作りたいもの、やりたいことが溢れすぎて、Olde Homesteader、Olde H&Daugter、THE CIRCA BRANDと、これまでOLDE THINGSからはどんどんブランドが派生し続けてきました。
それでもエネルギーは枯れるどころかさらに勢いを増し、情熱の迸るままにまた新しいレーベルが生まれることに。
フランス語で”野獣”を意味するところから、ディレクターの福原さんがどれだけ獣じみたワイルドな男なのか想像を逞しくしてしまいそうになりますが、別段それを望む意図はないようです。
20世紀初頭の絵画運動、フォービズム(野獣派)。
その前に起きた大きな潮流である印象派が「見たままの印象」を描いたのに対し、野獣派は「心が感じるまま」を描くのを特徴とします。
それは単に荒々しいとか猛々しいとかを意味するとは限りません。
そもそも該当するマティスらの画家たちが野獣を自称したのではなく、展覧会に並んだ作品の力強さに衝撃を受けた評論家が「あたかも野獣の檻のなかにいるようだ」と表現したことからそう呼ばれるようになったとか。
なるほどこれは野獣の趣がある、と感じる鮮烈なスタイルもあれば、
その多様性をご理解いただけるかと思います。
さて、そんな”野獣派”の新ブランド、どのように「心が感じるまま」描いているのか、じっくりと見ていきましょう。
C.P.O.と名付けられてはいるものの、一般的なそれとはやや佇まいを異にしており、Gジャンのようにも受け取れます。
繊維の長い綿を用いたコットンサテンは、その濡れたような光沢となめらかな肌触りで、形状のもつ武骨さを中和します。
ボリュームのある湾曲した袖に、大量生産に向いたワークウェアや軍用衣料のパターンとは一線を画していることが窺えますね。
生地に馴染む黒にアクセントとして赤みのあるグレーを掛け合わせた、ステッチの静謐な色遣い。
ここでもいわゆる「ワーク」な感じは抑えられています。
まるでどこかのヴィンテージ衣料から引っぺがしてきたような、この奥深い表情。
その組成の内訳は明らかにされていませんが、さまざまな素材を練り合わせて作り上げられたこの素材は、使いこみ洗いこむことで、まるで多くの人に撫でられたお地蔵さんの頭部の如く、しっとりとした艶を帯びていくとのことです。
こうしてご覧いただければおわかりのように、何かを忠実に再現したり特定のカテゴリーに収まることはまったく狙っていません。
若き日々、福原さんが愛し求めそして体を重ねてきた、多くの服たち。
彼という人格は、それらとの官能的なふれあいと悦びによって形成されてきました。
その甘酸っぱくもきらめく個の記憶をいま「感じるままに」表現する、それがFAUVESです。
オンラインストアはこちらです→ 412 C.P.O.