はばたけ大空へ 大地をけって ~ tilt The authentics/ 3 Fabric Back Satin Gabardine Open Collar Jacket

「鮮烈」よりは「静か」といった穏やかな表現が妥当かも知れませんが、ただその内に秘めた情熱と未来への可能性は隠しようもなかったのが印象的なデビューから早5年。

tilt The authenticsは、いまや全国の服好きにその名を轟かす存在とまでに成長しました。

節目の年となるこの春の提案は、いままでtiltが培ってきた服作りのひとつの到達点とも呼べるラインナップとなり、その高い嶺の如き完成度にはただただ圧倒されます。

なかでもこのライトアウターは、tiltらしさそのものを体現した究極形と言えましょう。

近年のtiltの素材への探求心はあきれるほどで、今回も手加減知らずです。
コットン、リネンにホワイトカシミアを配合して織り上げたバックサテンギャバジン。

表面はギャバジンらしい綾目が見えますが、裏はサテンになっており、なおかつ先述の通りカシミアがブレンドされたことで一種のぬめり感が加わり、とくに裏面のその肌触りは見た目から想像もできないほど滑らかです。

温暖な時期にこの生地の特性を直接肌で愉しめるよう、敢えて裏地は設けず、パイピングと折伏せ縫いを駆使し綺麗に仕上げられています。

とはいえ、軽すぎないのもこの生地の特徴で、春だけでなく秋や、重ねて着るもの次第で冬でも対応できてしまいそうなくらいの適度な厚みを備えています。
さすがに冬となると人によりけりといった話になりますが(店主は寒がりなので無理です)、落ち着いた色目もあって、一年のなかで活躍する期間はだいぶ長そうです。

さて、生地についてはこのくらいにして、服自体を見ていきましょう。

まず面白いのが襟型で、オープンカラー、すなわち開襟となっています。

少しドロップしたなで肩のラインと合わさり、堅苦しさを感じさせない、力の抜けた雰囲気が醸し出されます。

オーバーサイズとまではいかずともほどほどにゆとりをもったサイズ感で、着る人の体型は比較的選びません。

このジャケットを仕立てているのは、昨年も注目を浴びたCWSW Soft Brushed Shark Jacketも手掛けた洋装店さんで、こちらは本来女性用プレタポルテを得意とします。
そのためか、服に角ばった「剛」の部分がなく、全体的に柔和なシルエットとなっています。

この円みと好対照を成すのが、エッジの立ったポケット。

マチのついた機能的な構造で、ここにtiltの秘めた男気のような何かが感じられますね。

なお、胸ポケットは内側に設けられています。

素材、仕立てと、過剰なほどにハイレベルを追求した結果、その価格は春向けのライトアウターとして決して安いとは言えません。
しかし、一度袖を通して見れば、それも決して割高ではないというのがお判りになるはず。

高級ではなく一流。
その意味を教えてくれるジャケットです。

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