悲しみに濡れるような靉靆とした空模様が続き、しばらく店内が撮影のための明るさを確保できていませんでしたので、久々の新商品紹介となりますね。
何事もいい面悪い面があるもので、先述の天候ゆえに一時期のはしゃぎすぎた夏日が沈静、これで薄い羽織ものなどを気兼ねなくご紹介できます。
気がつけば6月の背中も見えてきました。
初夏の陽気に惑わされるべからず、梅雨冷えにはご用心あれ。
さて、そんな次第で本日披露しますのは、今季も人気炸裂のIthe。
上品な風合いと清涼な着心地を楽しめるポリエステル混のサマーウールで仕立てられたアノラック”No.38-LB”と
まずはアノラックからご覧いただきましょう。
過去に存在した服を見立て直し再構築する手法が特徴のItheがこの度サンプリングしたのは、1980年代のL.L.Bean。
旧き良きアメリカのアウトドアウェア、土の匂いのする服です。
ここで用いられていたナイロンをしなやかなサマーウールに乗せ換えることで、スポーティーな要素を削り落としています。
ウールと聞くと暑そうに感じるかも知れませんが、べたつかずさらりとした肌触り、風通しのよさはそんな固定観念を覆すにじゅうぶんなほどで、じめっとした梅雨時や夏の香りの残る秋口でも快適にお召しいただけます。
服自体を丸めて胸のポケットに収納できるパッカブルタイプだった元ネタのディテールはそのまま踏襲していますが、素材が素材だけにそのような使い方はお薦めできないとのことです。
機能というよりも、含みのあるユーモアとして、また単純にポケットとしてお楽しみください。
胸ポケットの下、お腹の当たりにもハンドポケットが設けられています。
ここが意外なほど具合のいい位置で、ついつい手を通してしまいそうです。
素材以外のディテールの何もかもを再現しているわけではなく、たとえば元ネタでは小さすぎてほぼ頭が入らないような謎仕様フードは見直され、小振りながら被りやすいサイズへ変更されています。
こうした、遊びと実用のバランス感覚もまた、Itheの大きな魅力です。
さてもう一方のパンツはといえば、これもまた’80年代におそらく量販店あるいはスポーツ用品店で売られていた、FILAのトラックパンツ。
こう言っては何ですが、別に品質が高いわけでなく画期的な構造でもなく、同時代の類似製品にくらべ特段優れた点の見当たらない、ありふれた運動着です。
ポジティブに表現すれば、そのチープな愛嬌が微笑ましい。
しかし、Itheの手にかかって構造そのものを抽出されると、お気楽さはそのままに、凛と大人の着用に堪え得る一本へと昇華致します。
サイドのFロゴ羅列のテープは本体と共生地のサマーウールで再現されているのですが、これがさながらタキシードパンツの側章のようにさえ見えてしまうから不思議です。
太めのシルエットは空気の流れを生み、真夏でも快適にお召しいただけます。
例によって、ご紹介を前にさっそく店頭から巣立ち始めてきました。
先日ご紹介のセットアップもすでに完売間近(2020/5/23時点)で、コロナ禍などないかの如く、Itheの人気は留まるところを知りません。
今回も、気になる方はどうぞお早めに。
オンラインストアはこちら→ No.38-LB/ No.23-F-TP