近年、低価格帯から高価格帯まで、ファッション業界で濫発されるコラボレーション。
それはまさしく玉石混淆でして、アイコニックな特徴が出ればいいんだろう、いやとにかくロゴが並んでいればいいんだろう、などと安易でチープな発想のものもコラボコラボコラボと市場に溢れ、辟易とされている方も多いと聞きます。
しかし本来コラボレーションという行為は、ワクワクするもののはずです。
それぞれの感覚や技術が合わさって、1+1を2にするのではなく3もしくはそれ以上の、単独では成し得なかった結果を出すのが本来の形でしょう。
逆説的な話にはなりますが、単独で素晴らしい仕事ができるブランドが組み合わさってこそ、それがより高い次元で可能となります。
さて、先日から店頭に登場し、不思議な雰囲気を漂させているこのバッグ。
これはtilt The authenticsの今季の〆を飾る、特別な品物です。
ん?tilt?
そう感じた貴方は実に鋭い。
言うまでもなく優れたデザイナーではあるものの、tiltのデザイナーの中津さんは革物に関しては専門家ではありません。
そこで、以前より親交の深いPost Productionの甲斐さんに話を持ち掛け、製作が実現しました。
テーマは、「いくつかの要素が集まってひとつの製品を形づくる」。
まさしくコラボレーション的な発想を、コレボレーションによって為し得たわけです。
基本的な構造としては、レザーストラップに2つの異なるケースが連結するような形となります。
たっぷりと蝋を含ませることで耐久性、耐水性を高めた頑強な革です。
なお、この白く吹いた粉がその蝋でして、使い込むことで(あるいはブラッシングによって)革に再度馴染み、しっとりとした艶を生み出してくれます。
使い始めはかなり硬い革ですが、しだいに柔らかくほぐれてきますので、ご安心を。
ストラップにはギボシを嵌める穴が4つ空けられ、段階的に長さを調節することができます。
大きい方のケース(Case-1と呼ばれます)は、マチのない平べったい形状です。
ブライドルレザーに、イタリアのロ・スティヴァーレ社製バケッタレザーを組み合わせています(どこにどれが使われているかは、粉の有無で判りますね)。
バケッタはブライドルレザー以上に経年変化のはっきりした革です。
使っていくうちにだいぶ柔らかくなり、濡れたような艶が出てきます。
この変化に時差のある革が、時とともにどのようなコントラストを見せてくれるのか、楽しみですね。
なお、サイズとしては、スマートフォンやカードケース、目薬や常備薬などを収めるのにちょうどいい大きさです。
小さい方(Case-2)はまたがらりと表情を変えて、丸くころんとした形。
ギボシひとつでまとめて固定することで、ケースとして成立させています。
こちらは、たばこの箱が収まるくらいのサイズです。
2つのケースはナス環でストラップのリングに連結しているだけですから、当然片方を外して単体で使用することができます。
また、発想を逆転し、カラビナなどを使って新たにほかのケースや小物などをぶら下げてみるのも面白いかも知れません。
まさしく、冒頭で述べたように、1+1を2ではなく、3あるいはそれ以上にできる、そんなコラボレーションという概念を体現化したバッグと言えます。
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