当店ではただいま在庫を切らしていますが、EEL Produstsの初期からの定番アトリエシャツからは、芸術家がアトリエで着ているさまが自然と聯想されます。
それはごくシンプルなバンドカラーシャツで、余計なデザインや意図がはいっていないぶん、制作に支障を発生させず、たしかにとても都合のよいものであろうと思わせるものです。
このアトリエシャツの派生形として2019年に登場したのが画廊シャツでした。
気難しい絵描きが画廊に立つときに着るシャツなのか、あるいは彼を理解する画廊のオーナーのためなのか、いろいろと想像を喚起する服でしたが、より明瞭な状況を想定して新たにデザインされたのが、今回ご紹介するCOTEN SHIRTSです。
アトリエシャツを着て作業する作家が、自らの個展で立つ・・・緊張するシチュエーションです。
自分のアトリエで作業に没頭しているときとは違い、人前に出て、しかもときには鑑賞者と話をすることもあります。
そうでなくとも、鑑賞者から作品を生み出した人物として、興味や関心を持った眼差しを向けられることは避けられないでしょう(ギャラリーストーカーのような極端なケースでなくとも)。
ですから多少はきちんとした印象を与えるに越したことはないものの、そこまで生真面目な身なりというところまで求められているわけではなく、その匙加減はなかなか難しいところ。
となれば、シャツの生地にはシャンブレーがちょうどいいかも知れません。
コットンをベースに、ほんの少しリネンとレーヨンを混合することで、ざっくりした素朴な質感となめらかな肌触りが加えられています。
このややくだけた生地をそのままワークシャツとして仕立てるのではなく、ドレスシャツの工場にて縫い上げました。
ややゆったりとしたシルエットで、腕周りもたっぷりととられています。
くだけた印象の生地、綺麗に整った縫製、リラックスしたサイジング、と、方向性を意図的に揃えないことで不思議な均衡が生まれました。
もちろん個展に立つアーティストに限らず、日常生活のなかで気持ちよく着られるシャツです。
たとえ絵を描かずとも、彫刻を作らずとも、我々は皆芸術家として生きることができるはずなのですから。
誰人もみな芸術家たる感受をなせ
個性の優れる方面に於て各々止むなき表現をなせ
然もめいめいそのときどきの芸術家である-宮沢賢治
Even the act of peeling a potato can be an artistic act if it is consciously done.
– Joseph Beuys
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