「すべての発見には、”非合理的な要素”または”創造的な直感”が含まれている(every discovery contain ‘an irrational element,’ or ‘a creative intuition’)」
このカール・ライムント・ポパー『科学的発見の論理』の一節に基づき、これ見よがしではないながらも独自のスタンスで服を作るアントワープのブランド、An Irrational Element。
この秋の新作も、実に「非合理的」です。
まず、Mr(s). Coatという商品名からして、読み方が判りません。
ミスターズ?ミスターミセス?どれもしっくりこない、実に非合理的な名前ですね。
コートのデザイン自体はそれほど変わったところがないように見えますが、
着てみると、肩、身幅、袖丈のバランスが独特で(いわゆるオーバーサイズではないのに、肩の線だけが落ちます)、しかしながら不思議な美しさがそこにはあります。
前回ご紹介したCamera Coatも癖の強い生地でしたが、今回もまた凄い。
ハリの強い高密度の生地に、これでもかとばかりにたっぷりとオイルを含浸させた、過激派なワックスドコットンクロスです。
3年、5年、10年と、着込んでオイルが抜けてきた頃合いにどんな表情となるのか、とても楽しみです。
なお、今年の春まではデザイナーであるKai Bolwijn氏のお父上が経営していた工場で作られていましたが、よりにもよってそこはウクライナ。
お察しの通り現在とても服を作っていられるような環境ではないため、今季からはルーマニアの工場にて生産されています。
もちろん、工場は変われどブランドの匂いはまったく変わっていませんので、ご安心を。
決して万人向けのコートではありませんが、相性が合えば心に深く刺さって決して抜けないはずです。
我こそはと思われる方は、是非一度トライしてみてください。
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