毎年冬になると旅に出てしまうクマの代わりに動物たちのリーダーを務めなくてはならない少女たちも、その間ずっと森で過ごしているわけではないようです。
蓋し、秋冬は羊飼いにとって決して暇な時期ではありません。
寒くなれば放牧していた羊たちを呼び戻しに行かねばなりませんし、ときに街に出て、必要なものを買い出しに行かねばならないこともあるでしょう。
そんなさまざまなシチュエーションに対応してくれる外套は、まさしく必需品ですね。
Shepherd coat、その名の通り羊飼いのためのコートです。
ちなみに、Shepherdの語は”sheep herder(羊の牧畜民)”を略して生まれたのだとか。
素材は2種類、まずは肉厚のコットン”Fiedstone moleskin”。
今季のASEEDONCLOUDのコレクションの重要なテーマである「魔除け」、そうした行為にまつわる石は、光沢のある黒いものが多いそうで、そうした石を想起させる、深い艶をもった無起毛モールスキンです。
ひじょうに高密度に織られており、頑強で雨風をしのいでくれます。
とはいえ本格的なワークウェアに用いられるそれとは異なり、原料には高級綿であるギザコットンを用いているため、しっかりした剛性とともになめらかな肌触り、優美な質感も備えています。
裏地には生成のコットンツイルを採用(袖裏はすべりのよいポリエステル)し、さらに防風性を高めながら印象を軽く仕上げました。
もう片方はウールポリエステルのブランケット素材”Light blanket”。
先述の頑強そのものなコットンモールスキンとは対照的に、長年使い込んだ毛布のような柔らかい生地です。
とても甘く織られているため、コートの自重で生地が伸び、結果独特のゆらぎが生まれています。
こちらの裏地は、Kigansai shirtにも使用されている、羊飼いの一年が描かれた細畝コーデユロイ。
実に贅沢ですね。
コート自体の形状としては、全体にたっぷりとした分量の生地を使いながらも、ピークトラペルや腰の絞りによって適度にフォーマルな印象を与えるようバランスを整えています。
これなら、羊飼いの子たちが街で過ごすときも、仕事着とは思われないでしょう。
一方で仕事着としての側面もなおざりにされてはおらず、背面のセンターベントは通常より深く切り込まれており、馬に乗るときなどにも対応しています。
見るほどに細やかなデザインワークで、さすがASEEDONCLOUDと唸らされます。
この冬ロングコートをお探しの方には必ずお薦めしたい傑作です。
オンラインストアはこちらです→
ブラック(Fiedstone moleskin)/ ブルーグリーン(Light blanket)