陽はまた昇る この東京砂漠 ~ Ithe/ No.52-NDM

依然として暖かな陽気は戻らぬものの、日ごと夕暮れ時が遅くなってきて、冬の終わりが迫るのを何となく感じられてきました。
この長く陰鬱な疫禍も、冬とともに過ぎ去ってくれればいいのですが…

さて、そろそろ春の外套が現実味を増してくるころです。

意外と朝晩は涼しく、でも昼はそれなりに温暖な季節。
そこに対応しながらも中に着るもの次第ではそろそろ出動可能なコートがあれば、ひと足早く新たな装いを愉しめるというものですね、


このモッズパーカなら、そんな期待にお応えできます。

一般的にモッズパーカと呼ばれる服は米軍のM51やM65を指しますが、こちらがサンプリング元にしたのは、ナイトデザートカモフラージュパーカ。

同じく米軍にて、1980年代に使用されていました。

変わった柄ですよね、これは夜間の砂漠でいろいろな暗視装置監視に視認されづらくなるのを目的としている、つまりは迷彩の一種です。

基本的に柄物はほぼ出さないIthe、先に挙げた画像の通り今回も黒無地に載せ替えられていることから、この柄ではなく形状に着目しているのが見て取れます。

用いられているのは国産のベンタイル(VENTILE)。

これももとは軍用(こちらは英国軍)に開発された生地です。
綿の生地ではあるものの、極限まで高密度に織ることで高い撥水性、防風性、耐久性を実現しています。
またその密度ゆえ上品な光沢が生まれているのも見逃せません。

一方で原料が綿ですから、通気性や透湿性もある程度は備えています。

さすがに現在アウトドアウェアなどに用いられる高機能素材には単純性能では劣るものの、実用性のみならず風格も備えた生地として、その評価はいささかも衰えることなく現在に至ります。

このベンタイルの特性にくわえ、オリジナルにはなかったキュプラの裏地を設けることで、着心地と防風性が高められました。

形状に目を遣ると、エポレット(肩章)が省かれています。

これはアレンジではなくサンプリング元と同様の仕様で、ファッション的な観点でみると、エポレットつきに較べ肩の円みが出て骨太ないかつさを抑え込んでくれます。

この部分に限らず、基本的にはオリジナルの仕様を尊重したつくりです。

ポケットもそのまま。

製造された時代もあってか、いわゆる定番的なモッズパーカよりも簡素な構造で、それがゆえに洗練された印象を受けます。
同じくクリーンな質感をもつベンタイルとの相性は抜群ですね。

サンプリングに一捻り利かせながら、そのユニークさに溺れることなくだれもが納得できる着地点に立たせてしまう、実にItheらしい一着です。

入荷前から何件かお問い合わせもいただいていますので、気になる方はどうぞお早めに。

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