雑誌、とりわけファッション誌の元気がすっかりなくなったと云われる昨今、しっかりとしたコンテンツの力を武器に気概を示す孤高のモード誌『Them magazine』、その最新号が本日10/24発売されました。
その理由はいまも定かではありませんが、なぜかある日編集の方からお声がけをいただき、而して今号は店主が寝ぼけたような間抜け面を貴重な誌面にて晒しています。
店の紹介というよりも店主個人にフォーカスした内容で、名だたる有名店や人気ブランドの方々と並び、私物のニットをご紹介賜りました。
3点中2点は完全なる私物ですが、1点のみ当店の商品が出ておりまして、それが昨年ご好評いただいたWILLIAM LOCKIEのVネックセーター、Leven Vee 16cmです。
記事中でも述べている通り、当店は開店当初こそインポート商品の割合が高かったのが、年々減少し、いまでは靴や鞄などを除けば大半が日本国内のブランドで占められるようになりました。
そのなかでもこのスコットランドのニットメーカーは、派手さやデザイン的な面白さこそ薄いものの、今やもう無くてはならない存在として当店では不動の地位を得ています。
WILLIAM LOCKIEは、とても牧歌的な環境で長年経営されている、家族経営の工場です。
こちらの公式動画では生産の様子を窺い知ることができます。
大規模な生産背景を持っているわけでもなければ、特別ブランディングに秀でているわけでもありませんから、実際のところもっと著名なニットブランドは世にいくらでも存在することでしょう。
しかし、製品の完成度は勝るとも劣りません。
使用している糸の品質が抜群に良いだけでなく、ニットづくり自体の技術が非常に高く、ひっかかりのないのびやかな着心地には驚かされます。
そして店側の都合にはなるものの、小ロットでプチ別注のようなお願いに対応してくれるのはとても有難く、このセーターもそうして作ってもらったモデルです。
誌面に出てくる”ダークコバルト”はすでに完売してしまいましたが、この秋も素敵な色のかずかずが入荷していまして、同じ型をまた新たな気持ちでご覧いただけます。
まずは昨年大好評のなかあっという間に巣立ってしまった”ハカランダ”。メキシコに咲く花の色です。
ここからは新色になります、明るさのなかに抑制の効いたライトピンク、”リップスティック”。
そして、美しい色調と地獄の業火の如き名前のギャップが心を乱す”インフェルノ”。
このモデルはLOCKIEの定番VネックセーターLevenをほぼ踏襲しながらも、Vの開きを浅く設定し、Vネックに抵抗のある方でも着やすいようにしています。
やわらかく、ふっくらとして、暖かく、軽い。
そんなセーターの理想形のような着用感は、ジーロンラムの毛によって実現しました。
オーストラリア南東部に位置するヴィクトリア州ジーロン(Geelong;現地ではジロンとかジローンと呼んだ方が通じやすいそうですが)は古くから羊毛の産地として知られます。
ジーロンラムは当地でのみ採取される稀少な子羊の毛で、その穏やかな気候によって、ひときわ高品質の毛が産出されるそうです。
この糸を用いて絶妙なバランスの密度、厚みに編みたてられおり、耐久性が高いというのも素晴らしい特長と言えます。
裾や袖口のリブはそう簡単にでろでろと伸びたりせず、毛玉はできても過剰にはならず、自然に、穏やかに、美しく齢を重ねてくれます。
良質なニットは、想像以上に長持ちしてくれるもの。
『Them magazine』の店主登場コーナーでは、他の皆さんも10年20年と年月を経たニットをご紹介されていて、とてもわくわくします。
自分が出ている出ていないは別にしても、素晴らしい雑誌です。
是非ともご覧ください!
オンラインストアはこちらです→ ハカランダ/ リップスティック/ ボルドー/ インフェルノ