Gaucho。
元々はペルー方面からラプラタ地域に開拓を行いに来たスペイン人の農業移民だったのが、
先住民族との抗争のなかで農業から離れ
次第に野生の牛や馬を追って生計を立てるようになった、
いわば南米版のカウボーイです。
先住民たちとの混血を繰り返しながらおよそ200年ほど活躍していましたが、
政策の変化、度重なる戦乱に加え、ヨーロッパ移民の増加に伴う牧畜業の発展や
土地の所有権の明確化により自由な活動ができなくなったことで
19世紀には実質的に消滅したと伝えられています。
スティーリー・ダンの名盤のタイトルとしても知られていますが、
近年その知名度を飛躍的に押し上げたのがガウチョパンツの流行でしょう。
その”ガウチョ””パンツ”の言葉を置き換えたのかは存じ上げませんが”Cowboy Slacks”、
これが結果的にEELならではの独自性に富んだ一枚に仕上がっています。
生地はインディゴのデニムのように見えますが、
表裏同じ色の平織りですので厚手のシャンブレーかと思われます。
いずれにせよ、綿麻混紡の清涼感溢れる素材です。
ベルトループはおろかウェストバンドも廃した構造で、
両サイドのアジャスターボタンによってフィット感を調整します。
結果見た目上も非常にすっきりとした腰回りとなり、
ワイドなシルエットのパンツでありながらも
厚ぼったさのない軽快な印象となっています。
上の全体画像の通り、裾はいわゆるガウチョパンツのような7~8分丈ではありません。
素材の特性上洗濯により縮みが出ますが、それでも9~10分丈くらいと考えていいくらいです。
ところで、ガウチョパンツのルーツであることから
ガウチョたちが穿いたパンツはおしなべて短いものと思われがちですが、
調べてみると意外なほど時代によって裾の長さに違いが見られます。
(http://www.revistaidentidad.com.ar/より転載しました)
しかしながら時代や個々人によって当然違いはあるものの、
ゆったりめであるという特徴はあまり変わらなかったようです。
一方で(時代背景の違いはあるにせよ)、
北米のカウボーイが履くジーンズは、当初太めストレートだったのものから、
太腿にはあまりゆとりを持たせずに膝から裾にかけて
ウェスタンブーツをしっかり綺麗に覆うよう拡がっていく設計に進化していきました。
これが”ブーツカット”の由来です。
以上、余談でした。
このCowboy Slacksは勿論ブーツカットではありませんが、
前述の通り裾丈が短すぎないため
ガウチョパンツのトレンド盛衰に左右されることなく永く履いていただけます。
生地も穿き込み洗いこむことで、きっと次第に柔らかくこなれた風合いになることでしょう。
これから何年もの間、愛すべき春夏の相棒となること間違いなしの逸品です。
オンラインストアはこちらです→ Cowboy Slacks