愛馬に跨って、道なき道を星の位置を頼りに進み、自分の手で地図を埋めていく…
現実に追われっぱなしの中年とて、そんな旅人のような生きざまにはいまも憧れは捨てきれないものです。
人生は旅にしばしば例えられますが、それはそれでさて置いて。
ただそれも夢想のうえでのこと、実際に仕事としてそんな生活を送らざるを得ない”記憶士“が果たしてどう考えているかは、だれにもわかりません。
人びとの記憶にまつわる品と土地との結びつきを拾い集め、整えていく記憶士たち。
彼らは馬上や探索時など、状況に応じて装備を変更していくわけですが、このブルゾンも業務には欠かせないようです。
穏やかなブルーグリーンが美しいNew functional clothと名付けられたこの生地は、極限まで高密度に織られており、綿100%にして驚くほどの撥水性と防風性を備えています。
一般的にベンタイルと呼ばれるものと同じとお考えいただいて結構です。
この頼もしい生地が、荒れ地やさまざまな嶮しい環境に行かねばならぬ記憶士の身をしっかりと守ってくれます。
なお、馬の目にとって識別しやすい色は青と緑だそうで、この色調もそうした愛馬のための気遣いあってのことなのかも知れません。
右胸のポケットには地図などの記録をとる小型のノートが収まり、
ポケット開口部のループにペンを挿しておけばそれがストッパーとなり、衝撃や振動でノートがぽんと外に出てしまうことはありません。
ペンも一本だけでは心もとないですよね。
インク切れも心配ですし、失くしてしまうかも知れません。
ですから前立ての裏に予備を入れておきましょう。
袖口のカフスはボタンを外して伸ばすことができますので、ノートにメモをとるとき、インクで掌外沿を汚さずに済みます(服は汚れますが…)。
腰のポケットから連なる背面のゲームポケット、ここには収集品や仕事道具などを収めておくことができます。
この背面の大きなポケットにはもうひとつ役割が隠されていまして、上部のスナップボタンと
両脇のファスナーを外すことで、布が下に垂れ、敷物のようになります。
野外で腰掛けなければならないこともある記憶士には、さぞかし有難い機能なのでしょう。
さて、このブルゾンの語りどころはまだまだ尽きません。
先ほどからチラチラと覗く裏地が気になった方もいらっしゃるのでは。
なんとこのブルゾン、まるごと裏返してこの柄の面を表にして着用することもできます。
しかもポケットの配置などディテールが両面で異なり、どちらを「表面」「裏面」と呼べないほどの作り込みとなっています。
このさまざまな動物を緻密に表現したとても美しいタペストリー生地は、Constellation clothと呼ばれます。
星座を見ることで現在地を確認し地図を作成するにあたり、その参考のために冬の星座のモチーフとなった生き物たちが織り込まれています。
麒麟を中心に配置し、その周囲の動物および東西南北に分かれたそれぞれの記憶士の愛馬と思しき馬が、一枚の大きな生地に再現されました(ですので、柄の配置には個体による違いが発生し、また必ずしも服の中心に麒麟が配置されるわけではありません)。
生地から服全体に目を移してみますと、腰にはドローコードが通されていますので、ここを絞って下からの冷気の侵入を軽減することができます。
また、その意図は定かではありませんが、記憶士たちはどうやら時折種を撒くそうです。
ゆえに、種を入れるためのポケットが右胸に設けられています。
このポケットは、New functional cloth側を表にしたときには当然左内ポケットとなり、そこには「心臓に近い位置から種を撒く」という隠れたメッセージ性も込められていると聞いています。
と、あくまで記憶士のための作業着ではあるものの、もはや工芸品と呼んでも差し支えないほどの風格に溢れた比類なき服です。
当店ではこの素晴らしい作品を是非とも多くの方にご覧いただきたく、男女サイズともに揃えました。
是非この素晴らしき出逢いをお見逃しなく。
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