生地はしっとりとした艶めかしい光沢が気持ちをざわつかせるツイル。
ミッドナイトと名付けられた赤みのある色が、夜明け直前の空を想起させます。
経糸にシルク、緯糸にウールを用いて織りあげられており、ブランド側の開発意図として、着用による緩み、洗濯による縮み、これを繰り返していくことで、表情がより深く変化していくとのことです。
THE CIRCA BRANDではもうおなじみの値札は、着用前に外すのをお忘れなく。
ブラウスと呼んではいるものの、実際はほぼジャケットに近い服です。
今の時期であればニットやカットソーの上に羽織るような使い方がちょうどいいでしょう。
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ディレクターの福原夫妻へのインタビュー記事もご覧ください→
https://euphonica.yokohama/blog/archives/20744