KIMURAの進化、深化が止まりません。
今年の春、夏と立て続けに多くのお客様に衝撃を与えた5本針シリーズはさらなる魔境へと突き進み、その飽くなきステッチへの追求は、20本針なる地平を見出しました。
縫い代1.2cmを埋め尽くすかの如く、アームホールを囲むように打ち込まれた20列。
実際に縫っている木村さん本人ですら工程の中でだんだん何本目か判らなくなってくるというほどに、ぎっしりと縫われています。
ステッチというより、もはやテーピングです。
袖は後付け。
見えづらいですが、胴の脇と袖の縫い目がずれています。
当然手間はかかりますが、これによりシャツが立体的に仕上がります。
ただアームホールのステッチが多いだけでなく、こうした部分もきちんと考慮されているのが、このシャツに限らぬKIMURAの大きな魅力です。
工業製品の域を逸脱した、工芸品としてのシャツ。
閉塞感、不安、苛立ちが渦巻く時代だからこそ、こうした特別な(そしてどこか可笑しみのある)一着で、日々の心持ちを潤わせたいものです。