雲まであがれ 天まであがれ ~ KINGSLEY WALTERS STUDIO/ ADDINGTON & BARNET

いわゆる秋冬シーズンが終盤を迎える12月ですが、ここにきて、当店初登場となる素晴らしきニューカマーをご紹介します。

ロンドンを拠点とするKINGSLEY WALTERS STUDIOは、その名の通りデザイナーであるKingsley Waltersが手掛けるレザーブランドです。

彼はもとはジャマイカの人で、首都キングストンで生まれ育ち、11歳の時ときに家族とともにイングランドに移住しました。
爾来、ロンドンをホームタウンとして活動しています。

学校を卒業後、数年シェフとして働き、その後サヴィルロウでテーラリングを学んでいましたが、当時あくまで趣味として自分自身や友人のために小物を作っていたところ、やがて口コミ経由でオーダーメイドの注文を受けるようになり、而して2015年、彼は自身のレザーブランドを発足させることになります。

製品に捺された特徴的なKINGSLEY WALTERS STUDIOのロゴは、凧を模したものです。

彼がジャマイカで過ごした幼き日々、学校が休みになるとマンゴー畑に出かけ、他の子供たちとサッカーをしたり、手作りの凧を使って凧揚げ合戦をしたりして過ごしたそうです。
凧合戦で勝ったチームは、お店で飲み物やパンを買うことができたのだとか。

自身のルーツを考えると、凧を一から手作りしたのがすべての始まりだったと、彼はそう振り返っています。

そうしてブランドのロゴを凧に定め、何年も経ったある日、彼はまだやり方を覚えているかどうか確かめることにしました。
今度はマンゴー畑の上ではなく、ロンドンのパーラメント・ヒルの高いところで。
自身の年齢や場所は変わっても気持ちは変わることなく、凧が空に舞い上がると、昔のように笑っている自分に気がついたそうです。

この物語こそがKINGSLEY WALTERS STUDIOそのものと言えます。
自身のルーツであるジャマイカでの日々、ロンドンでの生活を融合させ、英国の伝統的なハンドクラフト技術を駆使した、手作業によるものづくり。
そのすべての製品は、使い込まれ、時間の経過を経ることで成長し、生涯の友となります。

キングズリーは自身の工房で、革小物からバッグ作りまで、定期的にワークショップを開いています。
「自分のブランドをある程度のレベルまで高めてから、ジャマイカに戻って子供たちとワークショップをやりたいんだ」と彼は云います。
「コミュニティのために何かしたい。誰かが何かをやっているのを見なければ、そこにチャンスがあることに気づかない。子供たちに面白いと思ってもらいたいし、自分にもできることだと思ってもらいたい」。

実にナイスガイですね。

それでは、そんなキングズリー自身の手でつくりだされるレザーバッグをご覧いただくことにしましょう。

まずはA4サイズがすっぽり収まるショルダーバッグ、ADDINGTON。


タンニン鞣しが施された肉厚の一枚革を使った、頑強且つ軽快な鞄です。
ウィスキーブラウンと称されるこの茶色もまたいい雰囲気。

このバッグに限らず、すべての製品は手作業で裁断され、蜜蝋でコーティングした独自の糸で縫製されています。

ショルダーストラップはバックルで長さを調節可能です。

お次は、もう少し小振りのショルダーバッグBARNET。


ちょっと珍しいコの字型の真鍮の留め具が目を惹きます。

銅のリベットで各パーツがしっかりと固定され、耐久性は抜群です。

なお、キングズリーはイングランドのウェスト・ミッドランズのとある鋳物工場で金具のほとんどを調達しています。
ここは1832年に馬具用金具の鋳造所として設立され、現在も変わらず高品質の金具を製造している、彼が全幅の信頼を置く工場です。

バッグに話を戻しますと、こちらも調整可能なショルダーストラップで、実はこの部分のみプチ別注、レギュラーモデルより50cm近く長めに設定されています。

もともとはメッセンジャーバッグ的な具合でかなり短めにたすき掛けするイメージだったようですが、体型やアウターを選ばずに、多くの人多くのシチュエーションに適応すべく、この長さへと変更しています。
こんな無茶ぶりが可能なのも、生産規模が小さい(キングズリー本人がOKならそれでできてしまう)からです。

なお、ADDINGTONもBARNETも、仕切りやポケットのないシンプルな内部となっています。

シンプルで故障の少ない構造、丈夫で使い込むほどに風合いが育っていく革や金具、そして素朴ながらも美しいデザイン。

着目すべきKINGSLEY WALTERS STUDIO、まずはこの2型から、以後どうぞお見知りおきを。

オンラインストアはこちらです→
ADDINGTON ウィスキーブラウン
BARNET ブラック


コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です