横浜で大雨警報が発令されたようです。
こんな日は雨対策を万全にしてこそ洋品店のおやじなわけですが、きょうは久しぶりにこのブーツを出動させてみました。
皆さんご存知のDanner社の名品ダナーライトです。
当店での取扱いはなく、店主の私物となります。
この靴がぼろぼろなのは使い方が悪いだけでなく、履いている期間の長さゆえでもあります。
思えばこのブーツを買ったのは阪神大震災の起きた少し後でした。
ということはもう20年も経ったんですね。
店主が高校1年生の時分、初めてのアルバイト代を握りしめてアメ横で購入した並行輸入品です。
26000円程度だったと記憶しています。
それから10代のうちは、どこかへ出かけるとき、特に天気の悪いときはいつもこれを履いていました。
おかげで数年で内蔵されているゴアテックスは劣化の一途をたどり、今はその機能性はほぼ失われています(革の油分が蓄えられているためブーツ自体は多少の防水性を保持していますが)。
何度もオールソール交換を行っているので靴底は綺麗ですが、アッパーの革、特に履き口が傷みきっており、着用のたびにどこかが裂けるのではとヒヤヒヤします。
それでも捨てるなんてことは考えられないですね。
さすがに人生の半分以上を共に歩んでいると、思い入れ以上の感情さえ湧いてしまいます。
アメ横の靴屋さんとしては数多くのお客の一人として商品を売っただけだったのでしょうが、
こちらとしてはただの靴という存在ではありません。
当店でお買い上げいただいたものもお客様に長きにわたってそのような愛を受けることがあるかも知れませんし、それに応えうるだけのものを選び、提供せねばと思っています。
ただモノを売ってお金を得るというだけでないこの仕事の可能性と責任感を改めて感じた次第です。
取りとめもない話ですが、しばらく履いていなかったこのブーツに足を入れてそんなことを考えていました。