大傑作narrowing cardiganの素晴らしさは言うに及ばず、しかしながらKIMURAの魅力をそこだけしか知らないというのでは、まだKIMURAワールドを存分に味わえているとは言えません。
このブランドの恐ろしいところは、次々とこちらの想像の遥か斜め上の発想の新作を投入してくること、そしてそのどれもがとても美しいこと。
今季提案された新型”BOX”もまた、目の鍛えられた長年のフリークの方々からは「木村さん、またやっちまったな」「相変わらずどうかしている」などと深い愛情を込めて評され、KIMURA慣れしていない方には「…!!???」と反応される傑作です。
一見、ごくごくプレーンな開襟シャツですよね?
KIMURAらしくないなと感じる方も、中にはいらっしゃるかも知れません。
ふっくらしたモチモチ感、なめらかな肌触り、とろみ、上品な光沢を備えたキュプラコットンのライトモールスキン生地、その素材のよさとKIMURAならはの仕立てのよさが、たとえば襟の立体的な返りなどにも表れていますが、そこはあくまで品質の高さを物語るだけです。
しかし、実はこのシャツ、こう見えてきわめて特殊な構造をしています。
よく見てみましょう。
まず気になるのはボタンホール。ちょっと長めの穴のようで、実は2つずつ並んで開けられています。
控えめながら、何とも不思議な仕様です。
しかしこれだけではありません。
生地に穴を開けて、そこに袖を嵌め込んでいるような作りとなっています。
ここからしてだいぶ特殊ですが、しかしこれは昨年登場したCUBAシリーズにも見られる特徴です。
さらに注意深く探っていきますと…
そう、このシャツの胴部分、左右に裁断をしていません。
一枚の生地をそのまぐるりと丸めるようにして仕立てています。
木村さん曰く「完璧なボックスシャツを目指した」とのことですが、いくらなんでもやりすぎです。
普通に考えれば、ボックスシルエットの実現のためにここまでトリッキーな構造にする必要などあるわけがないでしょう。
「脇から下数十センチの距離の生地のカットロスをゼロに近づける」、いやそれもわかりますけど、そこまでの合理性は感じられません。
当然のことながら、この作りは生地の幅という限界が設定されていますから、サイズ5が作れません。
サイズ4が最大サイズとなります。
ここまでの制約のなか生み出されたこのシャツを着てみたらどうなのかといえば…
その美麗な円みに言葉を失うばかり。
生地の豊かな波打ちが一切阻害されることなく、目に美しく着て心地好い、ただただ驚くほどに素晴らしいシャツなのでした。
先ほど「普通に考えれば」と申し上げましたが、普通にしか考えられない人間では到底及びつかぬ一枚です。
オンラインストアはこちらです