今季のKELE CLOTHINGのニット群は、1946年に出版されたウィリアム・マクスウェル作の児童文学”The Heavenly Tenants”の挿絵にインスパイアされています。
その挿絵を手掛けたのがブダペスト出身のIlonka Karasz(1896~1981)。
ハンガリーから移住したニューヨークにて十代の頃から活躍し、テキスタイルや工業デザインなど数々の分野で名を馳せた才人でした。
イラストレーターの活動の場としても児童文学のみならず多岐にわたり、『ニューヨーカー』誌の表紙を1924年から1973年まで186回も手掛けています。
色使いが魅力的な作風ですので是非とも参考として読んでみたいと思ったのですが、おそらく日本語化されていない作品でして、わが国での入手自体容易ではなさそうでした…
海外のサイトを見てみると、十二宮の星座が生き返ってウィスコンシンに住む家族の農場を訪問するという内容のようです。
というわけでこれだけの前振りをしておきながら服と作品との具体的関連性を紐づけることができないという体たらく、何卒御赦しくださいませ。
さて、今回ご紹介の”CANES”は、ブルゾンのような気配も漂うジップトップのモデルです。
MA-1のような形状の襟はボリュームが控えられていますので、中にシャツなどを着こんでも首回りがくどくなりません。
お腹のマフポケットは四角いニット上部の両角を垂らしボタンで留めているという、なんとも独創的な仕様です。
“CANES”が杖なのか砂糖黍の類の植物なのかは不明ですが、おそらくはその名が意匠として表れている(追記:英語ではなく、今季テーマに因んだ”猟犬座”の意でした)縦ラインの編み柄、実はひっそりとKELEのKロゴが隠されています。
細すぎず太過ぎない中庸なシルエットですので、着こなしの幅も広く、今から春にかけて長く使えます。
少し変わったニットをお探しの方には強くお薦めしたい、そんな一枚です。
オンラインストアはこちらです→ sweater CANES