太陽がいっぱい ~ TRIOP/ SUNNY & YACHTING

どうにも寒くなったり暑くなったりで落ち着かない五月です。

しかしそんな気候の迷走に構わず木々の緑はどんどん濃さを増すばかり、やはり確実に梅雨へ、そしてその先の夏へと近づいています。

そろそろサンダルについて考えてみてもいいのでは。

お馴染みチェコのTRIOP(トリオプ)から、今季は二種の新型が到着しました。

市街地用の”SLIPPER SUNNY”に

水陸両用の”YACHTING”。

順を追って紹介して参りましょう。

まずSUNNY、トリオプでは珍しく完全市街地用の、それも言わば健康サンダルです。

医療用品の規格を満たした素材を用いて、整形外科医と共同で開発されています。

ストラップは前足だけの、いわゆるつっかけタイプですが、ベルクロで調節可能です。

牛の床革が張られた独自開発のTERRAソール(これは継続展開のTERRA ARMYと同様です)はヒールカップが高く上がり、踵をしっかり支えます。

こうした構造によって、驚くほどのフィット感と歩きやすさを実現しました。

ミッドソールは衝撃吸収性に優れたポリウレタン、アウトソールは強度の高い圧縮ラバーです。

ちなみに、ソールに刻印されている”PAVEL ZAPLETAL”はTRIOPのデザインを手掛けるチェコのシューズデザイナーのようです。
(参考 http://www.designpavelzapletal.cz

一方YACHTINGは、その名(ヨットセーリング)の通り水に強く、また激しい動きにも対応できるつくりとなっています。

人造皮革のストラップはバックルとベルクロの二重固定システムを採用、足をがっちりと固定してくれます。

インソールはTRIOPの他モデルと異なり、柔かいラバーと人造皮革のコンビです。

ミッドソールは他のモデルよりも運動性を追求して薄めに設計され、素材にはエチレンジアミンを添加し弾性を高めたポリウレタンフォームを使用しています。

アウトソールはSUNNY同様圧縮ラバーです。

両モデル、それぞれ異なる佳さがありますし、いっそどちらも揃えてシーンによって使い分けるのも手でしょう。

TERRA ARMYも含め、是非履き較べてみてください。

オンラインストアはこちらです→
SLIPPER SUNNY/ YACHTING
TERRA ARMY カモフラージュ/ グレー/ ネイビー/ オレンジ


円錐帽氏と空罎君の鎖夏法 ~ CONICAL/ サマーウールタックドレス

ふわっとかろやかで、それでいて甘すぎない絶妙な匙加減のワンピースが入荷しました。

当店初登場となるCONICAL(コニカル)は、ヴィンテージウェアやランジェリーのディテールに着想して知的な色気のある服を作り出す、横浜市青葉区発の新進気鋭ブランドです。

デザイナーの加藤さんとはご近所ということもあって数年前から面識はあり、彼女の創造する服の魅力は存じ上げてはいました。

しかし比較的デザインの強いラインナップゆえ、個人的に佳いなと思っても趣向の相違により当店での取扱いには至らなかったのですが、今季ここにきてついにご紹介できる運びとなった次第です。

さて、このワンピースの素材はストライプが目に涼しいサマーウール。

ポリエステルとウールをメインに用いているため、皺になりにくく、さらりとした肌触りとなっています。
また、若干のストレッチも入っており、見た目以上に伸びやかな着心地です。

肩や身幅がたっぷりととられた曲線的なシルエットで、裾に向かって段々にタックがとられることにより生地の流れに変化が生まれました。

胸や背中のジップ周辺にはグログランテープがあしらわれ、本体生地との素材のギャップが全体の印象をきりりと引き締めています。

そこはかとない艶やかさ、可憐さ、そしてはっとするような力強い凛々しさも内包した一枚です。

これからの時期に向けて、どうぞ一度お試しを。

オンラインストアはこちらです→ サックスブルー/ グレー


サマータイムブルース ~ EEL Products/ サマーベーブルース

エンゼルスの大谷翔平選手が大活躍しているニュースが、連日のように飛び込んできていますね。

打者と投手のハイレベルな両立ということで、その偉大なる記録が今再び注目されているベーブ・ルース。

ちょうどそんな話題に合わせたかのように、彼の名を冠した当店初となるベースボールキャップ”サマーベーブルース”が入荷しています。


名前からして完全に本格派の野球帽かと思いきや、その魅力は機能性に依存するものではありません。

通常のベースボールキャップはドーム型を描いていますが、このモデルはハチ周りに若干のボリュームを出し、キャスケットとまではいかないまでもふわっとした形状です。

このため、被りは浅めでありながらスポーツ感の薄い仕上がりとなりました。

さらに本体の素材には程よいくたり感のあるリネンを使用、涼感に優れているだけでなく形状のボリュームを適度に抑えています。

スベリ(帽子の内側のバンド状の部位)など、裏にはコットンが採用されました。

ところで、浅めの帽子はどうしても風などで落ちてしまうのが困りものですね。

そこで後頭部にはアジャスタが設けられています。

バックルを通す輪状のストラップ(画像だとバックルの向かって左側)はエラスティック素材ですので、ぎゅっと締めてもきつすぎずフィットしてくれるのがうれしいところ。

細部までEEL Productsらしい気配りの利いた、都会的な出来栄えです。

ふだんベースボールキャップを被らない紳士諸氏に於かれましても、是非一度お試しくださいませ。

オンラインストアはこちらです→ ライトグレー/ ネイビー/ キャメルブラウン


ハーフな分だけ ~ after dark/ Pullover Shirt “Stockholm” Half Sleeve

陰惨な雨に寒気が続き、一時期は店内もまさかの暖房出動と相成りましたが、ようやくそれも落ち着き、久方ぶりの五月晴れとなりました。

これでまた心置きなく春夏らしい衣服を紹介できます。

毎シーズン少しずつ進化しながらリリースされているafter darkの定番シャツ”Stockholm”、今季はその半袖モデルが登場しました。

清涼なブロックスストライプのブロード生地版と、

季節感抜群のシャンブレー版です。

基本的にどちらも同じ仕様となっています。

ボタンは旧いワークシャツに使われているような、雰囲気のある茶色の猫目です。

こうしたシャツでは珍しく、ハンドポケット付きとなっています。

裏の見えない部分のロックステッチ下糸には、赤い縫製糸が用いられています。

江戸川乱歩『赤い部屋』やポオの『赤き死の仮面』、ダリオ・アルジェント『サスペリアPART2(原題 “Profondo Rosso”=深紅)』といったダークなイメージ、そしてそれらと相反する生命、縁といった陽の性質を併せもったこの色は、ブランドのアイデンティティカラーとして設立時から大切にされてきました。

両脇のガセットはかなり大振りのものです。

なお、シャンブレーのものだとこの部分の端には生地の耳が出るようになっています。

どちらも等しく爽やかな印象で、且つそれぞれの佳さがあり、甲乙つけがたい出来栄えです。
これから迎える暑さに備え、是非両方ともお試しください。

オンラインストアはこちらです→ ブルーストライプ / ブルーシャンブレー


流れ弾の雨が降り注ごうとも この街の空の下あなたがいるかぎり ~ WESTERLY/ Drifter

快晴続きで、皆様行楽に出られたのであろうと店内でひしひしと感じ続けたゴールデンウィークが終わりました。

そして明ければ、待っていましたと言わんばかりの雨模様。

初夏の陽気もひと休みです。

たまになら結構ですが、そろそろ気配の忍び寄る梅雨を例に上げずとも、靉靆としたどんより空が続くのは厭なもの。

となれば雨具、傘で気持ちを明るくしていきましょう。

当店では不動の定番として人気を誇るWESTERLYの折り畳み傘”Drifter”。

いつもの定番色に加えて


アロハシャツ柄の”アロハ”、

小石柄の”グラナイト”、

白黒プリントで水面を表した”ダークウォーター”、

以前展開していた迷彩柄(完売)とはまた若干異なる新しい”カモ”、

杢柄の”ヘザー”、

と、他ではなかなかお目にかかれないような新柄のが登場しました。

作りのよさは変わらず、剛性感が高くしっとりとした開閉感の金属製の骨は、台風でもそう簡単に曲がったりしません。

留め具がないため開閉時に指を挟む心配がないのもうれしいところ。

展開時の直径は98cmと、折り畳み傘にしては大きめです。

特にプリント生地に関しては、使い切り次第廃番になることが多いため、気に入った柄があれば手に入るうちにお買い求めください。

毎回全色完売してしまう人気商品です。
梅雨が訪れる前の今のうちにどうぞ!

オンラインストアはこちらです→
ミッドナイト/ ネイビー/ シャルトリューズ
アロハ/ グラナイト/ ダークウォーター/ カモ/ ヘザー


魅せられて ~ MONO PROJECTS/ BEACH SHIRT

比較的好天に恵まれた今年のゴールデンウィークもいよいよ終盤が迫ってきています。

明日は夏日になるとかならないとか、しめくくりに相応しい行楽日和になりそうですね。

さて、こうしたわけで、店頭でも半袖をご覧になる方が増えてきております。

トルコのシャツ専業ブランドMONO PROJECTSから届いた新作も、蒸し暑い日を心地好くしてくれること間違いのない逸品です。

ガーゼ状の布に皺加工を施した生地は、肌にさらりと軽く触れ、清涼な着心地を生み出してくれます。

最大の特徴である袖の刺繍は、さすが絨毯の国トルコと唸らされます。

この刺繍部分に厚みが出ることでハリが生まれ、袖が常に開放した状態になります。
袖自体も広めに設定されていますので、ひじょうに風通しがよくなりました。

生地自体も薄手ですから、黒いシャツとは思えないほど涼しさを感じられることでしょう。

今の時期から暑さの盛りにかけていろいろな場で、それこそ名の通り盛夏のビーチリゾートなんかでも爽快な装いを楽しめそうですね。

オンラインストアはこちらです


誰もが 港町のカフェでお酒ばかり飲んでる 物憂げなマリーに恋をするけど ~ KESTIN HARE/ LIVERPOOL WORK SHIRT

変革の苦しみに悩むわがマリノスを尻目に、海のむこうではリヴァプールFCが11季ぶりに欧州CL決勝進出となったようですね。

リヴァプールといえばフットボールにビートルズ、そしてこのケスティンエアのLIVERPOOL WORK SHIRTです。



実は2月に入荷していたのですが、その高い完成度ゆえにご紹介前に店頭から姿を消してしまっていました。
前回はご用意のなかったホワイトも加えて、待望の再入荷となります。

素材はぱりっと乾いた質感の高密度タイプライターで、春夏の蒸し暑いさなかでも爽やかな着心地を維持します。

この生地を用いながらも、ドレスシャツより太く目の大きい運針で、その名の通りワークシャツのようなステッチで上品なギャップを生み出しています。

前立て下部はアンティークのシャツのような意匠です。
正面でカーブを描く裾が、やわらかなユーモアを醸し出します。

ディテールひとつひとつを見ればカジュアル寄りですが、そこはさすがケスティン。

シャツのシルエットはひじょうに美しく、また全体を通して凛とした清潔感が保たれています。

ちょうどシャツの気持ち好い時期です。
あたたかな陽気の下、こうしたシャツをさらりと身に纏ってみませんか?

オンラインストアはこちらです→ ホワイト/ オリーブ/ ネイビー


鐘の鳴る丘 ~ Aiguille

ブランドをご存知の方はもちろんのこと、そうでない方もこのバッグを見るとなぜかしら懐かしい気持ちに包まれるのではないでしょうか。

このご時世に於いてもなおイングランド湖水地方にて登山用バッグを作り続けているAiguille。

以前我が国で展開していた時期は「アイグーリー」と呼ばれていましたが、はて。

もとはフランス語で、針や尖ったものをあらわす言葉です。
ゆえに英国では何と呼ばれているのか…
この発音に関しては悩む方が多いのでしょう、こんな動画を発見しました。
https://www.youtube.com/watch?v=68seWyeV2Cs

完全にカタカナに置き換えることはきわめて困難、というか不可能ですが、当店ではこれに倣って「エイグウィール」と呼ぶことにします。

閑話休題、そんなAiguilleは1987年にAdrian Moore氏によって設立されました。

彼は10代前半から熱狂的な登山者で、金銭的な事情から若かりし70年代には古いシートベルトや軍用キットバッグでリュックサックなどを自身や友人たちのために手作りしていたようです。

80年代にフリーランスのインストラクターとして働くようになってからは、登山道具の修理に時間をとられすぎることに不満を感じ、長く使えるよう設計された高品質で機能的なギアを自らが生産することを決意、それがAiguilleの始まりです。

当初は自宅の屋根裏部屋を工房としていたようですが、

何度かの移転を経て、現在の工場に至りました。

さて、前置きが長くなりました。

今回当店に入荷してきたのは3型。
順に紹介してまいりましょう。

まずはこのブランドの代表モデルである”MIDI”。


一般的にAiguilleの名で想起されるのはAiguille du Midi(ミディ針峰)。

モンブラン山系の山で、麓のシャモニーから見ると正午に太陽がこの山の頂上に座ったように見えることから「正午の時計の針」と名づけられました。

独立峰でないもののその標高は富士山より高い3842mですが、1955年に山頂までのロープウェイが建設されています。
まったくおそろしいところに大それたものを建てたものですね。

そんなブランドと縁の深い名前を冠しているだけあり、時代を超越した普遍的な魅力を備えた出来栄えとなっています。

まず、最大の特徴が外にも中にも一切のポケットがない、きわめて簡略的な構造です。

背面やショルダーハーネスにはしっかりしたパッドが仕込まれていますが、それ以外に目立ったディテールはありません(余談ながら、本国にて別売りのウェストハーネスを装着することはできます)。

本体は耐久性に優れた1000デニールのナイロンを使用。
バックルにもその強度に定評のあるナショナル・モールディング社製品を採用しています。

このシンプルなつくりと剛健な素材ゆえ、故障のリスクがきわめて低いバッグとなっています。

そうした合理性だけでなく、この流行など一切知らぬ顔の風貌が、老若男女スタイル趣味嗜好を問わずその生活に馴染むことは疑いありません。

小振りのデイパック”MARMOT”も同様に、古びないデザインです。



こちらはMIDIよりライトなナイロンを用いています。
背面パッドも省略され、ごく軽快に仕上がりました。

背面の長さがやや短めですので、小柄な男性や女性にもお薦めです。

なおこのモデルにはウェストハーネスが標準装備されています。

最後はウェストバッグ”CONTOUR BAG”。


「等高線」の名を冠し、その小さなサイズながら本格的な機能を備えています。

ご覧の通り複数のポケットを持ち、

かつメインコンパートメント内部にはジップポケットや頑強なキーフックが隠れて、来たる出番を待っています。

このモデルも使用されているバックルはナショナル・モールディング社製です。

と、どれもそれぞれ独自のよさがありますが、一貫しているのは高い品質、必要以上のアレンジを加えないクラシカルなデザイン、そうした諸要素が噛み合った結果としての永続性です。

ひとつひとつ眺めてみれば、バッグの本質とは何ぞや、と今改めて我々に問うてくるように思えます。

オンラインストアはこちらです→
MIDI パープル/ グレー/ ブラック
MARMOT パープル/ ホワイト/ グレー/ ブラック
CONTOUR パープル/ グレー/ ブラック


1月のdelightful toolオーダー会でご注文いただいた靴が届きました

たいへんお待たせ致しました。

前回のオーダー会にてご注文いただいた靴が、ついに到着しました!
ひと足お先に拝見しましたが、とても素敵に仕上がっています。

そして実は店主も今回オーダーさせていただきましたので、自慢がてら紹介させていただきます。

9分仕立てのチャッカブーツです。

革はインカス社のレジーナ、ひじょうに透明感があり、柔らかくしなやかな質感が特徴です。

靴の印象がデリケートになりがちな革ですので、鳩目を表に出して気の置けない雰囲気に寄せました。

鳩目と靴紐の先の金具はくすんだアンティーク調の色目のもので統一しています。

ソールはレザーです。

敢えて縫い目はヒドゥン・チャネル(ソールに入れた切れ目の下を縫い、その後切れ込みを閉じることで縫い目を隠すドレッシーな手法)にはせず、そのまま自然な姿で残しています。

履き心地は至高の一言に尽きます。
後から踵、甲を優しく包み込むように、しかししっかりと抱きしめて、比較的爪先を遊ばせてくれます。
木型と革の特性の、極上のマリアージュです。

実はこれが人生初のチャッカでしたが、あまりにも気に入り過ぎて人生最後になるかも知れません。

これから何年何十年と連れ添って、思い出を共有していく所存です。

こんな最高の一足を手に入れるには、やはりセミオーダーが一番の近道。
次回開催もどうぞお楽しみに!